第11話 No1.ドライバー・ビッグバン・スーパーノヴァ
料理紹介の動画を観て、さすがに理解に苦しむヤマダは、キタザワに尋ねてみた。
「キタザワさん、ヨガ・エクササイズは解らんでもないけど、料理レシピ動画は、そのままで良いんじゃないの?」
「材料を知るほうがメインだからね。自宅で料理する人は少ないし。俺、ああいうの観なかったら、キャベツがどんな形か知らなかったよ」
クドウがなんとなく理解した。
「あ、子供の頃、魚が切り身で泳いでると思ってたみたいなやつだ」
ヤマダも理解した。
「それで豚はあんな感じか。バラすところ見せるのは宜しくないしな。俺も見たことなんてないけど。……でも、だからと言ってバトルの必要あるか?」
「バトルのほうが観られやすいからじゃないの?CM入ってたし」
キタザワは少し不思議そうにしている。
「うーん、ここだとバトル形式が普通だからね。疑問に思ったことはないよ」
◇
ヤマダたちは、ホテルに移動することにした。
なお、キタザワもホテル暮らしだからと、隣の部屋に泊まることになっている。
ホテルは、やはり中世ヨーロッパ風の建物で、武器屋と魔法屋と同じく世界観は守っていた。
ホテルの受付カウンターで、ホログラムスタッフが挨拶してきた。
『当ホテルへようこそ、ゲストのヤマダ様、ゲストのクドウ様、炎のキタザワ様。ゲストの宿泊は無料となっております』
不思議に思ったヤマダとクドウ。
「ゲスト?無料?なんで?」
「ここの義務教育を受けてないから?」
(いい質問だ、クドウ。……なのか?)
『はい、義務教育を受けていない方の宿泊は無料です。クーポンはこちらで買い取らせて頂きます』
ホログラム端末が出てきて、スターターセットで払ったゴールドが戻ってきた。
「マジか」
「福利厚生的な感じ?」
キタザワも不思議そうにしている。
「俺も知らなかったよ。これだと、異世界から来たら無料だね。どのレベルの部屋まで無料なんだろ?」
『お一人様150ゴールドのお部屋まで無料となっております。お部屋を変更いたしますか?』
「マジかよ、300ゴールドの部屋に三人とかアリ?」
『300ゴールドの4名様向けの部屋をご用意できます。そちらですと、炎のキタザワ様も無料です』
部屋の画像を見せてもらったら、かなり広い。更に我々の世界の現代風だった。
クドウがキタザワに確認する。
「キタザワさん、うちらまだ聞きたいこと色々あるし、何日か一緒でいいですか?」
「俺もこんな良い部屋は泊まったことないし、無料なら助かる」
部屋に入って驚くヤマダ。
「マジ広いな。義務教育なし勝ち組じゃね?」
風呂とトイレを確認するクドウ。
「いや、言葉や数学とかも習うでしょ。うちらだからであって……。ヤマダ、天然温泉って書いてあるんだけど。これ掛け流しってやつ?」
「マジかよ。たぶん俺らの世界だとヤバい値段だよな」
キタザワが説明する。
「第3地区は普通に温泉だよ。ゴブリンの森にも露天あるし。地区によるんだろうけど」
「気づかなかったわ。温泉ぽい匂いとか無かったし」
「そう言えば、当たり前かもしれないけど、テレビないね。ニュースとか映画とか無いんかな?」
キタザワが答える。
「テレビって何?ニュースと映画は個人用端末から観れるよ」
「あ、やっぱり無いんですね、テレビ。画面サイズ変えられるしな。共有画面で観れるんですよね?」
キタザワがやり方を教えてくれた。と言うか「ニュースを観たい」「映画を観たい」で良かった。
出てきた画面は、我々の世界でいうネット配信サービスのような画面だった。タブレットみたいにスクロール出来る。
とりあえず検索しないで、クドウが操作している。
ヤマダがリクエストする。
「異世界転生アニメねえかな?俺らの世界ぽいの出てきたりして」
「むしろ、実写映画が気になるんだけど……。ヤマダ!右下のサムネイル、ダベンジャーズ系だよね?」
「そんな馬鹿な……ほんまや!ポップテンアメリカとパパイヤーマンおるやん!あらすじ見せろ、クドウ」
((ドキドキ))
「「ダベンジャーズだ……」」
「君らの世界にもあるんだ?ハリウッド映画。何度もやってるんだよね、そのシリーズ」
「「ハリウッド??」」
「うん、アメリカ映画」
混乱するヤマダ。クドウが聞く。
「サブスク?有料で月払いですか?もしくは有料レンタル?」
(いい質問だ、クドウ)
「その映画なら無料で観れるよ。CMを消したいなら有料だけど、この部屋はグレード高いから、勝手に消えるかな?
