第10話 回鍋肉 by 中華料理ドラゴン
ヤマダたちは、中華料理屋でメインの食事を終えて話をしていた。
クドウが追加注文したので、ヤマダとキタザワは、ゴマ団子や杏仁豆腐を頼んだ。
ヤマダがキタザワに問いかけた。
「さっき言ってた大会って?通常のランキング以外で?」
「政府の主催するキャンペーンみたいなやつ。期間中、指定された場所が特殊ルールに変わる。勿論、条件を満たすと特別報酬が貰えるよ」
「特殊ルールって?例えば?」
「パフォーマンスの時間、攻撃力、HPなどが制限される。それで、制限時間内にドラゴンを10体倒すとか……レアモンスターを探して倒すとか、そんな感じ」
「うーん、バトルのシステムを政府が管理してる感じ?やっぱりゲームみたいな世界だな、ここ」
クドウが会話に加わる。
「うちらの世界でいう、ゲームの運営みたいな感じだね。ひょとしてPvP、対人戦みたいなのもあるのかな?」
キタザワが答える。
「パフォーマーvsパフォーマー?勿論あるよ。普段は出来ないけどね。えっと、大会の告知があってから、練習期間があって本戦みたいな」
「それもパフォーマンスで競うんですよね?それともバトルの勝敗?」
「どちらもある。条件付きだからね。攻撃力、HP、スキルの系統が制限されるから。あまり不公平な感じにはならないよ」
ヤマダが少しやる気になった。
「勝敗で決まるのは面白そうだな。特殊エリア以外だと、勝つのは簡単ってのが、イマイチ乗り気じゃなかったけど。ゴマ団子にポップコーンは、キツいか……」
キタザワが返す。
「まあ、明確な勝敗を競いたい気持ちも解るけども……。キャラ作りのために、制限つけないと暮らせないようなもんだから、勝つのは簡単なようで、実際そうでもないことは解ったろ?」
クドウがこれまでの事を思い出した。
「略してモニカみたいなキャラだと、簡単にドラゴンやら倒せちゃうと、ファンが離れちゃいますもんね。基本は弱キャラで売ってるだろうから。
キタザワさんは、ミスるとAGP出せなくて負けるし……。略してサトウと、略してキョウコさんも、ミスると負ける点は似てる。ポテチありじゃね?」
ヤマダが理解を示す。
「ポップコーンだろ、クドウ。そこは解ってるんだけどさ。たぶん、略してタクヤは、フォロワー集まらないと負けるスタイルになったんだろ。なんかズルい気がするけど……。そういや、略してルタオは?」
キタザワが答える。
「終始圧倒してるように見えたかもしれないけど、あれ、リアルファイトに近いよ。ただの派手系じゃない。俺もそっち寄りを目指してるけど」
ヤマダが興味を持った。
「マジ?そういう感じが良いんだけど」
「最初のスタイリング、鬼神風雷.comは、対戦相手と平均ステータスを合わせるスキル。それで、攻撃技は、全てが割合設定になってる。これで解るかな?」
「なんとなく解ったけど、気絶コンボは?……あ、実際に殴らないと成功しないのか」
「そういうこと。身体は実際に動かさないとならないわけで、君らが観たやつは33発打撃を入れてたろ」
「キツいな……。割合攻撃ばかりだから、気絶コンボを成功させる状況を簡単には作れないのか」
クドウが思いついた。
「対戦相手を選ばないメリットはあるんじゃない?あの体格だから、ゴブリン相手だと映えないけど。ポテチ、のり塩あったよね?」
ヤマダも気づいた。
「ひょっとして、対人戦もそういうことか。スキルの攻撃力が割合ダメージになったりする。たしかサワークリームもあったぞ」
キタザワが同意する。
「そういうこと。スリルを求めるなら、平均ステータスを合わせるスタイルが良いかもね。
新人向けの大会もあるから、最初はそこを目標にするとか……。そうだ、コロシアムがあった」
クドウが質問する。
「コロシアム?対人戦は大会だけだから、モンスターと戦闘ですよね?」
「そうだよ。攻略みたいな目標が欲しいなら、コロシアムは、条件つきで連勝したら特別報酬あるよ」
