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ゲーム実況による攻略と逆襲の異世界神戦記(アウタラグナ) 作者:かすがまる

第1部

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29 ドラデモ的戦争の常識と生存率と定石と特効について

 戦場の全てを見下ろし、見抜き、見通して。
 神が告げている。疾く走れと。猛く戦えと。


◆◆◆


 モニター、明度そのまま。対比マックス。彩度ミニマム。位置調整よし。

 BGM、カット。環境音、マックス。音質、ライブ。イヤホン装着よし。

 十本の指を十分に柔軟して、汗拭き取って、各種ポジショニングよーし。

 さーて、戦争イベントですよい。苦ウマぷはー。

 しっかし面白な状況ですねえ。ヴァンパイア対エルフ人間共同軍なんてシチュエーション、いもでんぷん的にもお初ですよ。人間大出世ですな。人外戦争に巻き込まれて絶体絶命っていうサヴァイブ系イベントなら慣れたもんですけども。

 ちなみに、その際の生存率は野球の打率的。三割あれば優秀です。人間なんて眼中になしの魔法をかいくぐり、眷属獣からつまみ喰われないように逃走ですし。

 これまでいっぱい死にましたねえ……あのキャラもこのキャラも、実に呆気なく殺されました。人間なんて脇役にもなれない扱いですからね。どういう風に育ててあろうとも、どんな目標があろうとも、考慮されるはずもなしです。

 戦場の主役たちの都合で、踏み潰されたり、消し飛ばされたり、たまに拾い上げられたり、やっぱりいなかったことにされたり……蔑ろにされて。 

 ホント、ドラデモってマゾゲーですよねえ。

 忘れたい現実を、ちっとも、忘れさせてくれないんだから。

 そりゃあ、いもでんぷんなんて雑魚ですよ。会社に要らない子ですよ。実況者としてだってイミフBANですし。自分の能力値上げ、全然だし。平凡で、これっていう特徴なくて、特別な才能なんて何もない……苦ウマ……あー苦ウマだな!

 あーあ! 酒飲んで独り言で愚痴とか! この辺は後で編集してカット確定! 録画だし! 投稿できるかもわかんないし! んもう!

 はあ……ゲホゴホ、んん……えーと。

 はい、いもでんぷんです。飲酒してゲームとかよくないと思います。

 今回は戦争イベントですねー。人間軍の一員としてヴァンパイア軍に挑戦しますですよ。謎な外交努力をもってしてエルフ軍が味方なので、結構いいところまで食いつけるんじゃないかと。これも大天使サチケルちゃん効果かなあ。

 時間帯としましては、ドラデモにおける常識、夕暮れ前後のウォータイム。

 基本的にエルフは日中強く、ヴァンパイアは夜強い。じゃあエルフ朝に攻めればいいじゃんって話ですが、そこは相手もさるもの、土魔法駆使して隠れます。それで夜に出てきて攻めようとしても、今度はエルフ、日中敷設した結界に籠城なり。

 土魔法も水魔法も、時間かけると防御力が凄いんです。それを頼られちゃうと、どっちも攻めあぐねるという千日手仕様。千日戦争とかプレイヤー死あるのみ。

 んで、どっちも戦場へ出てくるとなると、この時間帯になります。ステータス補正としてはエルフ有利からヴァンパイア有利へと変わっていく感じですね。エルフは早く勝負を決したいし、ヴァンパイアとしては耐えて逃さず勝利したい。

 さあ、開戦っと。

 まずは普通に始まりましたねえ。

 ヴァンパイア軍、よーいドンとばかりに突撃です。全体の六七割、二千人ほどもダッシュさせちゃうところがとってもヴァンパイア。黒狼がお供する感じですね。

 対するエルフ軍は、来いやとばかりに水場を展開です。浅い水堀みたいな見た目。これ、ヴァンパイアに特効のある《流界》を駆使した防御陣なのです。浅くとも踏み越えられないし、跳び越えても魔力が行動を阻害します。

 そして飛び交う石と矢。これが怖い。環境音にビリビリ来ます。

 石の方はどれもこれもジャイロボールですかってなくらいのド直球ですし、矢の方はあれもそれもホーミングしてますねっていう殺意の軌道です。怖いわあ。

 防御法にもそれぞれ特徴がありますね。ヴァンパイアは武器で叩き落としたり、《土壁》や《石盾》で防いだり、中には手づかみする強者もいたり。エルフは《飛行》や《滑地》で避けたり、《突風》や《水鞭》で打ち落としたり。

 ま、それでも防ぎきれないからこそ、この距離で射撃戦が成り立つわけで。

 どっちも当たるとえぐいですねえ。石、魔力こもってて硬いもんだから、骨折どころじゃ済みません。矢、こちらも魔力入りな上に毒塗ってあるから致命的。

 削り合いですねえ……ジリジリとガリガリと。

 石が怖いからって上空へ上がれば雷魔法の餌食ですし、矢が怖いから全身鎧なんて着たら水魔法に侵入されて溺死です。強いて言うなら、遠距離はエルフ有利で中距離は両者拮抗って感じですかね。投石の威力減退的に考えて。

