第8話『笑顔と涙』
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俺は、無事、黄昏の怪盗魔のアジトを燃やし…ギール達の居る基地に戻ってきた。寝るのは早いか…まだ陰刻の鐘は鳴ってない。
「ギール、これ、盗んだ資料だ」
「ありがとう、クリス」
俺は書類を入れたバッグをギールに渡す。
「クリスお兄ちゃん! まだ?」
速くもマナは懐いてきた。
子供は可愛いね!
「こら、マナ…もっと静かに接しなさい! 命の恩人でしょ?
私達はただでさえ奴隷なんだし」
「はぁーい、サラお姉様」
「よろしい!」
二人のやり取りなんて姉妹みたいで本当にかわゆい。
「良いんですよ、サラさん、あなた達はもう奴隷では無いですよ。
ただでさえあいつらが拉致監禁で不正取得した物なんですし…」
彼女達には優しく接するようにしている。
「あ、あの… お湯、沸きましたよ」
「ケント、ありがとな!」
「それ程でも」
ケントは少し頬を染めた⁉︎…
まさかそっちの人間か?…
お、俺はそんな気ないぞ!
「マナさんに、サラさん、ルーシーさんもエマさんも、お風呂に入りましょう!」
サーシャがどこぞの親のように言うとマナが「やったー」と声を上げて走って行った。
四人は風呂場に消えた
「ギールさんとクリスさん、それにケントさん。
もし、の、覗いたら…」
サーシャは忠告する様に言いながらステーキナイフの様なナイフを出した。
確かに女の園に入ってみたい気持ちはあるが…
俺はそんなヘンタイじゃない。
「ナオさん、見張り宜しくお願いします」
「はい、任されました!」
ナオが一瞬こっちをジト目で見てきた。
怖い…
クリスこと俺が何をしたんだ?
--数十分後--
5人が帰ってきた。
ルーシーは髪を洗ったのか、より可愛さが増した。
スタイルも良いし。これ以上見つめるとサーシャに怒られそうなので止めよう。
エマはよく見ると髪の端がツンツン立ってたりしてる。
マナは相変わらず元気でこっちまで元気が出る。
何と言ってもサラなんかは王女にしたい位だ。
サラと目が合った…
「…ん?」
サラが呟いた。
微かに頬が赤く見えたのは気のせいだろうか?
こう見るとサーシャもかなり綺麗だ。
背は高い方で目は赤紫。
ちょっと髪伸びたか?
「じゃあ、冷めないうちにお風呂に入って来ちゃうね」
そう言ってナオは風呂に行った。
「私はこの子達と出かけてくるね」
なに? 危なくないの? それ
「大丈夫。ちゃんと体拭いたし、私はこう見えて近接術も得意なのよ」
「いだだだ〜勘弁、勘弁してくれ〜」
サーシャが手を捻ってきた。
痛い…
「く、クリスュのお、お兄ひゃん… あははは〜」
「マナ!笑っちゃ駄目でしょ? 私いい加減怒るよ?」
「はーい、サラお姉ちゃん」
「クリス、おめぇ…女にやられて悲しいな〜」
マナが笑ってくれたのは嬉しいが、ギールに笑われるのはちょっと…
「どう? クリス、力わかったかしら?」
「わかったよ… 痛いほどわかったからもうやらないで…」
さっきの痛すぎる。
「やらないわよ… ほら、準備していくわよ」
女の子達が家を出る。
「クリス、お前あの中で誰が好き?」
「は?」
「やっぱりサラか?それとも…」
恋話か。
「面白そうな話だな、妾も一緒に突き合おうでは無いか」
そんな事で、俺とギールとケントで恋話討論会が始まった。
「やはり、サーシャはずば抜けて可愛い。
あの白紫の髪だな」
「は? クリス、お前何か勘違いしてない?」
「へ?」
「サーシャの髪はどうみたって銀髪だろ」
え?そうだったのかー…今まで白紫だと思ってたが…を
「た、確かに、銀髪…です、ね。
紫の様な…色も感じますが…
圧倒的に銀色が勝ってると思います」
ずいぶんとケントが積極的になってきた。
「マナって元気でどこか幼くて可愛いよな…」
「クリス、そういう趣味なんだね」
ギール、違うんだ! そう言う意味では〜…
「で、でも可愛いですよね…5年もすれば…とても可愛い子に…なるでしょうし…
ぼ、僕は…あの子の八重歯、好きなんですよ」
「いいか、元気さや、幼さだけが全てでは無い!