◇
完食したヤマダたち。
ヤマダは、ふと思ってキタザワに尋ねた。
「そういや、俺ら普通に食ってたけどさ。料理は人間が作ってるんだよね?」
「基本はロボットが作ってるけど。君らの世界は違うの?」
「ウェイトレスはホログラムだけど、料理ロボットもあるの?」
「俺は料理については良く知らないけども、材料を加工したり、スープを煮込んだり、盛り付けたり、役割別にロボットがあるみたいよ」
ヤマダとクドウは、あまり気にしていなかったが、この街には電気ガス水道が普通にある。トイレも水洗トイレだ。
それどころか、ヤマダとクドウのいた時代より、技術が遥かに発展している。
この街は、建造物などが中世ヨーロッパ風を基調としているに過ぎない。さながら未来のテーマパークである。
キタザワが続ける。
「高級店は料理人が作ってる部分も多いらしいけどね。それと、AIは味覚がないから、新しい料理、レシピは人間が考える。量産がロボットなんだよ」
以前、キタザワが、街では稼げないと言った理由は、AI(人工知能)とロボットによって、多くが自動化されているためだ。
それゆえ、簡単な仕事はあまりない。もしくは給料が低い。
一般人は多くの場合、パフォーマーを本職にしたほうが生活しやすいのだ。
パフォーマー以上に稼ぐ方法はあるにはある。音楽をヒットさせたり、キョウコのようにジムを経営したり。そして、公務員のような仕事もあるが、それらは、キタザワからすると例外的な話だ。
どのみち、ヤマダとクドウには厳しい。
キタザワが提案する。
「そうだ。材料やレシピを紹介する動画あるよ。何を食べてるかを知るためと、自宅で料理する人も多少はいるからね。試しに回鍋肉のやつ観てみようか?」
(待て、まさか豚肉は、オークの肉じゃあるまいな)
◇
『IT'S SHOWTIME!』
相手はオーク、豚の顔をしている人型のモンスターである。
(マジか……。やはりオーク肉を使うのか……)
「今回は、回鍋肉の材料を紹介するよ。召喚!システムキッチン&ホイコーロー・イングレディエンツ 2人前!」
『詳細は、バトル後の動画を観てね。トウチは無くても構いません。』
戦うのはシェフみたいな服装の男。ロボットも召喚されており、そちらが料理を作るようだ。
「キャベツ・スライス 120g!」
『切るか、ちぎるかで一口大にします。芯はスライスするか潰します。』
手から一個のキャベツが出てきて、葉がバラバラとなって、オークに向かって飛んでいく。なんて弱そうな攻撃だ。
なお、下の方に「実際の食材を投げるのは止めましょう」という字幕が出ている。
「ピーマン・スライス 60g!」
『これもキャベツと同じくらいの大きさに切ります。』
手からピーマンが出てきて、やはり切られて飛んでいく。
「豚ロース・スライス 160g!」
『薄切りを使用します。キャベツと同じくらいに切ります。』
今度は豚が召喚された。豚の口から、薄切り肉が飛んでいく不思議な攻撃。
ヤマダが騒ぎ出す。
「なあ、クドウ。豚ロースって言ったよな、あれ豚だよな」
クドウが普通に返した。
「普通、回鍋肉って豚肉だよね?牛肉バージョンとかあるん?」
オークの攻撃を避けながら、食材を紹介するだけだった。その他の材料と調味料が紹介された。
「キッチンのほうでは出来ていると思います。完成!回鍋肉 by 中華料理ドラゴン!」
『お味はどうですか、オークさん?』
オークが食べてから言った。
「うーまーいぞぉぉおお!」
オークの身体が光ってから消えた。倒したらしい。
店のCMのあと、レシピ動画があるらしいが、そちらは観なかった。
◇
(バトル形式にする必要あんの?)
世界観の説明回、苦しいですが、ネタほぼないのがネタです。次回は、かなりぶっ飛んでるつもりです。
【ネタ元】『ミスター味っ子』から「うーまーいぞぉぉおお!」。三鷹市新川などにある「中華料理ドラゴン」(偶然被り)。