 今のところは五分五分って感じですね。中距離戦で功着してますから。

 そして……ふうむ……どっちも使徒は温存かあ。駆け引きですな。

 今回、ヴァンパイア側には攻防自在の『黄金』がいて、エルフ側には防御特化の『万鐘』サチケルちゃんがいます。これ、相性的にはやや『万鐘』有利。その理由は最大MPの差。『黄金』の全攻撃をサチケルちゃんは防ぎきってなお余裕あり。

 ただ、『黄金』の側にも勝機はあるにはあります。むしろ一発大逆転の可能性はヴァンパイア側にこそありまくり。

 両者の召喚魔法の段階差に鍵があります。『万鐘』が第二段階の《コール》系までしか使えないのに対して、『黄金』は第三段階の《サモン》系まで使えます。これがヤバい。段階上がるごとに時間制限ありですが、瞬発力が違うんですよ。

 『万鐘』サチケルちゃんとしては先に『黄金』を動かして、確実に封じ込めたいでしょうね。逆に『黄金』は隙をついてぶっ放したい。

 どこで仕掛けてきますかねえ……って、おんやあ?

 こっちへヴァンパイアが来ますねえ。

 業を煮やして戦線を広げた感じかな? 数は百人くらいだから、一部隊がエルフ軍の側面へ回り込もうって頑張ったのかも。

 でも残念、ここにはクロイちゃんがいるのでした!

 それに……ええと編集点的に説明した方がいいんだっけどうだっけ……ええと、それにですね、今回は人間も軍で参戦しているのですよ! い、言いましたっけ?

 論より証拠! ほうら、見てください。

 騎兵が千六百騎と、歩兵が八百卒と……物凄く怪しげな赤マント団が三百人。

 最後の、何さ。

 赤マントで黒い杖で黒ブーツなのが三百人とか、怪人集団じゃん。職質不可避。いや知ってますよ? 嘘か真か火魔法隊でしょ? でも、昨日まではそんなマント装備してなかったじゃん……怖あ……どういうセンスしてんのさ、魔術師ェ……。

 ん? なんか、なまら凛々しい顔で頷かれたんですけど?

 お? おおお? 一斉に魔法の詠唱始まった……けども……怪しいいいいい! ちょ、何で君ら、黒い杖を撫で撫でしながら唱えるん!? うわ、ちょ、激しい! 絵面がひどい! そ、その、魔法が出ちゃう出ちゃうみたいな感じ、や、め、て!

 うおお! そして出たよおおお!!  三百本の、赤い触手……じゃなく火炎が!

 火魔法、《火線》!

 暮れかけ空に三百本もの放物線を描いて……ヴァンパイアに、シュート!

 うっわ、凄……火炎地獄じゃん……全弾命中ってより、普通に飽和攻撃だもの。ヴァンパイア百人まとめて大炎上だもの。魔法の火だから、魔法でどうにかしないと消えないし……っていうか、延焼ダメあるとはいえ、ガンガン灰になって……。

 あ、まさか!

 ああ! そのまさかだ!

 火魔法って、ヴァンパイアに特効ありなんじゃん!

 勝った。これは勝った。前に魅せプした時は普通に剣で無双してたから、気づかなかったっす。でも気づいたら勝利大確信。だってクロイちゃんってば武器に火属性付与する《火刃》持ちだし。常時発動させとけば……!

 こうしちゃいられねえ! 黒馬にまたがり、敵軍へ、突っ込めー! わあい!

 武器は《アセプト・ブレード》で長剣二振り! 馬上二刀流とか与ダメ小さすぎて考察にも値しない浪漫スタイルですけども、でも、それでも《火刃》なら……!

 ほら、やっぱり! 小ダメージでも与えれば即炎上ですよ!

 あはははは! こりゃ酒入ってても勝てるわ! ほら! ほうら! どうしたのヴァンパイアさん! 訳がわからないって顔のまま灰になっちゃって!

 おっと焼けない奴がいた。雷使いか。肉体強化系で抵抗したかな? でも甘い。クロイちゃんのステータスを舐めんなって話。ちょいと集中してもう一撃すれば、ほら炎上だ。そっちの雷使いは、普通に首チョンパざしゅー。あはははは!

 あー、楽しい。ドラデモやってる気がしないけど。でも楽しいもんは楽しい。

 そっか。ずっとこうしたかったのかも……うん、そうだ。こうやって蹂躙したかったんだ。さも自分は強者でございっていうヴァンパイアを、勝利を約束されたヴァンパイアを……魔神の兵隊たちを、しっちゃかめっちゃかにしたかったんだ。

 エルフキャラでやっても、微妙だった。大勝した戦いでも、上手くやれたっていう満足感はあったけど、こんな爽快感はなかった。当然ですわ。エルフも優遇種。

 人間だから。

 不遇で、劣等で、生きるも憐れ死ぬも哀れな人間だからこそ……今、こんなにも嬉しい。叫び出したいくらいに、興奮する。

 さあ、クロイちゃん。戦うんだ。

 戦って戦って、全部をやっつけて……あいつに一撃喰らわしてやるんだ。思い知らせてやるんだ。『黄金』なんて御大層な名前で呼ばれている、あいつを……討たなければならない仇を……この戦場で、絶対に。

 エルフなんてもう知るか。サチケルちゃん? 今癒しとか間に合ってるんで。

 人間の軍も……いいや。レアだけど、もう充分面白かったから、どうでもいい。

 行くぞ、クロイちゃん! 行け! このまま!
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