新作は基本有料だけど、有料作品は、画面の出し方が違う。どのみち、支払い必要なら、確認画面ちゃんと出てくるよ。……そうだ、有料だと共有画面を出した人の支払いだから、今回はクドウになる」
「ありがとうございます。どうするヤマダ?ダベンジャーズのこれ、観たことないんだけど」
「でもそれ続きものだろ。関連から、そのシリーズの最初を探そうぜ。どのみち無料だろ」
その作品は『ダベンジャーズ ワールド・リジェネレーション』というシリーズの5作目だった。クドウは画面を操作して1作目に切り替える。
「なあ、クドウ。リジェネレーションて?」
「なんだっけな?SDGsとかで聞いたことある。元に戻る系の意味」
「リジェネって魔法、その略か」
「ここからだね。ウッドマン タヒる」
「マジか、いきなり主力級がタヒんのかよ!」
キタザワも会話に入る。
「あー、それか。マジでタヒるよ。それ以上のネタバレは止めとくけど」
◇
『ダベンジャーズ WR1 ~ウッドマン タヒる~』
「キタザワさん、ベッドルームなら聞こえないだろうし、付き合わなくても」
「あんま覚えてないから。まあ黙って観てるよ」
「うおー、いきなり映像すげー!俳優やっぱ違うのな」
キタザワが何か思い出した。
「そういえば、3Dも出来るよ」
「マジで?クドウ、やってみて」
「3Dに変えて、だけで良いのかな?変わった。吹き替えで良いよね?」
「3Dで字幕は疲れるしな。この世界、やべえな。しばらく帰る気なくなってきたわ」
映画を楽しんでいるヤマダたち。
「定番のダベりタイム……と思いきや、クラーケンとケートスが出現?」
「ウッドマン単独で海上に出撃?」
「2体ともデカすぎ!一人じゃ無理だろ。ピッグ・ブーブーとアルバトロスマン、まだダベってんのかよ!」
「アルバトロスマンも飛べるのにね。あ、ブーブー言ってるシーン入った。来ないな、これ」
『IT'S SHOWTIME!』
「クドウ?」
「俺も空耳?あるあるだね」
ウッドマンが攻撃を仕掛ける。
「No5.クリーク・クラッシュボム!」
『相手に張り付く時限爆弾だ!』
ウッドマンが、背中のゴルフクラブセットから、5番ウッドを取り出して、手の平から出した爆弾を海中に打ち込んだ。
クラーケンとケートスは、海の中に潜ったので不発。
「No3.スプーン・百万ボルトサンダー!」
『上空から雷を落とす必殺技だ!』
ウッドマンは、3番ウッドを取り出して上に掲げた。3番ウッドから電力エネルギーが上空に放たれる。
雷撃にしてクラーケンに命中させた。暴れるクラーケン。
ヤマダが応援する。
「普通そっちだろ、海なんだから。クラーケン、ビリビリじゃん」
クドウも興奮気味だ。
「まだ生きてんじゃん。クラーケン強くね」
ウッドマンがブチギレて、1番ウッドを取り出した。
「ガッデム!ゴーツーヘル、タコ野郎!私は一度使用するだけで済む武器が好きだ。No1.ドライバー・ビッグバン・スーパーノヴァ!!!」
『全エネルギーを賭けた突進技だ!回復まで1ヶ月かかってしまう。』
ヤマダが叫ぶ。
「てか、タコ野郎て、クラーケンだけかよ。ケートス巻き込めないと終わるじゃねえか」
クドウがガッカリ感。
「ウッドマン、強いけど短気だからなあ。ケートスは、クジラみたいなほうだよね。反捕鯨国だからビビってるのか」
ウッドマンは、1番ウッドを抱えて、彗星のごときオーラを纏い、海中のクラーケンに突っ込んだ。
とんでもない水柱が上がった。
興奮するヤマダとクドウ。
「映像、すげー!」
「たぶん、ケートスもやったけど……。ウッドマン、海に落ちたし。木だから浮かべるか」
場面が切り替わった。
ピッグ・ブーブーが、アルバトロスマンとダベっている。
「そーいやさあ、リヴァイアサンだっけ?あれもクジラぽいよな、アホウドリ野郎」
「そっすね、ブタ野郎」
「レーダー見たら、クジラぽいの2体だったみたい。そーいや、明日の天気予報、ドゥユーノウ?」
「3ミリっすね、80%」
「ガッデム!明日のゴルフ止めとこ。ブーブー」
場面がウッドマンに切り替わった。ボディが木なので、海に浮かんでいるウッドマン。
『IT'S SHOWTIME!』
リヴァイアサンと遭遇した。
嘆くウッドマン。
「一人にしないでくれ。ブタ野郎」
ウッドマンは一撃でタヒった。
「あべし!俺の血、メタルの味がするな」
ヤマダとクドウ。
「続き、明日にすっか。ポップコーン忘れたし」
「ウッドマン、身体が真っ二つ」
【ネタ元】映画『アベンジャーズ』シリーズから、アイアンマンのセリフいくつか。『サーティワンアイスクリーム』から「ポップテン」。『明石家さんま』から「ほんまや」。ゲーム『ロックマン』から「クラッシュボム」「百万ボルトサンダー」。『ゲームセンターあらし』から「スーパーノヴァ」。『北斗の拳』から「あべし」。
一応、「ダベンジャーズ」「ポップテンアメリカ」「パパイヤーマン」「アルバトロスマン」「ウッドマン」「ピッグ・ブーブー」。ここまで崩してダメなら、ディズニーに世界征服されそうです。先に映画『メタルマン』をどうにかして欲しいものです。




