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研究バカは転生しても直らない!  作者: 犬ガオ
第一章 暴走研究王女、誕生

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研究魔、怒られる

1400PVありがとうございます!



 暗い世界。私の周りに虹色に輝く光体が廻っている。

 はあ、と私は溜め息を吐いた。


「むーちゃん……私の身体に何したの?」


 私が『むーちゃん』と名付けた、私の無意識体である光体が、光の強弱を繰り返す。

 単調と長調。はっ、モールス符号か!


「ごめん、もう一回最初からお願い」


 明滅を止めて、しばらくしてからむーちゃんが信号を送る。

 えーとなになに?


『この研究バカ』


「いきなりバカ呼ばわり?!」


『生後百八○日前後でハイハイをマスターして

【神霊石】という謎器官を使用しての長距離移動

挙げ句の果てに精神力の限界まで使って本を得ようとする』


「……がんばったね、私」


 移動手段のために、身体動かして筋肉を育て、

 エレメンタルソナーを使って【霊素】の扱いを習熟し、

 エレメンタルハンドを覚えてからは起きていたら常に発動して練習し、

 体力を総動員して書斎の本棚というフロンティアに辿り着く。

 あれ、なんかデジャビュ……。


『いったよね もっといのちだいじにします っていったよね』


「はっ」


 産まれる前の私の宣言、『いのちだいじに』を思い出す。


 あっ、めっちゃ無理してる。よくよく考えたら零歳児でやることじゃないよこれ。


 長い沈黙。その後、むーちゃんは明滅を始める。


『忘れてたの』


「すみません……」


 すっかり忘れてました。


『呆れて物が言えないよ』


 言ってませんからね、それモールス符号だからね。


「面目次第もございません……」


 とは言えず、私は指を揃えて土下座するしかなかった。

 自分に土下座するというのはなかなか出来ない体験よね……。


『ともかく 研究に熱中したら我を忘れるのは把握したから』


「したから?」


『無茶したときは遠慮無く意識を落として眠らせる』


「そんな殺生な!?」


 やっぱりあのブレーカーが落ちる感覚はむーちゃんの仕業か!

 私の無意識なのに私より権限強くない?!


『身体のことについては私が上』


 って、心読まれてるよ! さっきのツッコミも聴かれてた?


『当然』


「なんでそんなに権限が強いの……」


 なんか納得できない。そんな私を無視して、むーちゃんは続けてモールスる。


『いーちゃんは制限かけたらストレスが溜まるタイプ』


「イーチャン?」


『私の意識体だから いーちゃん』


「なるほど。さすが私、ネーミングセンスも一緒」


『それほどでもない』


 へんな所で納得する。情報の共有とかできるのかな。今度試してみたい。


『ストレスを貯めるのは身体に最も毒』


「そうだね」


 うむうむ。生物にとって溜まるストレスは最大の敵。適度なストレスと共に生きたい。

 さすが私の身体を司るむーちゃん、よくわかってるぅ。


『いーちゃんはずっと研究していたい 止めるとストレス』


「そう、だね」


 さすが私の身体を司るむーちゃん……よくわかってるますネ。


『なので 強制的に眠らせる』


「はい、そこ。それオカシイ。なんで問答無用なの。警告とかそんなのでいいじゃん」


『おかしくないよ いーちゃんが警告を無視することはわかったことだし』


「うっ、それは否定できない……」


 前世では、身体からの警告と秘書子からの通知を全部無視した結果、死んだ私が信用されないのは当然だった。


『いーちゃんは寝落ちするだけ 私は安心する 身体は健康になる ウィンウィンウィン』


「オウ……そう思うとなんか便利な気がしてきた。っていやいやいや、作業中いきなり寝落ちはだめでしょ」


『寝ないと作業効率おちるよ これはいーちゃんのためなんだよ』


「私のためって……」


 でも、強制シャットダウンとか荒すぎじゃないかな!

 PC作業中に電源ボタン長押しとかされると発狂モノだよ!

 だいたい、殺されそうなときとかどうするの!


『命の危険がある場合はしないよ』


「当たり前だよ!」


『ということで ブレーキ役は私がするから』


「私はアクセル役ってこと?」


『そう』


「あんたは自動車教習所の先生か!」


 ちなみに現在は自動運転技術が発達しすぎて虫の息の職種ですけどね!


 そしてしばらく、私の充実した研究ライフのために、私はむーちゃんと強制スリープ条件について交渉を続けた。


 結果、以下のルールで決まった。


・いーちゃんの行動が身体の成長・健康に影響を及ぼす場合、強制スリープする。

・強制スリープは、命の危険がある状況の場合、無効となる。

・いーちゃんが頑張りどきの場合、強制スリープは無効となる。このルールの適用は、むーちゃんとの協議を行った上で決定する。


 三つ目のルールは、私が頑張った証です。

 しかし、研究してる途中でいきなり強制睡眠が頻発したら集中なんて出来やしない。

 どうしようかな……と考えていたときに、天啓が私に舞い降りた。

 そうだ、身体を鍛えればいいんだ!

 今は身体が弱いので、長時間の研究に耐えられない。だから、身体を鍛えて無理しても大丈夫な領域を広げる。

 前世は身体を鍛えるなんてしてなかったけど、今から鍛えたらすごいことになりそう!


 目指せ、オリンピックでも活躍できる研究者!


 こうして私の、零歳からの修行生活が始まった。

次回更新は5/20予定です。

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