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閑話 その弾丸の行き着く先は

週一投稿、出来てますかね?かなり不定期でごめんなさい。

閑話で佐藤くんと岡田さんの語らいです

 ボルトを引き、薬室を解放。そこに新しい弾を装填。ボルトの位置を戻し、捻り薬室を閉鎖。これで発射準備完了。まだ引き金に指はかけない。


 《遠視》スキル発動。一キロ先の的をしっかりと見据える。


 jobスキル《演算》。以前の弾道データと現在の風向き、風速、湿度などから弾道を予測、狙いを定める。ここで引き金に指をかける。


 発射。耳栓をしていないと耳が壊れるような轟音が鳴り響く。そして―――


 着弾。狙いは的のど真ん中に当たっている。薬莢は自動的に排夾されボルトは開いたままになる。


 「――ふぅ……」

 「随分とお疲れだな。岡田。一体何発撃った?明見も弾丸造るのには苦労してるから程々にしてくれよ?」

 「う……わかってるよ……」

 「ならいいが。どうだ?慣れてきたか?」


 帝国の城壁の上、そこで岡田と佐藤が二人で話し合っていた。


 「まぁまぁ、だね。びっくりしたよ。あのとき突然こんなの(対戦車ライフル)取り出して『撃て』何て言うんだもん」


 ぷぅ、と頬を膨らませて怒ったような素振りをする岡田。それに佐藤は困ったような表情で頬を掻く。


 「悪かったよ。あんときゃあれが一番だと思ったんだ。それにこういうのはお前のスキル的にも得意だろ?しかも横で見てる限りじゃ銃の構えは一丁前だったぞ?」

 「まぁ、そうだけど……」

 「ま、鳳凰院が回復するまでそいつの練習でもしとけ。マナポーションはたんまり買い込んだしな。明見が痩せ細るまでこき使って弾薬の用意はしといてやるよ」 

 「あ、ありがとう……」


 岡田のjobは『数学者』。その名の通り演算を得意としその計算能力は並みのスーパーコンピューターを超える。ルシファー戦でも弾丸の質量、火薬量、その他様々な要因を瞬時に計算しつくし正確にルシファーの頭を撃ち抜く――はずだった。


 「ねぇ、どうしてこんなとになっちゃったんだろうね」

 「あ?」

 「私達、いつもみたいに学校に来て、授業受けて、部活動して、帰りにファーストフードのお店行って下らないおしゃべりして、そんな日常を送ってたただの高校生だった筈なんだよ?」


 その顔はいつの間にか泣きそうな顔に代わり、目尻には涙が溜まっている。


 あのとき、撃つのを一瞬躊躇してしまった。その結果弾は予定を逸れ、ルシファーの剣を砕くに留まったのだ。


 「なのに、なんで突然異世界に連れてこられて、人殺しさせられてるの?」

 「……」

 「違うと思う?違わないよ。おんなじ言葉を話して、見た目が違って、違う思想を持ってるだけ。そんなの黒人と白人の違いと変わらないよ」

 「ああ」

 「鳳凰院君はこんなとこに来てもお人好しを発揮したのかと思ってたけど、さっき会ったとき、違ってた。まるで何かに強制されてる見たいにまた魔族を、魔王をって、おかしくなってた。クラスメイトの皆も、あのダンジョンに行く前、力に酔ってた。まるで神様か何かになった見たいに人が変わって、平気で生き物を殺して、凄く怖かった」


 岡田は何かに怯えるようにグリップを握り、感情を吐露していく。


 「皆の半分がお城から出なくなった時、安心した。正気に戻った。また一緒にもとの世界に戻る方法を一緒に考えようって、言いたかった」

 「ありがてぇ話だ」

 「でも、他の子達が止めたんだ。やめようって、戦う意思の無い人たちに何を言ったって無駄だって。考えると言ったって一回死にかけるだけで怯える奴等だ。恐怖で思考停止してるって」

 「一理ある」

 「そんなのおかしいよ。どうしてそんなことが言えるの?皆、皆一緒だったじゃん!皆おんなじだったじゃん!平和な世界で生まれて、戦争なんてほんとはしらずに生きてきたじゃん!何で怖くないの?何で怖がってる人を見下してるの?死にたくないって思うのはダメなの?なんで?なんでよぉぉ!」

 「っ!」

 

 岡田はライフルを投げ捨て、佐藤の胸にすがり付き、泣き出した。その泣き声は悲痛で、どうしようもないほど、突き刺さった。佐藤は困ったように手を虚空にさ迷わせ、岡田の頭に置いた。そして頭を撫でながら言う。


 「そうするしかねぇんだ」

 「……」

 「お前もわかってるだろ?()()()()()()()()()。というか帰れない可能性のが高ぇよ。何せ異世界同士ランダムでを無理矢理繋げてそこから人間引っ張ってきてんだ。よしんば帰還魔法ができてもそれは帰還じゃねぇ別の異世界か良くて元の世界に限りなく近い異世界に行くだろうさ。知ってるか?杜若のjobスキルで召喚してるもの、俺らの元の世界に限りなく近い異世界から召喚してんだぜ?もしかしたらそんな世界に行っちまうかもな?鳳凰院もわかってんだよそれが。どうしようもないから。クラスメイト皆が生きられるようにするには、クラスメイトを襲う脅威を排除するしかねぇんだよ。魔王も、魔族も、それこそ神すらな」

 「……」

 

 佐藤は黙ったまま動かない岡田の背をとんとんと叩きながら座る。そのままあぐらをかいた所に岡田が収まりコンパクトな見た目になる。

 甘えん坊な子供みてぇだ、と内心呟きながら佐藤は話していく


 「だからな、俺らは生きなきゃいけない。この何もかにもわからねぇ世界で、な。もうクラスメイトも何人死んだ?5人だ。はは、バカみてぇだ。俺らが聞いたあの話を言ってた聖王国の糞貴族はいつの間にか誰かにバラされて晒し首。聖王国の奴等は一人も死んでねぇし傀儡にもされてねぇってよ?オタクきもーとか、陰キャだなんだと言ってきたあいつも、そんなん気にせず仲良くなろうとしてきた馬鹿野郎も、おっ死んじまいやがった。ふざけんな。世界を救うとか、そんな大層な理想を持たずにゲーム感覚で戦って、殺されて、死んだんだ」


 びくり、と岡田の体が震える。帝国に帰ってきたとき岡田は気づいていた。一緒に帝国に来ていたはずのクラスメイトが何人か居ない。でも、知ろうとしていなかった。

 きっとどこか別の作戦に使われてるんだろう。この世界の人達にはない強力無比な力が彼らを守っているはずだ。そんな彼らが死ぬはずがない。そう、信じ続けていたのだ。


 「う、うぁぁぁぁぁ!」

 「もうなんでなんて言ってる暇無ぇんだよ。もう、ここは戦場だ。生きるか、死ぬか。それだけなんだよ」


 辺りはすっかり暗くなり、地球(日本)では見られなかった星が光輝く満天の夜空が広がっていた。

これからは最低週一の更新を行おうとしています。どうかこれからも楽しんでいただけると幸いです。

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お読みいただき有難うございます!
ストーカーの転生憚~前世では守れなかった貴女を、今度こそ~
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