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ゲーム実況による攻略と逆襲の異世界神戦記(アウタラグナ) 作者:かすがまる

第1部

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33 ドラデモ的夢と現実と心と真実について

 信じる。ワタシは神を信じている。
 だから待つ。待てる。神は人間を見捨てない。絶対に。


◆◆◆


 あーあ。人間軍、ボロボロじゃん。

 そりゃそうだって話ですよ。だって相手が『黄金』ですもん。《コール・サンダークラウド》からの《天雷》乱れ撃ちは基本コンボ。撃たせないようにしないと。ド派手な演出の割に命中率は悪いので、半分魅せスキルですけどね。

 そして『黄金』さん、神輿に乗ってのご出陣ですか。セレブですねわかります。美女を抱きながらとかゴージャスですね。ヴァンパイアって同性愛基本ですしね。

 ふむーん? エルフの軍が前進?

 いやいや、何でさー。エルフ、会戦じゃ遠距離戦がメインじゃん。それが伝統芸能で様式美じゃん。あとは森林でのゲリラ戦。ステンバーイしてゴウでビュリホ。

 ほほーん? イケメン騎士がむっちゃ頑張ってますねえ……機動防御ってやつ?

 色々と勝手に動きますねえ。セオリー無視もいいところですけど、そもそも人間軍がヴァンパイアとガチンコできること自体がおかしいですからね。何か支援効果入ってるっぽいですし。ツッコミどころがあっちにもこっちにも。

 まあ……どうでもいいですけどね。もう。

 やる気ナイナイですからね。もう。

 人が折角楽しく突撃したのにさ? 馬リタイヤしちゃうし。それでもバリバリ無双してたのに、モブに激しめの拉致されるし。しかもそいつ惨いことになるし。

 そりゃあ、あのままだったら、クロイちゃん死んでたよ?

 だってMPやばかったもの。《アセプト・ブレード》連発しつつの常時《火刃》はさすがに消費激しくて。しかも何やかや魔法仕掛けてくるから《内燃》で麻痺だの腐敗だの打消しまくりでまた消費して。体力も《内燃》で支えてて。

 それでもさあ、いいじゃん。もうそれでいいじゃん。

 楽しかったんだよ。ギリギリの勝負をしてたかったんだよ。攻撃一発、回避一発に無我夢中になってさ……何も考えないで、ブワーって、終わりたかったんだよ。

 先のことなんて考えたら、ゲームなんてしないだろ。

 何も考えたくないから、ゲームしてるんだろ。

 楽しいだけでいいだろ。ゲームなんて。

 はあ…………何で泣いてんだろ。

 やっぱり、開拓地がもったいないからなのかな。めっちゃレアだし。発展してきてたし。変なNPCも多いし。何か凄く頑張ってるし。見てて……楽しかったし。

 でも、もう今更かな。

 負けるもの。

 ヴァンパイアがエルフをガンガンに押してる。そりゃそうだよ。エルフが近中距離戦なんて、アウトボクサーがインファイトしにいくようなもの。さもなきゃスナイパーが力士とハッケヨイ。もしくは実況者が歌ってみた。あ、心の傷が。

 人間軍はその隙に退却してくけどさ、無理でしょ。『黄金』は一度目をつけたらまっしぐらだもの。ほらまた《天雷》が……これで試合終了かな……んは?

 おお! サチケルちゃん! ナイス防御! 素敵ディフェンス!

 っていうか、何で君、そんなところにいるのさ。籠城名主の異名もあるくせに、野戦に出たばかりか最前線じゃん。やる気満々じゃん。

 え、もしかして何とかなるの? 何とかしちゃうつもりなの?

 あ、やば、ヴァンパイアの強襲部隊が……うお、凄っ、イケメン騎士と『鷹羽』のタッグとか超強い。えげつないレベル。空と陸が両方そなわって最強に見える。わわ、火魔法も発射だ。サチケルバリヤーの内側からとか、これもえぐい。

 お、おお……火が燃え広がって、エルフ軍が下がる余地も出てきたじゃん。無理やり通ろうとしたヴァンパイアが燃えたよ。オフェンシブな結界になってるよ。

 退却、できそうじゃん……何とかなりそうじゃんか。

 人間軍もエルフ軍も、そりゃもうボロボロで。普通にゲームオーバーの気配で。そうでなくても、ここまでダメージがあると……全部なかったことにして最初からやり直したくもなるはずのに。

 何で、こんなに目が離せないんだろ。

 何で、こんなにも応援したくなるんだろ。

 おおお……やった……人間軍、開拓地に入れた。入れちゃったよ。ヴァンパイアの攻撃が物凄いけど、エルフ軍、めっちゃ頑張って防いでるし。サチケルちゃんもMPきついだろうに、また召喚魔法重ね掛けとか大天使すぎる。

 水堀に架かった橋も落とした。これで完璧。この水掘、敷設型の強化《流界》だもの。ジャンプしても無駄どころか、低レベルの石魔法なら跳ね返しちゃうもの。

 これで膠着、と。

 もう夜になるけど、ヴァンパイアも無理攻めできるわけがない。『黄金』は相当に消耗していて、兵力も千あるかないか。水掘は水魔法のブースターにもなるから中遠距離戦にエルフ側、隙、無し……?

