ドリームマン
また夢を見た。
何もない空間で、僕は一人の男と話している。
『やぁ、君が『SCP-■■■■-AW』か』
男はほとんど一方的に話しかけてくる。僕は相づちをうつのが精一杯だ。
『全く、酷いかたちになったものだね。君はもう、人としての原型が無いじゃないか。そのうちSCP-914に自分を突っ込む気かい?』
言われて自分の手を見る。ああ、本当だ。僕の手は、手と呼ぶべきものではなくなっていた。
指は繋がり、一本の触手のようになり意識すれば裂け、何本もの細い触手の集合体になった。皮膚は緋色に染まり、腕は関節があり得ない方向に曲がった。緋色の肌からは緑色のスライムがドロドロと溢れ出し、足元で水溜まりを作り始めてる。多分、こういうのは序の口で全身にもっと凄いのが広がってるんだろう。こんなの、異形のものとしか言えない。でも、いつこんなのになったんだろう?
『なに、それは君の夢の体さ、夢の中だけの、もしかしたらいつか表層に現れるかもしれない、君のもうひとつの体だ』
どうして僕の体はこんなことになってるんだ?
『そりゃ、もう君自身も気づき始めてるんだろう?君は狂い始めてる。そのうち本当にその体が君の体になるよ。やり方は知らないけどね』
荒唐無稽な話なのに、なぜか信じられた。
『さて、早く起きなさい。《王》が目覚める。さらに強化された魔族たちによって君達はあっという間に蹂躙されるぞ』
「はっ!」
がばりと布団を吹っ飛ばしながら目覚める。
「今の、夢は……」
あれは、ただの夢じゃない。
SCP-990《ドリームマン》だ。
彼は財団職員の夢に現れ世界が滅亡するような予言を残して行く。その予言はどれもこれも正確で、財団が水際でそれを防いできたのだ。
「伝えなきゃ……」
彼が出てきた。jobスキルのレベル2の言葉、異界の門が開き始めた。ジャック・ブライトが出てきた。《王》が目覚める。
SCPが、僕やブライト博士、SCP-003以外の方法でこっちの世界に流れ込み始めてる。
それよりも、とにかく伝えなくてはならない。
「魔王が、来る」
SCP-990《ドリームマン》
オブジェクトクラス Keter
財団職員の夢の中に現れる男。世界終焉シナリオを予言し、財団に防がせている。
予言が的確すぎて予言を受け取った者は大体狂死する。
http://ja.scp-wiki.net/scp-990




