姫騎士リーゼロッテとSCP-■■■■-AW 3
嘘発見魔道具にも反応はなく、一応僕は異世界の勇者と認められた。
「はぁ……」
女騎士さんのため息が尋問室に響く。うん。ため息ついてる姿も美しい。
「ちょっと待ってよ嘘でしょ何でまだ帝国に来れないはずの異世界の勇者が風呂場に来るのよ。おかしいでしょ」
女騎士さん素に戻ってます。
「いえ、だからスキルの暴走なんですって」
「スキルが暴走するはずないでしょう‼スキルは自身の努力が創世神に認められ永遠に付与されるもの。その創世神が与えたスキルが暴走するなんて聞いたことないわよ!」
「ちょっと一回落ち着きません?素に戻ってますよ」
はっとした様子の女騎士さん。
「あ、ああ。すまない。私としたことが。で、スキルの暴走とはどういうことなんだ?」
ゆるゆると聞いてくる。
「まぁ、ステータスプレート見ちゃってるわけだからだいたい分かると思いますが僕のjobスキル《SCP-■■■■-AW《SCP-foundetion》》は簡単に言えば異世界の魔道具や魔物に近いものを召喚するスキルです」
「召喚系のスキル、ということか」
「はい。しかしこのスキル、少々問題がありまして」
「問題?」
「ぶっちゃけ、召喚した存在は別に使役してるわけではないので物によっては暴走します。あのときみたいな」
女騎士さん浴室大突入事件とか最たる例だ。
「大問題じゃないか!と、いうかまさかお前がさっきまで食べてたのも……」
あの事件を思い出してちょっと赤くなる女騎士さんが声を荒げる。
「あ、はい。召喚したSCPの一つ、SCP-871《景気のいいケーキ》だったりします。食べます?後二十四時間待って貰うことになりますけど」
SCP-871《景気のいいケーキ》
オブジェクトクラス Keter
スキル
《無限増殖》
食べられると二十四時間後復活する。食べなくても二十四時間経過後倍に増える。パンがなければケーキを食べればいいのに。
結構危険なケーキだったりします。お前はマリー・アントワネットか。
「1日掛かるじゃないか、いらない。他には?なにができる?」
「ぶっちゃけSCPは量が多すぎて僕も把握しきれてません。他に何ができるかは、何とも」
正直に言っておこう。SCPの量は数千にも及ぶ。そんなのを学業や他の趣味と並列して覚えようとしたら僕の頭は今頃オーバーフローしてる。まだ分かるのは有るけど絶対言わない。
嘘はついてないよ!
「成る程な……」
黙りこむ女騎士さん。話題を変えるように別の事を聞いてきた。
「ところで、他の勇者たちの様子はどうだ?」
やっぱり気になるのかな、勇者たちの事。当然か、人類の希望だし。
「ええ、みんな元気ですよ。一部が力に酔ってるのもいますが。怖いですねぇ。最近はダンジョンに入ってレベルあげてますよ。この前こてんぱんにされてましたけど」
「まだ勇者たちの練度は低いという話は本当だったのだな……」
「ええ、ぶっちゃけ僕も正面切って戦ったら女騎士さんに勝てる気しません。何てったって『役立たずの無能』ですし?」
「『役立たずの無能』?ステータスは騎士団長並みじゃないか。それが無能なのか?」
不思議そうな顔をする女騎士さん。可愛い。
「いやー、恥ずかしながらスキルが殆ど[検閲済み]ってなってわかんないんですよ。何あれ。そのせいで僕のスキルは謎のまま。分かるのはダンジョンに入ったときになんか手に入れた《自己修復》だけ。しかも勇者たちの中にもカーストができまして。jobスキルも暴走にびびって人のいるところでは殆ど使ってなかったもんであっという間に最下位ですよ。それでついたあだ名が『役立たずの無能』です」
いやほんと彼ら怖かったわー。その内人殺すんじゃないの?ありそう。ないことを祈ろう。
「そうか……勇者の中も世知辛いな」
同情するような目で見てくる女騎士さん。
「まぁそんなこんなあって今ここにいるわけで「失礼します‼」……お?」
なんか兵士さんが尋問室に入ってきた。なんかめっちゃ焦ってる。
「どうした?何があった」
「侵攻です。魔族が、魔族が皇都に攻めてきました!」
「な、海岸線の防衛ラインはどうした!」
「どうやら奴等、隠密という手段思い付いたようで……」
「くそ、知恵をつけおって。とにかく迎撃に当たる。皇帝陛下を守れ!」
「はっ!」
えっと、どういう状況?
SCP-871《景気のいいケーキ》
オブジェクトクラス Keter
237個のケーキコレクション。食べきってから二十四時間後に似た種類のケーキが再出現するSCP。
只し、食べられないまま二十四時間経過すると、全てのケーキが自分と似た個体を作り出し、ケーキが増える。
その結果、放っておくと80日で世界がケーキに埋め尽くされるらしい。
http://ja.scp-wiki.net/scp-871




