聖武具とSCP-914《ぜんまい仕掛け》 2
僕たちは大隊規模の軍隊と一緒に戦場へ向かう。その行き掛けに魔族について説明を受けた。
魔族とは、今いる帝国(ヴラジ帝国っていうらしい)の海を跨いだ南側の大陸にある『魔大陸』から襲ってくる人のように高い知能を持つ存在だそうだ。どれもが人類に対して敵意を持ち、侵攻しようとしていたらしい。
だが、ここ数年で魔王の代替わりが起こった。魔王は歴代魔王より遥かに強大で、その魔王の魔力で魔族たちが強化され、今まで拮抗していた戦力が一気に瓦解。今は海岸線の防衛をするので精一杯のようだ。
「しかしまだ持ちこたえられる。勇者の育成が終わるまでは耐えきって見せるさ」
その顔は、悔しそうだった。
初めて見た皇都は広大な城壁に囲まれた都市だった。その皇都の南側の大門の方から黒煙が上がっている。
「第一、第二分隊は民の避難誘導を行え!一人も死なせるな‼」
女騎士さんの号令で何人かの兵士が大隊から離れる。そうして避難活動を行いながら進む。民衆からは「姫様ー」とか「魔族なんかぶっ倒してくれー!」なんて聞こえてくる。
「というか女騎士さんお姫様だったんですね」
「む、出会いが出会いであったから自己紹介を忘れていた。リーゼロッテ=ヴラジだ。一応我が帝国の第三皇女となっている」
そんな人が戦場へ出て大丈夫なのだろうか?
「案ずるな。私は負けない」
そういうのフラグって言うんよ?
そうこうしてる内に南門までたどり着いた。門の向こう側では人の叫び声と時折爆発音もする。
「開門!」
門が開く。重厚な扉が引き上げられていき、今まで見えなかった戦場が見える。門が開いた先は――
蹂躙だった。夥しい死体がそこらじゅうに転がっている。先に到着していた他の隊の人たちだ。果敢に攻める兵士を一体の魔族が紙を破るように八つ裂きにする。
「ふむ……こんなものか?もっと来い」
その見た目はまさしく悪魔だった。
蝙蝠の羽が生えた真っ黒な山羊が直立歩行している。しかし、前足と上半身は人間の形を持っている。
圧倒的力を感じさせるそれはこちらを見つけた。
「援軍か。どれ、人間。私を楽しませてみろ。この『七大罪』が一人、憤怒のバンが相手をしてやる」
「魔族風情が、調子に乗るな!第二大隊、全軍、突撃ィィィィィ!」
リーゼロッテさんの号令で雄叫びと共に大隊全員が突撃する。
戦闘が、始まる。




