第7話『潜入! 黄昏の怪盗魔アジト 後半』
誤字脱字などありましたら申し訳ございません。
活動報告見て頂けると光栄です。
黄昏の怪盗魔のアジトに潜入した俺達。
このアジトの長と思われる人が居るであろう部屋に入った。
そこには、黄昏の殺人魔のメンバーの中にも居た人が居た。
そいつは、俺達に殺人魔のメンバーであり、怪盗魔のリーダーでもあると言った。
そしてその名をパトリックであると言い放った。
「俺は、平凡だった。勉学においても、剣や術もな…
だが、1つだけ才があった。
それは、物を感じる第三の目だ。
どこに誰がいて、どこに何がどうあるのか、それを把握する力だ」
「魔眼か?
そういう物なら何度か聞いた事がある」
俺は訊く。
魔眼とは、動きの未来を観たり、遠くを望遠鏡の様に観たりすることの事の俗称だ。
有名なのは透視とか予見とか千里眼とかだ。
大抵魔眼は片目を普段犠牲にする事で使える様になる。
俺も詳しくは無いが、確か魔眼を開眼しないでで両目を開けると気持ち悪くなったりするらしい。
なぜだろ…
でも、あいつは前に会った時も眼帯を付けて居なかった。
「魔眼…あいつとは違う。
これは眼を使わない、故に第三の目だ。
第六感、存在しない器官だよ。
話は変わるが、クリスと言ったか…
お前の身体の周りには、とてつも無い魔力の流れ、《マナ》を感じる。
せめて俺の腕は落せよ…」
「いい加減、始めていい? 俺話聞くの疲れたわ〜
もっと剣振りてぇんだよ!」
魔眼じゃ無い魔眼。おそろしや…
ひとまず相手を挑発して様子を見るか。
「戦う時、気を高めるべからず。
師の言葉だ」
パトリックは両手を広げながら風を浴びている。
舐めてんのかよ!と思ったがパトリックの顔は真剣そのものだ。
風の吹く様な音。
ふと隣を見る。
サーシャが凄い速さで動く。
パトリックは立ったままだ、体勢を見る限り避けられないな。
「やったか?」
俺は大きな声で言う。
「フ…」
声がした。
後ろを振り向く。
「何⁉︎」
俺は急いで右手を出し、力を込める。
俺はアイススピアを撃った。
アイススピアはパトリックの頭を掠めて壁に突き刺さった。
「心を落ち着かせ、全てを感じろ。
師の言葉だ。
感じるな、五感に頼っては何も見えん。
これも師の言葉だ」
「何が言いてぇんだよ…」
「フッ…氷槍を撃ってくることは分かっていた。
それと、女の方、お前は術神流使いか?
俺に風の剣は効かない。マナの流れを見ればわかる」
「なんでもありだな…」
そういうしか無い…
「そうでも無い。俺は感力の優子の中では真ん中程だ。
そこまで優子の力は無い」
俺はやけくそにファイヤーボムを撃つ。
「コイ!…」
「フッ…」
予想通りパトリックは爆発を避けた。
後ろを見る。
「何!」
パトリックが声を上げる。
そこにはサーシャが居た。
サーシャの振る剣をパトリックはバク宙で避ける。
「うわぁぁぁ〜〜〜!………」
パトリックは避けた拍子にベランダから落ちた。
俺は、後ろの壁を蹴る。
その時の力でジャンプする様な感じで前へ走る。
ベランダ越しに下を見ると、パトリックらしき、男が抱えられてる。
抱えてる男がもの凄い速さで走り出した。
そのままアジトの外へ出て行った様だ。
「ひとまず一件落着だよなぁ…」
「良いんじゃぁ〜ないかなぁ〜…」
俺はというと、自分の使った魔術に巻き込まれ、ケープが見事にボロボロになった。
ローブの方が、良かったか…丈長いし
後ろを見るが、火事になったりする心配は無さそうだ。
少し壁が焦げただけで済んだ。
ひとまず連絡しよう。
「ギール、聞こえるか?」
『あぁ、聞こえる』
ひとまずパトリックがいなくなったので、ベランダの端でギールに相談してみる。
「どうすればいい?長がどっかに行って、
見た感じ怪盗魔のメンバーが一斉に集まったりしてるんだが?」
『そうだなぁ、ひとまず的に注意しながら帰ってくるしかねぇなぁ〜
街にやばそうな奴が居たりはしねぇと思うが…』
「箱も使えなさそうだ…」
正直このアジトには、沢山の人が集まるだろう。
そんな中で箱に見せかけながら移動する位なら、正々堂々と戦った方がマシな気もする。
『だったらついでにそこのアジト燃やしてくれ…』
「は⁉︎」
ギールがありえない事を要求してきた。
『だから、クリスは怪盗魔のアジトを燃やして下さい』
「ギール、馬鹿かお前?
