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再会

 ぱちり、と目が開く。外は明るく、南に向いた窓から太陽が見える。昼ごろまで寝過ごしたようだ。


 「んぅ……あたまいたい……」


 ぐしぐしと目を擦り、痛む頭を抑えてむくりと起き上がる。始めての飲酒で限度を間違えたのだろう。これが二日酔いか。


 さっきまで僕が寝てたベッドではまだナルメアちゃんが寝てる。女の子になったからということで節約のために最近同じベッドで寝させられるようになったのだ。昨日ははしゃいだからね。まだ疲れてるんだろう。

 幸せそうに寝るナルメアちゃんを見る。

 お金には余裕があるし、今日はお休みにしようかな。


 バッグから懐中時計を取り出して時間を確認する。11時。うん。やっぱりお昼だ。

 ナルメアちゃんを起こそうとしたとき、トントン、とドアがノックされた。宿の女将さんかな?あの人こんな優しいノックしたっけ?取り合えず応対はしたほうが良いかな。

 僕はナルメアちゃんに毛布をそっとかけ直しドアを開けた。開いた先には、


 「こんにちは、君は、ナルメアさん?それとも、ソフィアさんかな?」


 本町君(チーレム野郎)がいた。



 「改めてこんにちは、ナルメアちゃん、ソフィアちゃん。僕は本町祐介。勇者なんてものをやらせてもらってる」

 「こ、こんにちは……」

 「・・・・・・」


 突然現れた本町を取り合えず一回部屋から遠ざけ一階で待たせ、ソフィアちゃんを起こして今に至る。

 ヤツはハーレムパーティーでこの宿屋に来ていた。その一階の食堂、個人スペースで勇者との会談が行われている。

 昨日ステータス測定で勇者だなんだといわれてそして本当に勇者だと認めた本町の爽やかな挨拶にナルメアちゃんはしどろもどろになっている。なんか顔も赤いし。

 なんかムカつくな。


 「で、その勇者様が私達駆け出しEランクパーティーに何のご用ですか?」

 

 ちょっと言葉に刺を持たせて本町君に話しかける。

 

 「君達に聞きたいことがあってね?」

 「何の話ですか?私達のステータス?スキル?それともまさかスリーサイズですか?変態ですね」

 「ちょ、ちょっと!?」


 僕の巧みな話術に翻弄されている本町君。本町君の後ろで「スリーサイズ……?」と僕を見て首をかしげる女子高生達。なんだお前ら、僕は男だけど今は女の子なんだぞ。


 「話をそらそうとするんじゃねぇ、ガキ。わかってんだろ?俺達が何を聞きに来たのか」


 イラついたように今まで黙っていた小野寺君が威圧感を持って質問してくる。


 「だからスリーサイズ……「ソフィア=パーシモン。ヨシヒコ・カキツバタは何処にいる?」……」


 すっとぼけようとしたらもうそれを潰して単刀直入に聞いてきた。


 「お前のパーティーメンバー、ナルメアっていったか。ヨシヒコ・カキツバタっつー冒険者に助けられたそうじゃねぇか。そのあとお前とパーティーを組んでるんだろ?しかもヨシヒコ・カキツバタはお前が冒険者ギルドに登録した日にここから雲隠れ。おかしいだろ?確かヨシヒコ・カキツバタ、いや、杜若義彦はナルメアが態度の悪い冒険者に絡まれそうになったのを相手をボコボコにするまで叩きのめしたって話だ。そこまでやる相手を一人にしてほっぽってくはずねぇだろ。そこでお前が出てきた。ソフィア、お前はなにかしらヨシヒコ・カキツバタについて知ってる、もしくは繋がりがあるんだろ?」

 「・・・・・・」


 小野寺君がペラペラと喋った。どうせそこら辺の情報はギルドマスターから流れてきたんだろう。面倒なことをしてくれる。

 しかし、僕は不思議に思ったことがある。


 「なぜ君たちは彼をそんなに探しているんだい?彼はそこまで君達の集団の中で人気というわけではなかっただろう?彼はステータスが良いだけの少年だ。スキルだって《剣術C》が精々だったぞ?」


 僕の話に小野寺君は舌打ちする。


 「往生際が悪いな。わかっているんだろ?あいつのjobスキルが俺達の目的だ」

 「ほう……?」

 

 やっぱりばれてたか。スキル。

 空気が凍りつく。話に着いていけていないナルメアちゃんが困惑している。

 

 「ナルメアちゃん、部屋に戻ってて?」

 「で、でも……」

 「大丈夫。いなくなったりしないから。ナルメアちゃんもわかってるでしょ?私強いよ?」

 「うん……」


 ナルメアちゃんを退出させて一階で食堂の個人スペースは静まり返る。


 「仲間が死んだ」

 「よくある話だね」


 本当によくある話だ。この前ナルメアちゃんに絡んできたあのパーティ。キラーベアという熊の魔物を討伐するクエストで前衛の一人が死んだらしい。それくらいあっさりこの世界では人が死ぬ。


 「勇者だって元を正せばただの神の加護を受け取ったただの人間だ。人間と神の混血児で実際神にまで登り詰めたかの大英雄ヘラクレイトスですら毒をその身に受け死んだ。召喚されたばかりの精々が各国の近衛騎士団長程度の力しか持たない勇者は何人か死んでも可笑しくない。というより実際死んだようだしな?」


 後ろにいた女の子達が苦い顔をする。


 「そうだ。仲間が死んだ。名前を「言なくていい」何?」

 「私にそいつの名前を言ったところで私はそいつを知らない。ゆえに知る必要もない。どうせ彼の力を、《SCP-■■■■-AW》を求めてるんだろう?『何かしらの蘇生手段』の力を持った何かを召喚させたい。あわよくば『七大罪』を殺した聖剣、アレを作り出した機械も手に入れたい。そんなとこかな?」


 ロリボイスでなかなかにえぐいことを言う僕。


 「・・・・・・」

 「だんまり、かい。まぁいいや。カキツバタ・ヨシヒコはここにはいないよ。彼は未開拓の島を探しにいった。魔族が恐らく利用してるダンジョンを探すんだってさ。あるかもわからないのにね」

 「そう、か。情報感謝する。本町、行くぞ」

 「え?ちょっと小野寺君!?」


 小野寺君達は急に態度を変えた僕に呆然としている本町君を引きずって宿から出ていく。その入り口付近で立ち止まり、振り返ってくる。


 「なぁ、最後に聞いていいか?」

 「何?」

 「お前は一体何者なんだ?杜若義彦と入れ替わるように突然冒険者ギルドに現れ、素行は悪いもののCランクの実力は持っていたパーティ《鉄血》を一人でこてんぱんにしたお前。少なくともAランクの実力はあるだろう?」


 その瞳は僕を品定めするような目だった。僕はその目に返す。


 「僕はソフィア=パーシモン。それだけだよ、勇者様?色恋沙汰には気を付けなよ?英雄の死因に浮気もあるからね?」

 「ああ、こいつにはしっかり言っておく。こいつに死なれちゃ困るからな」

 「ちょ、ちょっとどう言うこと?」

 「「黙れこのチーレム野郎」」

 「!?」


 嘘だろこいつまさか、という目で小野寺君を見る。その目にたいして苦々しい顔で頷く小野寺君。


 まじかぁ、鈍感系までもってたかぁ。 

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お読みいただき有難うございます!
ストーカーの転生憚~前世では守れなかった貴女を、今度こそ~
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