05 難題
次にふたりがやって来たのは、その辺りで一番大きな町でした。
いくつかの旅の補給をしていこうと、ふたりは町中に入ったのですが、なんだか様子がおかしいです。
どうやら、町は『立て看板』の噂で持ちきりのようでした。
「あの愛らしい末姫さまが、ご病気だなんて」
「相好が変わるほど、顔が腫れているのだとか」
「おいたわしい」
漏れ聞こえる話によれば、立て看板には、王国の末の姫が病にかかり、治したものには褒美を与えるというようなことが、書かれているようです。
「国中の医者が匙を投げたらしい」
「隣国からきた医者もだと」
「どんな薬も効かないとか」
「祈祷師も聖職者の祈りもダメだったようだ」
「冒険者が、伝説の薬草を持ち込んだらしい」
「へぇ、どうなった」
「なんの薬効もないただの草を、その冒険者が高値で買い取らされていた、っていうオチさ」
「なぁんだ。それにしても、なんとかならないかねぇ」
そういった話題で持ちきりなのでした。
たしか、この国の王はライオン、王妃はトラでしたね。反対された末の大恋愛婚。素敵じゃないですか。
その末の姫は、仔猫のように愛らしいのだとか……。
わたくし、この世界の理として、直接介入はしないと決めているのです。
そうでなければこの世界、人口比率がおかしいことになってしまいますからね。
初めから線引きしておかなければ、自重できないとわかっています。駄女神と笑ってやってください。
そうして自らを嘲っているうちに、話しは進んでいたようです。
「これも、『魔女』に聞いてみようか?」
「『深淵の魔女』の不思議な力なら、何かわかるかもしれないわ」
ふたりは、どちらともなく頷いて、そのように決めました。
また、ある町では、町の真ん中に立つ、大樹が名所として知られていました。
けれどもその木が、なんだかとても元気がないのです。
町に住む人に聞いてみれば、一月前からだんだん元気がなくなって来ているそうです。
「いろんな人が、いろいろ調べたんだけどねぇ、なぜだかわからなくて。ずっと長い間、ここに立っていた木だから。歳なのかねぇ」
と、町の大樹をとても愛する老婆は、悲しそうに俯くのでした。
そして、ふたりはまた話し合います。
「これも、『魔女』に聞いてみる?」
「そうね『深淵の魔女』の不思議な力で、何かわかればいいけれど」
どうせふたりは魔女に会いに行く。
せっかくだからと、各地の難題を、魔女に持っていくことにしたようでした。