女には最もいろいろあるんだ!」
ギール先生のお説教と言うか説法が始まった…
「という事である、なので女にむやみ近く事は決して行って行けない」
説教が終わる頃にはナオが風呂を上がってた。
「わかったかな? 諸君、それでは…」
「何の話してたの?」
「な、ナオ? どうしてここに?」
二人が何か言い合い出した。
内容は、何の話してたのとか、そんな感じだ。
その後二人の言い合いは解決し、俺たち3人は風呂に入る事にした。
「おっ風呂、おっ風呂♪」
変な歌を歌いながら俺は歩く。
この先には、女の人達の入っ後の残り湯が!
…
変態になりかけた。
「クリス、はしゃいでる所悪いんだが俺、潔癖症なんだよ」
そうなの?
沈黙の中、服を脱ぐ3人。
柑橘の様な酸っぱい香りは、泥の様な汗の香に蝕まれて行く。
扉を開けると…
「へ?」
…嘘でしょ?
浴槽の水は見事に抜かれてた。
あーー折角のお湯が、残り湯がーー…
そう言う意味ではなく、これからまた火を起こし、水を汲んで、湯を作れと言うのか?…
「あ、そうか!」
想像力が必なのか!
ないなら作ればいい。
魔術で!
「今から魔術使うので気を付けて」
手を出す。
「ウォーターリバー!」
まずは適当に水を出す。
浴槽に水が溜まったのを確認したら水を適当に温める。
かなりの高温の熱風を水に当てる。
数分かかったが、浴槽からは湯気が出て、湯加減は少し暑いくらいで丁度いい。
「よし、お湯が沸いたぞ!」
ギールと俺は喜んで風呂に入り、ケントはタオルを巻いて恥ずかしそうにお湯を体にかけた。
***
私は怪盗魔のアジトで保護した、女の子達を色々なお店へ連れて行きました。
理由は服や小物がボロボロだったから。
やっぱり女の子はお洋服が可愛くなきゃ全て台無しだしね…
いつもフード付きのケープやらローブやらを着てる自分が言う話でもないけど。
「わ〜、綺麗!サーシャお姉ちゃん、見て!」
「青と白を基調としたいい服ね。
え? 一着アトリア石貨5枚… 安⁉︎」
「こら、マナはまた失礼な態度とって…駄目でしょ?」
本当に可愛い子達ね。
マナとサラなんかはお風呂に入る時もあうだこうだと言い合っていました。
「マナちゃん、シャツだけでいいの?」
服は、青と白が基調の簡素なシャツでどこにでもありそうな感じです。
でもシャツだけでは外に出られません。
「じゃあ、これ」
差し出されたのは、青色のスカートです。
値段はこれもまたお安いアトリア石貨5枚です。
「サーシャさん…」
ルーシーが持って来たのは黄緑色のラフなワンピースです。
「ーーーーえっと、サーシャさん?」
「あ、エマさんごめんなさい」
エマは黒に近い灰色の服を持って来ました。
「サラさんは?」
「あ、ごめんなさい。
この服なんだけど… 良いかしら?」
サラが持って来たのは、黒いマントと白いブラウスの様な物、茶色の質素なズボンです。
少々、地味ですが、どこかかっこいいです。
「サラさん、かっこよくて良い服だと思うわ。
みんな、ちょっと待ってて、私も適当に服買うから」
今日、自分の着てた服が少々痛んでしまったため、新しい服を買い直そうと思います。
「かっこいい…」
そこには、黒い、外套があります。
お値段も高めです。
「後は…」
その後、変え着や小物を買いました。
「よし、服装はいいね!」
みんな、新しい服に着替えました。
みんなとても似合ってます。
「ありがとうございます」
店員の声をなんと無く流しながら、お店を出る私たち。みんな笑顔になりながら、クリス達の待つ、家へ歩き始めました。
***
午後8時と言ったとこだろうか…
奈緒は、ノートに何かを書いている。
ギールとクリスはソファーでくっ付いてうたた寝して居る。
あの二人は本当に仲が良いんだろう。
「疲れた… サーシャさんは、まだですか…」
サーシャとクリスの連れて来た四人の女の子は服を買い替えに行った。
窓から見える月と6時の鐘が鳴ってからの時間からして夜8時とかだろう。
俺の名前は健人、今は一人で適当な事を考えている。
ふとクリスの寝顔を見る。
とても可愛い。目を細め、鼻から細い息が漏れ、どこか女の子の様な感じもする。
玄関の方から音がした。
「ただいま〜」
「あ、サーシャさん! おかえり〜」
奈緒が玄関に走ってく。
「あ、サーシャさん… お、おかえりなさい…」
いつも会話だけは気弱になる。なぜだ!
「わ〜綺麗ね、サーシャの外套もかっこいいし!
私も行けばよかった〜」
女子達のたわいもない話。
ソファーを見ると、クリスが、目を擦りながら起きた。
***
「っん…? 寝てたっけか」
俺は、さっきまで寝てた様だ。
まず、何でこんな場所に居るんだ?
