ナルメア
冒険者の少女、ナルメア=アルトグレイはふわふわとしたまどろみの中にいた。
(……なんだろう?あったかい)
自信を包むよくわからない温かさ、それが自身を包み、体を癒していく。
(えっと……何があったんだっけ?)
彼女は今まであったことを回想する。
(たしか、定期依頼のゴブリンの間引きを受けて……)
そう、彼女はつい最近田舎から出てきた冒険者だった。15才になり成人し、故郷の村を出て冒険者になる。よくある話だった。
村の同年代の友達だったトーマスとデルタでパーティーを組み、初心者冒険者が受ける《ゴブリン討伐依頼》を受けて森へと行ったのだ。
(それで……ゴブリンの巣穴を見つけて……)
そして一気に記憶が復活する。いつの間にかあの暖かい感覚は消え、手足が震え始める。
(そうだ……!ゴブリンの巣穴にゴブリンキングがいて、それで――デルタやトーマスが――)
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ナルメアは飛び起きた。目を覚ますとそこは森の中だった。自身には毛布が掛けられ、ふかふかの落ち葉のベッドの上に寝かされている。
「あ、あれ……?」
目をぱちくりとさせ、周囲を見回す。そこにはナルメアの他に一人の少年がナルメアの隣にいた。
黒い髪で、黒い瞳。顔は少し整っているが、ぱっとしなさそう。
「お、起きた?だ、大丈夫?」
かなり挙動不審な言動だが、言葉の端々から優しさを感じる。
「あな……たは?」
「ぼ、僕はヨシヒコ・カキツバタ。Fランク冒険者。ゴブリンの巣を見つけて、それで、その……」
その後をとても言いづらそうにするカキツバタ。後は何となくわかった。
「そう……ゴブリンから助け出してくれたのね。有り難う。ねぇ、私の仲間は知らない?デルタもトーマスっていう男の子なんだけど……」
その事を聞いたとたん彼は辛そうな顔をした。
「ごめん、わからない。でも、巣穴を歩いているときに遭遇したゴブリンが質の良い剣を使っていたから持ってきている。もしかしたらその人たちのかもしれない」
彼は少し離れて私のところに二振りの剣を持ってきた。
「あ……」
私はその剣を一目見てわかった。トーマスとデルタの剣だった。
行商で偶然見つけた掘り出し物。二人ははしゃいでこの剣でSランク冒険者になるんだ、何て豪語して、自分達で剣の名前にグラム、カラドボルグなんて名前つけちゃって、
「ああ……」
私は彼から剣を奪い取るようにして剣を掻き抱く。
もう、二人は死んだ。ゴブリンの腹の中なのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁん!」
泣いた。思いっきり泣いた。ここがまだゴブリンだけじゃないモンスターが出るウガル森林の中なんてことも忘れて泣いた。
「ごめん……」
彼が悪い訳じゃないのに彼は謝って、私が泣き止むまで、ずっと隣にいてくれた。
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