そんな事して派手な事になったら…」
『クリス、少なくとも国は怪盗魔や殺人魔の事を良くは思っちゃいない。
だったらアジトの一つ二つ燃えた方が国にとっても利益になるんじゃね?
そうすりゃ賞金首どころか、勲章だぜ』
「とにかく燃やせば良いんだな、アジトを」
『そうだ。
逃げるんだったらアジトの中を戻るか、ベランダから地上へ降下するくらいだな…
とにかく頑張れよ!』
「あぁ、ギール。
このままベランダから降りるのは無理そうだな…
陰刻までに戻れるかと」
『またな!』
ひとまず伝心の神器をしまう。
「サーシャ、今からさっき来た道を戻る。
何人か敵と遭遇するだろうけど所詮は素人だから心配するな。
アジトを出たら建物ごとアジトを燃やすから先に帰ってくれ」
「わかったわ、さあ、行きましょ」
三階に関しては用もなく狭いので豪華な所長室的な部屋を抜け、二階に通じる階段を降りる。
「侵入者だ!やっちまえ!」
階段を降りてさっそく見つかった。
「我に神の加護と知恵を恵んでくださいませ
クロススピア!」
サーシャの右手から二つの尖った弾が二つ、交差する様に放たれた。
「ガァ⁉︎」
敵は、頭に尖った塊をつけながら倒れた。
「先行っててくれ!」
「え、ちょ?」
俺は途中、とある部屋に入った。
中は薄暗く、少々異臭がする。
目の前には、檻の様な物がある
「いけっ!」
剣を振る。
鉄格子は音を立てて切れる。
檻に入るとそこには、4人の女の人が居る。
「逃げましょう!」
そこに居るのは、奴隷となっていた人達だ。
ひとまず、さっき剣で折った鉄の棒をみんなに手渡す。
幸いにも手枷や足枷は付いていなかった、
「どうして…?」
女の人達が訊いてきた。
ひとまず、体の大きい人には、鉄の棒を持たせる。
一人、小さい子もいた為自分が担ぐ事にした。
「その、輝くに瞳に惹かれた…とでも言いましょうか。
ひとまず、気を付けて下さいね。
敵は自分が殲滅する気ですけど、怪我とかしたらすぐに教えてください」
部屋から出る。
すると、サーシャが目の前には立っていた。
「サ、サーシャ…先行ってろって言っただろ!」
「突然居なくなって!
後ろに居るのは?」
怒ってるよな…そりゃ
「後ろに居るのは囚われの姫だ」
「まぁ、この階に居たのは、目視出来る限りはやっつけたから」
「すまんな…」
「クリス、いいのよ。
クリスは人の命を救ったんだから」
命を救った?