思い出した。サーシャと怪盗魔倒してここで風呂入って寝たのか…
寝た時は、ギールと俺が顔を赤くし、ナオが水を持ってきたかと思えば、何かをノートに書き始め、
ケントは端で小さくなっていた。
これなら迷惑になんねぇか、とソファーで俺とギールが寝た。
起きた時、ナオは玄関でサーシャと笑いながら話し、ギールはいつの間にか俺に頭を預け、ケントは部屋に突っ立てた。
サーシャはなんか黒いマントの様な物を着て、四人の子達はカラフルになっていた。
「あ、サーシャ、おかえり。
うん、サラもマナも見違える様に綺麗になったし、ルーシーやエマもあった時とは全然変わったな!」
マナは、青と白が基調のシャツとスカート、質素な感じがまた可愛い。
サラはマントを羽織り、大人感が増してよりカッコ良くなった。
ルーシーやエマも可愛いし!
「そう言えば、サーシャ、そのマント? と言うか外套は?」
「買ったの…私達だけごめんね、あ! ナオさんにはこれあげる」
「何々?」
小包をサーシャがナオに渡し、ナオが中身を見る。
「わぁ〜、エプロンだ、こう言うの着てみたかったんだ〜
サーシャちゃん! ありがとね」
「良いのよ、大事にしてね」
「わかったわ」
ナオは走って奥の部屋に行った。
「ケントさんとギールさんとクリスにはこれね」
サーシャはそんなこと言いながら、3人に布を投げつけてきた。
「ーーーー何だこれ? ブッ! 何だ、このブリーフは」
「サーシャさん…有難く頂いておきますね…」
「………」
俺は声を上げ、ギールは渋々な感じで受け取り、ケントは黙り込んだ。
ブリーフの後ろには、牛の様な絵が描いてある。
「なに、私の頑張って選んで買った服に不満あるの?」
サーシャは、そう言いながら近づいて来て、腕を捻ってきた。
「ダダダ! サーシャ、解っだ、ほんどにいだいかりゃ〜
止めて下さい!」
「アハハハ、またクリスの兄ちゃん、捻られて… アハハハー」
「コラ! マナはまた笑って」
「いいから、マナ、わ、わりゃって良いかりゃ!」
解放された時は、手が真っ赤になった。
「ヒーリング… いててて、サーシャ悪かった」
「クリス、お前本当に悲しい奴だな」
ギール…笑いたければ笑え! 俺は所詮笑われて喜ぶマゾだから〜
「ギールさん、貴方もよ」
「グっ…」
「疲れたし、寝ましょう! ギールさんとクリスさんとケントさんは一緒に寝て下さい。
ナオ、私はあの子達と寝るけど一緒に寝るわよね?」
サーシャは外套を脱ぎながら言った。
あの子達とは、マナやサラ達の事だろう。
「喜んで…」
「それじゃ男子達、また明日」
ナオはサーシャと寝るのを了承し、サーシャは外套を壁にかけて奥の部屋へと向かった。
「よし、俺たちも寝るか」
俺たちも奥の部屋に向かった。
その日の夜はなぜかぐっすり眠れた。
俺とギールはくっついてガーガー眠り、ケントは端っこで小さくなって寝た。
敵に逃げられたり、いまいちあやふやだった所もあったが、作戦は成功でいいだろう。
***
[ナツ月 25日]
その日の目覚めは良いものだった。
起きると、隣にはギールが口をぽか〜と開けながらムニュムニュ言っており、ケントは端っこでスヤスヤしてた。リビング的な所に行くと、ナオが料理を作ってた。
「ナオ、ありがとう」
「クリス、起きたの…サーシャは怪盗魔のアジトの跡地を見に行ったと思う。
子供達はまだ寝てる筈だから」
「そうか、朝からありがとな!」
「それ程でも」
「ただいま〜」
「サーシャさんおかえり」
「ナオさん、なに作ってるの?」
「え? これ? スクランブルエッグよ」
「今度料理教えて!」
「今度ね」
「ふふっ、分かったわ、ちょっと着替えてくるね」
サーシャとナオがそんな会話を交わした。
サーシャはいつも外に出る時の格好だった。
「クリス居るかぁ? ケントがぁ、ケントがぁ…」
「どうしたんだ、ギール。お前朝弱いからなぁ」
「弱くねぇ…」
そんな事言ってギールは倒れた。
「面倒な奴だな、本当」
そう言って俺はギールを部屋に運んだ。
「クリス、お疲れ様ね、もう少ししたらご飯できるらしいよ」
「そうか」
ギールは寝てしまったので、ひとまず部屋へ運び込んだ。
ケントは寝室で普通に寝てた。
子供達はまだ寝てるので、あまり大きな音を立てずに行動する。
「朝ごはんできた!」
ちょうど良いタイミングに、ナオが言った。
