異世界初のDクラス
難産です。更新ペースが遅くなりますが許してください
実験からすこし前のこと。
「おお、杜若、起きたか……って何してんだ?」
「新しいスキルが生えてね。魔眼系でちょっと危ないから隠してるんだ。目を合わせると発動するからこれで何とかなりそう」
「はは、なんだそれメデューサの『石化の魔眼』みたいだな」
ステータスプレートを確認した僕は目を隠す方法を目覚めて少ししたら来た医者に頼んだ。目は閉じたままで。そしたらこちらから見ると透けて、向こう側からは見えない布を渡された。元々魔眼系統のスキルを持った罪人や貴族の力を封じておく為の安全装置みたいな物の一つらしい。
これ幸いと僕はそれをつけて目を隠している。これで一応の対策にはなっている……かもしれない。
スキル《緋色の魔眼》
目を合わせた存在にSCP-444-JP█████[アクセス不許可]の症状を付与する。また、スキル所持者の血液を見ても同じことが発生する。
まさかSCP-444-JPに憑かれるとは。
SCP-444-JP。もとの世界では『緋色の鳥』とか呼ばれてた。
こいつは元々一枚の紙切れに書かれた祝句から始まったSCPだった。
とある施設をSCP財団が占拠。その時に偶然この紙切れを拾い上げ読み上げた職員が就寝した時物凄い悪夢を見たことが発生しSCP-444-JPの存在が発覚した。
SCP財団は最初SCP-444-JPを《紙に書かれている祝句を唱えると現実世界でその祝句を何らかの方法で書かないと脱出できない悪夢に囚われる》SCPだと考え、様々な実験を行い、鳥にエサを与えた。
その結果鳥は大きくなり、現実世界でも影響を及ぼし始めた。
夢について記憶処理したはずの一番始めにSCP-444-JPを読み上げた職員が発狂。周囲の人間に暴行を行った。最初は何とか対応出来ていた職員達もその発狂者の数が増えたことにより最終的にSCP-444-JPを収容していたサイト-8141は壊滅した。
SCP-444-JPは『感染』する。SCP-444-JPという存在を『認識』し、知った時点でSCP-444-JPは知った人間を『見つける』。そうなるように、そうなるほどに成長してしまった。
だからSCP-444-JPの収容方法は一つだけ。
知らないこと。
「それで、今どういう状況?」
「ああ、とりあえず俺らとあの姫騎士で魔族の幹部の《七大罪》を二人も殺したからな。魔族一度撤退、あいつらが潰した国の一つを城壁直して使ってるよ。こっちは今は怪我した奴の治療と帰ってきた『勇者』のハーレムメンバー二人への事情聴取、あとはあのアルトとか言うのもだな。お前が杜若義彦ってことも伝えてあるぞ?」
ニヤニヤしながら伝える佐藤。はぁ、面倒なことは伝えてくれたと喜ぶべきか……?
「で、どうすんだ?その『魔眼』、大丈夫なのか?」
「目を合わせなければ……多分。あんまりこれについては知らない方がいい。……で、リーゼロッテさんはなんて?」
「それは気になる言い方だが、ま、いいさ。姫騎士さんは目覚めたらさっさと来いだとさ。首ちょんは免れるらしいから喜んどけ」
それは……良かった、のか?いや、生きられて、血が流れてSCP-444-JPが拡散するのを防げるなら良いことなのだろう。あれ?よく考えたら僕もう不用意に怪我出来ないぞ?
「どうした?」
「いや、色々と考える必要が出てきた。リーゼロッテさんのとこにいこう」
「わかった。いくぞ。そんなんしてて見えてるのか?」
「なんかこっち側からは透ける奴だから大丈夫。あれだよ、マジックミラー的な」
「了解だ。なら安心だな」
僕たちはとくに喋ることもなく進み、とあるドアの前に立った。佐藤が軽く三回ノックし、声をかける。
「おう、佐藤だ。アンタの勇者様を連れてきたぜ?」
おどけた口調で言った佐藤は勢いよく開かれたドアに吹っ飛ばされ壁に埋まった。白目を剥いてぶっ倒れた。
「ふぅー!さて、説明してもらおうか?ヨシヒコ?」
その顔は赤く怒りに染まってた。あ、これは物理的に死ななくても精神的に死ぬ奴ですねぇ……
「馬鹿者!通信用魔道具を宿に置いてきたなど信じがたい!何をしていたのだ!?」
「いや、まさかブライト博士に宿に戻る前に遭遇、強制転移されるなんてわかるわけないじゃないですかぁ……」
「むぅ……その、ブライト博士と言うのもヨシヒコと同じえすしーぴー?を召喚できるのだろう?」
「彼が、というより彼が乗っ取っている体が、ですがね。彼自身かSCPです。彼の目的は不明。ただ幾つかのSCPは召喚できなくなりました。転移系SCPと回復系はほとんど全滅です」
「むぅ……それは、少し困るな。移動系はかなり重要な物だ。そのブライト博士とやらの問題が何とかなるか魔族の大軍を退けるまで冒険者業はお休みだ」
「う……」
「ん?どうした?それだと何か不都合があるのか?」
「えーっとですね……」
僕はナルメアちゃんのことを話し、彼女をどうにかして助けてあげたいことを相談した。その答えは余り理想的ではなかった。
「むぅ……ヨシヒコが保護した冒険者仲間か……助けてやりたいのは山々だがそんな余裕は今は無い。すまないが新兵一人を使者に送るくらいしか出来なさそうだ」
「いえ……それだけでも十分です。ありがとうございます」
さて、僕の本題に入ろう。
「リーゼロッテさん。相談があります」
「なんだ?」
「理由は言えません。どうか、この国の死刑囚を幾らか、貰えませんか」
結果、話は通った。スキルにとても危険なものが出現し、扱いがとても難しいことを話した結果皇帝の方に話が行き、話した三日後には専用の部屋も出来た。クラスメイトの空間魔術師が作ってくれた異界化した地下室。万が一収容違反が発生したときは僕ごとこの世界から切り離せるようにしてある優れものだ。ちなみに僕は知り合い以外にはソフィア・パーシモンという不思議なアイテム使いという設定になっている。バレたら面倒だしね。
名目は新たな刑の設立、実際はただのSCPの実験。財団がやっていることと同じだ。死刑に生き残れたら国の特殊部隊に入れるなんて嘘っぱちまで用意してある。永遠に彼らはDクラスだって言うのに。
少し罪悪感に包まれながら、僕は実験室に入った。




