考えてみたら
考えてみたら、かなり長い間ここにいる計算になる。
数百年、いや数千年位だろう。
現世とはかなり暦が違うそうだから、実世界では数日ほどらしい。
でも、俺が感じているのは、数千年という長い時間だ。
「永いなぁ」
そう言って俺は書類をまとめ上げた。
もっとも、時間の感覚というのは人によって違うらしい。
俺がここでしていることは、現世で発刊された書籍にコードを付して、それを整理するデータベースの構築。
それ以外にも司書業をしている。
「ああ、赤羽さん」
「はい、岩太さん」
図書館の中で俺は同僚の女性である赤羽鈴音を見つけると、書類を見せる。
「これでいいでしょうか」
「えっと……はい、大丈夫です。あとはサイン神の承認印をもらってください」
「分かりました」
見ての通り、俺が後で入ってきたということだ。
サイン神というのは、俺が知らない神さまの一人で、なんでもいろんな世界を旅してきた神の一人らしい。
俺と赤羽の二人で、サイン神が使っている図書館の管理や運営をしている。
ずっと、長い間。
そして、きっとこれからの間。