まぁ、後々ここは燃やすからな…
「それじゃ、行きましょう!」
***
「ナオ、調子はどうだ?」
「記録は大体終わりました。
連絡がこないのは寂しいですが…」
今頃、クリス達は誰かと死闘をしているんだろう。
「連絡きました!」
ナオがそう叫んだ…
「本当か?…」
つい熱くなってしまった…
『ギール、聞こえるか?』
そんな第一声から会話は始まった。
伝心の神器での、会話が終わった。
「うまくやってくれ」
そう一人呟いた。
***
ひとまず一階へ降りた。
サーシャは俺の後ろにいる。
「敵だ!」
敵は見るだけで20人は居る。
後に知った話だが、怪盗魔の連中は強化合宿をやってたそうらしい。
それの帰ってきた集団と俺らが偶然会ったらしい。
「どうしよ〜…」
俺の担いでる子が涙を浮かべながら嘆いた。
俺は担いでた子をおろし、その子の頭を撫でた。
「大丈夫だからな! 俺が、絶対に助けるからな」
その子は涙を拭きながら少し笑顔になった。
その子をサーシャに預ける。
背中から杖を出す。
丈が短めで色もからしても、
良いものだとは思えないが、戦うには十分だろう。
「インフィニティスピア!」
そう言いながら、沢山の氷の弾をイメージする。
杖かに光が集まり、いろんな方向へと弾が飛んで行く。
前に居た敵は、氷の弾で気絶したり血を流したりしている。
後ろには子供も居るからあまり武力で人を傷つけたくはないが仕方ない。
「畜生!撤退だ!」
敵は一目散にどこかへ逃げて行った。
***
俺は、『黄昏の怪盗魔』の団員だ。
数日前から、団員の強化を目的にキャンプへ行っていた。
内容はかなり酷かった。
生魚を生で食うくらいなら良いとしてだ。
変な虫やら昆虫を食うのは死ぬほど辛かった。
「疲れた…アジト着いたらあの子にして貰おう」
基地に着くなり悲報が走った。
「先ほど、パトリック様が、侵入者と交戦をして、建物から転落、その後の詳細は不明。
侵入者はまだアジトに居る模様。
侵入者を徹底的に詮索し、見つけ次第始末しろ」
中にいた奴がそう告げて来た。
だらだら面倒くさいとか、しらねぇーよとか思いながら。
アジトに入った。
数分後に敵は正々堂々現れた。
「嘘だろ…」
アジトの奴隷を敵が引き連れていた。
しかも敵の男が我が愛しの奴隷ちゃんを抱えてるじゃないか…
気付いたら、目の前に卵ほどの弾が飛んで来て、痛みと共に闇に落ちた。
何が起きたんだ?
俺らは戦う時間すら無かったらしい。
目覚めた時は火の海だった。
遠くで嘆きながら必死に暴れる仲間。
視界は真っ暗で喉は恐ろしい程に痛む。
そして両足と左手は真っ黒だった。
足は鈍痛を放ちながらだが、動かせる。
残念だが、手は動かない。
意識が朦朧とする。
視界が滲んでは体をふらつかせる。
近くの天井が抜け落ちる。
二階にあったものが盛大に床にぶち巻かれる。
何が落ちたかと凝視するとそれは、調理で使う油や車輪に刺す臭い油だった。
それらは瓶に入っていたため、床に落ちると同時に瓶が割れて中身が溢れる。
そこに火が引火してたちまち火の海が広がる。
気付いた時、俺の周りは火で包まれていた。
もうじき死ぬだろう…
死を悟るとはこう言うことか。
「俺の何が悪いんだよ!盗みもした事がない。
確かに奴隷とちょくちょくあれやこれやとやったが、それは同意の上だし、
色々気遣った。なのになんで俺ばかり苦しまなきゃ行けないんだ…」
両目から涙が滝のように溢れ出し、口元は鼻血やら鼻水で汚れ、
炎の熱線で髪は散り散りになり服もボロボロだ。
「神のご加護のあらん事を…」
最後にそう呟いた。
それから数分後、俺は炎に身を焼かれた。
***
「もう大丈夫か…」
俺はサーシャと一緒に、奴隷として囚われていた女の人を助けながら敵を倒した。
新たに来た初見した時は敵は20人は居ると思ったが、30人は超えていそうだ。
ひとまず逃げた奴は置いておいて、アジトにいた奴らは全員気絶させた。
そんな俺は裏門に向かっていた。
先ほど陰刻の鐘が鳴った。
「先に行ってくれ。
もしかしたら敵の追っ手が来るかもしれないから気を付けろ
俺はここを燃やす」
俺は小さい子に尋ねる。
「お名前は?」
「えっと…私はマナ…」
「そうか…良い名前だな!
俺はクリスだ。あの、お姉ちゃんはサーシャだ。
どっちについて行きたい?」
流石に四人とは言えみんな体力の無い女の子だ。
一度に固まったらまずい。
「お姉ちゃん…サーシャお姉ちゃんに付いてく!」
マナは天使だな…とても可愛い。
「サーシャはマナとそこに居る一番大きな子を先に連れて行ってくれ。
俺は残りの子と一緒に逃げる」
別れた方が良いだろう。
「うん、わかった… 必ず戻って来てね…」
「ああ!」
二人でそんなやり取りをした。
「さて」
俺は胸が黒い、伝心の神器を出す。
***
「ギールさん、どうなったと思いますか?」
「あいつなら大丈夫だろ…」
ナオが話し掛けて来た。
「ん?」
伝心の神器が、鳴っている。
「ギールだ」
『クリスだ。今から敵のアジトを燃やす。
サーシャは先に帰った。
あと、四人女の人が来るから受け入れの準備をしろ!」 』
「クリス、どういう事だ?
