試練の洞窟 ボス 《コボルトロード》
Pvが突然倍近く増えて驚いてます。これからもよろしくお願いします。
「……どうする?」
階段を見て、ナルメアちゃんに問う。
「……行こう」
このダンジョンの五階層はボスの部屋だけで構成されている。このまま攻略してしまっても良いのかもしれない。
「わかった。最後に装備の確認を」
僕達は装備の確認をしていく。
主武器の片手剣、多少の脂が付着しているから念のため拭き取る。
ベルトに取り付けたポーチ。なかに入っている薬品類は問題無し。容器のガラスにヒビはない。
いざというときに用意したSCP-117《完璧万能ナイフ》。落としてない。ポーションと一緒にポーチに入ってる。SCP-427《冒涜的なロケット》は僕の首にかかってる。ナルメアちゃんの治療をしたあの日から返還していない。SCP-109《無限水筒》もだ。
「僕は大丈夫。ナルメアちゃんはどう?」
「私も大丈夫。行こう」
僕達は階段を降りていく。周囲の音は僕達が階段を降りる音しかせず、魔力灯が静かに揺れるのみだ。
階段を降りきったとき僕達の前には僕達の身長を合わせたくらいで両開きの大きな扉があった。一呼吸置き、ナルメアちゃんと顔を合わせ、頷く。そして扉を押す。
扉は思ったより抵抗なく開いた。扉の中の部屋は無人で、魔力灯とは違う松明のような赤い光が部屋を満たしていた。
「無人……?」
ナルメアちゃんのいぶかしげな声が部屋の中を反響する。その時、部屋の真ん中に陽炎が発生する。
だが、あの陽炎は違う。僕達の世界の真夏、車のボンネットや道路の上に発生するような熱によるものではない。
魔力だ。魔力がこの部屋の中心に集まり、光を歪めているのだ。
その歪みがだんだんと質量を持ち始める。その質量物はだんだんと形を成し、僕達の拳大の魔石になる。その魔石の周囲にまた魔力が渦巻き、今度は骨格ができ、肉が付き、その生物を形どった。その生物の手には僕の身長ほどもある大剣を持ち、産声を挙げた。
「これが………《試練の洞窟》ボス、《コボルトロード》……!」
それは三階層、四階層で見た二足歩行する犬、コボルトの特徴を持った三メートルほどの巨大生物だった。
コボルトロードはその大剣を大上段に構え、距離を詰めに来る。
「二手に別れて!注意をこっちに反らす!ナルメアちゃんは隙を見て攻撃、お願い!」
「了解!」
ナルメアちゃんは壁沿いに走り出し、僕はコボルトロードと距離を詰める。そうすれば当然知能の低いコボルトロードは僕に狙いを定め、不用意に剣の間合いに入った僕をその大剣で叩き潰そうと振り下ろした。
「隙だらけぇ!」
大上段からの振り下ろしは強力だがモーションから回避がしやすい。僕は最小限の動きでそれを回避し、腕に切りつける。狙いは健。体を動けなくさせてタコ殴りにしてやる。
そう思った剣はあっさりとコボルトロードのその剛毛に防がれた。
「かった!」
なんだこれ、軽く刃こぼれ起こしてるぞ⁉どんだけ固いんだよ!?
「やぁぁぁぁ!」
僕の次の行動を見定めていたコボルトロードの後ろにナルメアちゃんが奇襲をかける。
が、これは軽く傷をつけただけで終わる。ナルメアちゃんに気づいたコボルトロードが拳を咄嗟に後ろに振り回すがナルメアちゃんは既に拳の範囲から逃げている。
「どうする?」
幸いにもコボルトロードの攻撃は避けたり受け流すことはできる。だけど決め手がない。まるで将棋の千日手のようだ。
奥の手のSCP-117を使う?いや、なるべくこいつには頼りたくない。何が出てくるか分からない上に使用時のデメリットが大きすぎる。
くそ、どうすればいいんだ。