「起こしてくるね」とサーシャ。
ナオは皿に卵やら野菜やらを順序良く載せている。
「クリス…ご飯? 俺まだ眠い」
ギールは眠い眠いと言いながら来た。
「あ、朝ごはん…ですか」とケント。
「わーい! 飯だ飯だ〜!」
「マナ! はしたないから止めなさい!」
マナが走りながら声を出し、サラがそれを注意する。
「召し上がれ」
ナオはそう言いながら皿をテーブルの上へと乗せる。
メニューは、
《丸いパン、ポタージュスープ、レタツのとスクランブルエッグのサラダ》
と言ったところか。
「いただきま〜す」
一斉に声を出したは皆んながそれぞれの皿に手を伸ばす。
「うま、うま! あいつらこんな柔らかけぇパン食わせてくれなかったぞ!」
「礼儀が悪いよ、マナは…」
それぞれがもきゅもきゅとご飯を食べる。
「ごちそうさま〜」
皆んなが食べ終わると一斉に手を合わせ、それぞれが流しに皿やらコップを持って行く。
「後で話があるからここに居てね」
話しかけてきたのはサーシャだ。
それから10分ほどだろうか? 話が始まった。
「今の所アジトは全焼で出火原因不明と言うのが公式の扱いらしいよ。
死体を衛士が片付けてたのを見たわ、その後更地にするんでしょうね」
「そうか、街や国は俺らをどう思ってるんだ?」
ギールは訊いた。
「さぁ、見た感じ犯人は不明、怪盗魔が不意に燃やしたと言うのが国や街の扱いじゃないかなぁ?」
「そうか、それよりあの子供達はどうするんだ? 俺たちの村に連れてくのは不可能だ」
「それなら、私達に任せて、ギールさん。
私とケントであの子達は保護するわ」
「そうか、ナオ、感謝するよ」
「どうも」
あの子達はここに残るのか、ケントとナオの二人だけで上手くやれるだろうか…
ひとまず、今日、俺とクリスとサーシャさんは村に帰る。
俺はその後ここに戻って来るからナオ達は大人しくここであの子達を守ってくれ。
「ギールさん、解った」
ナオがそう言う。
「ギール、お前は村に帰らないの?」
「そう言う事になるな、ここの建物を正式に購入する。
これからはここが対怪盗魔の基地になるかもな」
へーって感動してる場合じゃない。
「そんな金どこにあるの?」
そこだよ、そこ! 金がなきゃ買えない。
「クリス、そこは深く詮索しないでおくれ」
「解った」
訊いたらまずいのか?
「あ、あの…皆さん…宜しいでしょうか?」
ケントが来た。
「良いぞ」
ギールが許可を出す。
「あはは、お兄ちゃん! なぁなぁ、クリスお兄ちゃんてば!」
「わかった、解ったから引っ張らないでくれ、マナ」
「コラ! マナ、クリスさんの手を離しなさい」
いつもに似た会話をするサラとマナ、後ろでニコニコこっちを見るルーシーとエマ。
「さて、クリス、準備して! そろそろ行くよ」
「ああ、解ってる」
俺は普段着を、サーシャはローブを、ギールは半袖のシャツを着る。
「にしても荷車は重い」
バラした荷車を外に出して、バラした荷車を積み立てる。
組み立ては、物の数十分で終わった。
「よし行くか」
「ケントにナオもありがとな」
「いいの、サーシャさん、また話しましょ!」
私もナオと話したいわね、また今度来たらゆっくり話そうね」
挨拶を済ませ、馬を荷車に繋げたと思ったらみんなが外に出てきた。
「みんな、俺たちは帰るから、元気にしててな」
別れの挨拶をみんなに言う。
ケントとナオには既に挨拶済みだ。
「クリスさん、ありがとうございました」
と礼儀正しく言うサラ。
救われた嬉しさと俺たちの居なくなる寂しさで泣くエマ。
あたふたと立つルーシー。
「お兄ちゃん、居なくなっちゃうのか?
ーークリスお兄ちゃんとサーシャお姉ちゃん、また来てね!」
マナは最後そう言うと緊張の糸が切れたのか泣き出した。
涙を滲ませながらマナの頭を撫でるサラ。
「皆さん、また来ますから心配しなくていいわよ」
そう言うサーシャ
「さよなら、みんな、また会おう…」
俺はそう言う。
ギールが馬に乗る。
「じゃあね」とサーシャは言いながら後ろの方へ乗った。
「いくわよ」
「ああ!」
俺はサーシャの声にそう強く言ってサーシャの居る荷車の方へと乗った。
馬が歩き出す。
手を振るケントとナオと子供たち。
「出発だ!」
ゆっくりと馬は走り出した。
この章はまだ完結しません。
誤記大変申し訳ございませんでした。
ですが、ラッティオの街の話は終わりです。