お腹すいたなぁ
パラパラと砂粒が落ちてくる感覚で目が覚める。視界一杯には土の天井。
「知らない天井だ…」
言ってみたかった言葉第十五位位の言葉。一人だからこそ言える。
と、そんなことを言っている場合ではない。今の状況を確認しなくちゃ。
まず、僕は上の階層から落ちてきた。落ちてきたと思われる(というより穴を開けた)天井は見たところ目だった穴がない。穴なんてまるで無かったかのようだ。
「修復機能かな?」
僕が生存していると判断される材料が減った。帰ったら死んだ人扱いされてそうだ。
次に持ち物。ダンジョンに入る前に渡されたリュックの中に水筒、干し肉、水薬、カンテラなどの探索キットに何かあったときのために渡されてた金貨五枚。あと解体用ナイフ、SCP-117、ステータスプレート。落としてなくて良かった。
地面は半径1メートルは平面だけどそこから3メートルくらいは下に下る斜面になってる。高さは2メートルくらい。円錐形の上の部分を綺麗に切り取ったような状態だ。SCP-117で溶かした通りにそのまま落っこちたらしい。天井は元に戻っているのにここは変わらないのが不思議だが気にするまでもないだろう。
「とりあえずは…安全?」
安全確認をして、気が抜けたらお腹が空いていることに気がつく。
「とりあえずごはん食べよう」
バックから干し肉を取り出してふと気づく。
「何でこんなぴんぴんしてるんだ?」
SCP-117でぶっ倒れるほどに今体内にある金属成分は無くなった筈なのに今は全く不調が無い。普通死んでるよね?
「レベル上がったからかな?」
多分頑丈になったんだと思う。難しい事はよくわからない。
「ごっはんーごっはんー」
干し肉を薄くナイフで削って食べる。塩味が効いてて塩辛い。不味くはない。不味くはないのだが……
「ジャンクフード食べたい…」
そう、ジャンクフード。ピザ、ハンバーガー、その他もろもろ。かれこれ一ヶ月この世界にいるけどやっぱり食べたい。と、なればもちろん。
「SCP-458《はてしないピザボックス》!」
SCP-117の時と同じように大きく展開される魔法陣。魔法陣は僕のお腹の前あたりに収縮して、一つの箱になった。またウインドウが表示される。
SCP-458 《はてしないピザボックス》
オブジェクトクラス Safe
スキル《無限のピッツァ》
使用者の好みのピザ(調理済み)が出てくる。火傷に注意。
「やぁりぃ!」
僕はうきうきとして箱を開ける。中にはピザが入ってる。全体にたくさんのモッツァレラチーズがばらまかれ、トマトも同じくらいある。それに覆い被さるようにかかっているピザソース。一般的な、ピザそのものだ。切れ込みもすでに入ってる。それが今、目の前にほかほかと湯気をたてて存在している。何で箱から出したピザが暖かいんだとかそうゆうのは知らん。それがSCPだ。
そのピザから一辺を切り離して食べる。
「んまぁぁぁぁい!」
口のなかに広がるチーズの味わい、それがくどくならないように調整されたトマトやピザソースがとても美味しい。僕はそのまま一心不乱に食べ続けた。
SCP-458 《はてしないピザボックス》
箱のなかからその人が好きな味のピザが出てくる。美味しい。
http://ja.scp-wiki.net/scp-458