四人も…ここは宿じゃねぇ」
口調が強い。
きっと何かあっただろう。
『四人は大人になるかならないかぐらいの女の子だ。
四人とも怪盗魔のアジトで奴隷になっていた。
見捨てる訳には行かないだろ?
だから頼む!』
「仕方ない。わかった。
湯を沸かしておくから早く帰ってこいよ」
『ああ!』
「あと少しだ、クリス。頑張れ」
そんなで会話は終わった。
「では、少し抜ける。サーシャ来たらひとまずソファーまで誘導してくれ」
「分かりました…」
ナオがそう言葉を返す。
「わ、分かりました…」
相変わらず、ケントは気弱だな。
***
「少し目を瞑っててね」
そう彼女たちに言う。
「ダブルファイヤーボール!」
そう言いながら杖に力を込めると二つの火の玉が建物に飛んで行った。
一つは本棟へ、一つは倉庫党へと飛んだ。
俺はまだ止まらない。
二つの火の玉が壁に当たろうとした時に、火の玉に力を込めて二つを爆発させる。
「よい、良いか…」
忽ち二つの建物は燃える。
「よし、行こう!」
帰り道は平坦だった。裏門は小柄な彼女達でもよじ登れた。
その後は、特に追われる事もなくギール達の居る建物に着いた。
「クリス、お疲れ様…」
「ギール、戻ったぜ。
マナは元気にしてるか?」
「クリスのお兄ちゃん!」
「おいおい…ちゃんと頭を拭けよ…」
マナは体を布で拭いてるところだった。
ふと窓から、南を見た。
黒煙が上がっているのが良く分かる。
俺と、一緒に戻って来た二人の少女は、泣きながら差し出されたスープを飲んでいる。
こう見ると、四人は綺麗だな…
マナはまだ幼さが残るが、透き通る白髪に目は大きくて猫みたいだ。
もう一人俺のところに来た。水色の髪をした子だ。
「私の名前はサラです、助けてくれてありがとうございます。
マナも喜んでますし、本当にありがとうございます」
「良いんだよ…今まで頑張ったな!」
そのまま俺はサラの頭を撫でる。
「うっ…つ…ひくっ…そんな…私なんて、私なんて…今まで偽の女王…て
馬鹿にされたわだじが〜… ひくっひくっ…」
サラは床に蹲りながら嗚咽した。
俺は、そのまま軽くサラの頭を撫で、前に座る。
サラが少し顔を上げたのを見計らって俺はサラを抱き締めた。
「もう、囚われの女王じゃあ無いんだ…
サラは嘘でも一人でもない。本物の女王だ。
たとえそのまま女王としての地位が無くても俺やサーシャ、
他の3人の子はサラを頼れる存在として見てくれる」
手を戻す。
サラは少し頬を染めながら泣いていた。
後ろを見るとギールがからかうような目をしてサーシャは少し怒ってるように見えた。
仕方が無いじゃん。女の子が泣いてたんだし慰めなきゃ!
「クリス様、助けてくれてありがとうございました」
いつの間に、スープを飲み干し軽く体を拭いた二人が来た。
「私の名前はエマ、本当にありがとございます」
「私は、ルーシーです。あ、ありがとございます」
「二人とも、大変だったな!」
エマは焦げた茶色の髪だ。ショートの明るい感じだ。
ルーシーは金髪碧眼だ。
「よし、飯食ってしっかり体を洗って、寝るか!」
俺はそう言った。
いつしかそこには笑い声が響いていた。
-- ギールのステータス --
名前.ドゥギールシス(ギールの母の故郷の言葉でたくましいと強いをかけた名前)
年齢.20歳前後
職業.農業兼諜報員兼ちょこっと鍛冶も
--剣術--
流派.剣神流を中級ほど
特技.足の速さを生かした戦術
--魔術--
得意系統.無し
特技.まず、魔術は無理
--その他--
凄い痩せてて、顔も普通。
ただ、足が速く諜報や斥候も多少なら。
-- 女の子のステータス --
--1人目--
マナ.13歳
栄養が足りなかったのか小っちゃい。
白髪、
--2人目--
サラ.18歳
青い髪の綺麗な人で背は高いけど、ちょっと泣き虫
--3人目--
エマ.16歳
焦た茶色見たいな感じで短めの髪。
--4人目--
ルーシー.15歳
金髪碧眼の激かわ女の子。