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適当男の転生軍師 2  作者: TUBOT
テルシオとの戦い
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陛下のきまぐれ

「うーん……」

 俺は机に座って唸った。

 エーリッヒJr隊。俺の部隊はそう呼ばれることになったらしい。

 今は二十数名の人数しかいないがこれからどんどん人員は増えていく……予定らしい。

「つうかよー……」

 俺は椅子に思いっきり背中を預けて言った。

「こんな情勢で兵士になりたいなんて奴いるのかー?」

 今はこの国は戦争中だ。新兵として志願をするなんて死にに行くようなものだ。

 ちょっと考えればわかるだろう?

 戦争中だし訓練をするような時間的余裕はない。大した訓練もせず、戦場に放り出され、捨て駒扱いされるのがオチだ。

 兵士に志願するのはそんな事すら考えられない奴と、食うために仕方なく入った人間くらい。

 いきなり俺に向けて『男娼になれ』だとか言ってきた奴がいるくらいだ。志願兵の程度もわかるというもの。

『陛下自らが挨拶をしなくとも……』

『なんだ! ちょっと興味があるだけだ!』

『ちょっとした興味で玉体を上げるなど……』

『黙っていれば誰も分からぬ! この話が王宮中の噂になったら、お前が誰かに話したとして処刑する!』

『陛下! ご無体な』

『それが嫌なら廊下をウロついているところを見られるのは困るだろう? この部屋の中に入ろう!』

『陛下! そんな方法でこのじぃは騙されませんぞ』

 いきなり廊下の方からそう会話がしてきた。

 内容を聞くに女王が俺に会いに来たのだろう。

『それどころじゃないんだがな……』

 そうはいえ、女王を外で待たすわけにはいかない。俺はドアに向かって歩いて行った。

「王女……早く中に……大臣様も……」

 そう言って俺はその二人を部屋の中に引きいれた。


「ロドムも妾の事を歓迎している」

 王女はそうふんぞり返っていった。

 めんどくせぇ……部屋の前で騒がれるのが嫌だっただけだっつうの。

 だが、そんな事を言うわけにもいかずに俺はかしこまった。

「その玉体を上げて、こちらにお伺いいただくとは恐悦至極にございます」

 教悦至極ってこういう使い方で合っているよな……?

 こんな事になるならもっと敬語や謙譲語を学んでおくんだった。

「ロドム=エーリッヒよ。妾はお前に興味があるから来てやったぞ」

 俺はそう言われると敬礼をした。

「ご多忙のなか、お時間を私などにお使いいただきありがとうご……」

「別に多忙でもないわ」

 最後まで言わせてくれよ……別に欠片もそんな事思っていないけど、メンドクサイって思っているだけだけども……

 俺も元々は日本人。急な来客は苦手なのだ。

「ロドムよ……お前は他の世界から転生してやってきたという妙げな事を言っているそうだな? その話は本当か?」

「はっ……私にはこの世界にはない知識が存在します」

 言ってしまったけど大丈夫か? 何か無理難題でも押し付けられるんじゃないか?

 どうあれこれは王女の気まぐれ。彼女が飽きるまで失礼の無いようにしながら彼女が帰ってくれるのを待つしかない。

 俺は兵の訓練メニューを考えるので忙しいのだ。

 栄養学をすこし学んでいるから食事の事も考えないといけないしな……さっきまで、体に筋肉をつけるには鶏肉のササミだとか……兵の年齢によってパンの量をかえないと……とかを考えていたところだ。

「前の世界の知識を使って妾を喜ばせてみろ」

 女王はいきなりそう言った。

 はい。いきなり無茶振りがきました。

 さっきまで栄養学の事を考えていた俺は、いきなりそう言われて体を硬直させた。

「それではお菓子などがよろしいかと……」

「お前はワンパターンだな。一介の学生風情ならそれでも喜んだのだろうが、そんなもので妾が満足すると思うか?」

 いきなり俺の武器がつぶされた。他に何かあったっけ? 兵士達にサッカー勝負でもさせるか? 何か賞品とか出せば本気になってやるだろうし、この陛下の教育に悪影響にもならないだろう。

 格闘技の観戦なども考えたが女の子がそんなもので喜ぶかは疑問だし、この傍若無人の陛下の教育にも悪そうだ。

 俺がこうべを垂れて考えていると陛下は続けた。

「一回食してみるのも一興か。では今日中に準備をいたせ」

 お菓子でいいんかい……うぜぇよ。本気でうぜぇよ。

 こうなればこのワガママ陛下に意地でも旨いといわせてやりたい。ティーナを呼ばないとな……氷の魔法で、冷たいスイーツでも作ってやればいい。

「いますぐ取り掛かります」

 本当は兵の訓練メニューを作りたいが陛下からのお達しならそんなものは後回しにするしかない。

 面倒だと思いながらも俺は何を作るかを考えた。


「陛下だからってワガママもすぎます……」

「フェリエ。今すぐ舌を抜き取ってあげようか?」

「なんですか! ロドム様!」

 フェリエがぶつくさ言うのに俺は言った。その言葉は危ない。二度と言ってほしくない。

「フェリエ様……女王の事をそのように言うと……」

 シィが説明してくれた。それを後目にお菓子作りに戻る。

 俺は今牛乳をかき混ぜている。ソフトクリームでも作ろうかと思っているのだ。

 他の砂糖などの材料は俺の部隊の兵に買いに行かせてる。

 あと、チョコレートもこの世界にあってよかった。バニラビーンズは知らん。個人的にバニラアイスはあんま好きじゃないし。

 何もなければチョコソフトを陛下に出せるはずだ。

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