14 悲劇
呆然とする梟が、シャンデリアに止まる頃、白猫の彼女は、王さまに聞きました。
「王さま、末姫さまは、おいくつになられましたか」
「もうすぐ、ここのつになる」
王さまは、顔を覆ったままうずくまる王妃の、震える背を撫でていました。
白猫の彼女はひとつ、頷くと、白い梟に顔を向けました。
「魔女よ。あなたは森に7年いると言っていましたね」
シャンデリアに止まる梟は、ガクガクと震え始めました。
「そして、魔女として、森へ入ったのが3歳のとき」
梟は、今度はいやいやと言うように頭を振りはじめました。
「あなたは10歳、末姫さまは9歳。そして……5歳になるまでに亡くなった姫は、末姫さまのひとつ上」
「あ、ああ、あああ」
梟の口から、唸り声のような、声が漏れだしました。
「もしかして、亡くなった姫は『魔女』だったけれど、末姫さまは私と同じく、『似ているけれど魔女ではない』ひとなのではないですか?」
「ああっ、ああああッ!」
白猫の彼女のその言葉に、梟の魔女は、半狂乱になって飛び始めました。
シャンデリアが、大きくガシャンと鳴って、揺らぎだします。
「どうして! どうして、『深淵の魔女』の気配がないの! どうして! どうして、それなのに、わたしの呪いの気配が強いの!」
どうして、どうしてと騒ぎながら、梟はあちこちにぶつかりながら飛び続けます。
どうして、どうしてと叫びながら、シャンデリアの周りで風を起こすように、飛び続けます。
どうして、どうしてと泣きながら、謁見の間の中を縦横無尽に飛び続けます。
どうして、どうして。
「どうして、わたしは、呪ってしまったの」
滂沱の涙を流しながら、部屋の中心に、梟は降り立ちました。
「まちがえた、わたし、まちがえた。関係のない仔を。関係のない仔を……」
泣き笑いの表情で、梟の魔女が天を見上げた、その時でした。
「あぶない!!」
ガシャーン!!
……強く揺らされた、シャンデリアがあったのは謁見の間の中央でした。
梟は、意外にも、満足そうな、安らかに眠るような、そんな顔をしていました。
次が、最終回となります。