 え?

 え、ちょ……え?

 何で、北門のところ、そっちの橋、落とさないの? え? 何で、守備兵が……人間の兵が、エルフ兵に殺されてんの? 何やってんの? そこで何やってんの?

 ヴァンパイア気づいちゃったぞ? 北へ回り込んでるぞ?

 入ってきちゃうぞ? あ、ほら、入ってきちゃったぞ!? 

 おい……おいお前! モブ将官の!

 アルクセム!!

 お前、お前、何してくれてんだ!!

 ヴァンパイア、めっちゃ暴れてるぞ! 人間が、開拓地の人たちが、ああああ、どんどん殺される……食べられちゃう! 軍は、気づいたけど、動きが鈍い……そりゃそうだよ、ようやく助かったってとこなんだから!

 え?

 え、うわ……まじかよ。

 お前……今、このタイミングで、橋落とすのか。

 ヴァンパイア軍が全部入ったところで、橋落としたのか。

 それってさ、エルフはいいよ。水掘渡るのなんざ余裕だよ。そういう加護ついてるもんよ。実際、逃げられてるよ。混乱して、我先な勢いで外へ逃げてるよ。

 でも、人間は、無理だよ。

 ヴァンパイアみたいなペナルティはないけどさ、飛べないから普通に無理だよ。渡るの大変だよ。しかももう暗いよ。ヴァンパイアも襲ってくるよ。落ち着いて泳げるやつなんて、ごく少数だよ……逃げらんないよ。

 そこへ、お前、攻撃すんのか。矢と、風魔法と、水魔法で……無差別に。

 よーし『黄金』を袋叩きにしてやるぞーってか。人間諸共にか。

 あ、ははは……あはは……すげー。すげーなアルクセム。何だお前、ドラデモ制作チームの申し子かなんかか。どんだけだよ。どんだけ人間の敵なんだよ。

 もう……いいや。

 もう、もう、どうでもいい。

 会社のことも、実況のことも、デラックスとDXのことも、書き込みの速攻削除のこと……は、普通にホラーなんでちょっとどうでもよくない……け、ど、も!

 やってやんよ。

 いもでんぷんのプレイヤースキルというものを、見せつけてやるよ。

 開拓地は……人間は……お前なんかに台無しにされる筋合いはないってことを、思い知らせてやるよ。直接話法で言うとブッコロ。お前絶対コロスでんぷんだよ。

 クロイちゃん。待たせたな。いや本当に待たせてた。ごめんなさい。

 最近はアイドル状態になると画面の方を向いてくれるから、それ目当てで放置していたって事情も……ごめん嘘。ごまかした。いつもこうだ。いつも、こんな風にして、色んなことをごまかしてきた。

 夢をさ、見たんだ。クロイちゃんが出てくる夢だ。

 その中で、クロイちゃんはもっと幼くて……名前も違ってた。

 だけどわかる。君だ。あれは君で間違いない。誰かにわかってもらえず、誰かに認めてもらえず、不器用にもがき苦しんでいた君……そして大切なものを失って、もっともっと苦しくなった君。まるで自分を見ているようだったな。

 寒いよな。叫び出したいくらいに冷たくて、叫んだらもっと寂しくて、悲しいくらいにいきどおろしい。端っこにほっとかれる人間にとって、世界って、冬の砂漠だ。

 君の声をさ、聞いたんだ。神に力を求める声。必死な声。

 実は、その後も、うつらうつらした時にとか、聞こえてた気がする。

 ただの妄想だろうとは思う。夢と現実の区別が……大人としての分別がついてないだけのことかもしれないけど……もういいんだ。それでいい。それがいい。

 心は、自前のこれひとつがあるきりで。

 怒ってるし、悲しんでるし、悔しいし、何とかしたいって沸き立つから。

 だから、クロイちゃん。一緒に戦おう。理不尽をブッ飛ばそう。そのための力ならあるんだ。やり込みぬいたプレイヤースキルと……君だけの特別なスキル。

 ようやくの解禁さ。とうとうのお披露目さ。敵は多いがまとめて倒すぞ。

 さあ、クロイちゃん! 死した勇者たちに召集をかけろ!

 召喚コール……英霊エインヘリヤル
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