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僕との事件簿  作者: 楓花 凪
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君との出会い

「皆さんご入学おめでとうございます!」

 そう理事長からの言葉とともに周りの先生や保護者が大きな拍手を奏でている。

 そして拍手は数秒間続いて、だんだんと音が無くなっていき、理事長のこの学園の良いところを話し始めた。これは長くなりそうだ。

 小一時間話して、理事長は僕たちに向かって一礼をして、下がっていった。下がったのと同時に、ある一人の先生らしき人がマイクを使って、

「え~では、これから新一年の担任紹介をします。紹介が済みましたら、一組から担任の先生と一緒にクラスの教室までご同行お願いします。保護者の方は悪いですがこの学園の教育方針について説明いたしますので、このまま体育館に残ってもらいます。え~では、担任紹介です。」

 一組から担任の先生紹介が始まった。一年生は全部で三クラスあるみたいだ。僕はその内の二組だ。早速一組の先生が出てきた。男の先生みたいだ。がたいが良く色黒で服の上からでも筋肉の大きさが分かる。体育の先生だろうか?でもちょっと怖そうだ。次に二組の先生が紹介された。こちらも男の先生の様だ。だが一組と違って理系の先生の様だ。体も一般男性と変わらず、眼鏡をかけていて優しそうな先生だ。最後に三組の先生が紹介された。こちらは女性の先生で、まだこの学園に来て間もないのが見て分かるような緊張をしている。だが顔は可愛く、もうすでに数名の男子が彼女に視線を向けている。そして先生紹介が終わり、教室の方まで先生と一緒に向かった。学園は四階建てになっていて、一年のクラスは二階となっている。教室に向かっている途中でも先輩方がこちらを見てくる。まぁ無理もない。この学園では規則があり、学園内ではそれぞれの学年で色が違うピンバッチを付ける様になっている。三年は黄色。二年は青。そして一年は緑となっている。僕もこの入学式前日にはピンバッチを一目見ている。デザインはとても良かった。こちらを見てくる先輩方のピンバッチを見ると青色なので、二年生と分かった。後輩の顔でも見に来たのか?と僕は考える。そのような事を考えながら、教室まで着いた。教室内はどこの高校でも変わらない感じがしている。机には一つ一つクラスメイトの名前が書かれている紙がある。皆が自分の名前を探しながら席に着く。一クラスの人数が二十五名程で、席が横に五列あり、それぞれの列に四つの列が縦に並んでいる。僕は窓側の列の一番後ろの席になっている。なぜかこの学校は名前の順では無く、事前にどこの席が良いかの希望用紙に第三希望まで丸をつける方式だ。そして僕の席は第三希望中の第一希望だった。とても嬉しかった。あんまり目立ちたく無かったのでどうしても端が良かった。僕も皆と一緒で席に着いた。

 これから僕のこのしいらぎ学園での生活が始まるのかと、僕はそう心の中でしゃべりかけた。

 そして、担任の先生が前に立ち、

「はい、皆さん席に着いたという事で・・・、改めましてご入学おめでとうございます。皆さんの担任になりました、増田慎吾と言います。どうぞ宜しくお願いします。え~では、皆さんの事を知りたいので一人づつ自己紹介をお願いします。では、こちらからの列の人から順番にお願いします。」

 そう言って廊下側の人から順番に自己紹介を前に出て来て、始めだした。意外とスムーズに進み、あっという間に僕の列まで来てしまった。僕はこの自己紹介がとても苦手だった。なぜなら、自己紹介が上手く出来るか出来ないかではこの学園での生活が変わるからだ。前の中学校では、自己紹介が恥ずかしくて上手く喋れなくて、友達が一人も出来なかったからだ。今回も同じような事が起きるかもしれないかで気が気でなかった。そして僕の番になった。大トリみたいでとてもこの空気感が嫌だった。しぶしぶ前に出て、僕は自己紹介を始めた。

「初めまして。僕は椎葉はじめと言います。皆からははじめと呼ばれてました。とても緊張していますが宜しくお願いします。」

 拍手が良く聞こえる。それもそうだ。自分でも上手く自己紹介が出来たことに喜んでいる。心の中では嬉ながら自分の席に戻った。席に着いても嬉しい気持ちは無くならなくった。すると先生が、

「今日は特にこの後の予定はありません。なのでこれで帰りとなります。明日の予定は部活動の説明と入部についてやりますので、皆さんはどの部活動に入りたいか考えといてください。では、終わります。」

 先生の声とともにチャイムが鳴り響いた。クラスの皆が帰ろうとしている。僕も帰る準備をした。意外と早かった。もう少し時間がかかると思ったが、お昼前に帰れるとは思わなかった。帰りの準備を済まして、教室を出た。階段を下って一階に向かっている途中に遠くからある先輩が向かってきた。二年生の様だ。

「君、一年だよね?」

 女性の先輩だった。髪は短髪でショートと言うよりはボブカットって言う方だった。服装はワイシャツで上着は腰に巻いている。運動系の人ぽかった。

「そうですけど・・・、どうしましたか?」

「実はね、私ある部活に入ってるんだけどね、部員が足りなくて~。廃部になりそうなの。だから一年生で入ってくれる人いないかな~って探しているの。あ、別に強制ではないよ。明日の見学で気になったら来てくれて良いからね。じゃ、また明日!」

 そう言って、彼女は去って行った。勧誘の声なんか初めて聞いた。今までそんなことは無かったので、初めての体験だった。どうしようか考える。廃部になりそうということはそれほど変な部活か?どっちにしろ僕は入りたい部活などは無かった。まぁ見学くらいは行こうと思った。外に出ると青空がより青くなっていた。



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