過去の縛り
私が7歳のときの事です。
一条家は不動産業界では名を知らない人がいない程の名家でした。
でも、裕福で全てにおいて成功していた一条家を恨み妬ましく思ってる
輩もいました。
その日、私が小学校・・・今で言う寺子屋から帰ると家の中は一面血の海で両親と兄が肉の塊に成り果てていました。
私がまだかろうじて原型を留めていた兄の亡骸に何が起こったのか分からず
ただ泣きついていると、後ろから押さえつけられ薬品をかがされ誘拐され敵の元に監禁されました。
あそこでの生活は酷かったです。
なんせ昼も夜も分からないような不潔な部屋で一日中殴られ蹴られしていましたし、ご飯もろくに与えてもらえませんでした。
そして、私が弱っていたからでしょう。敵がここぞとばかりに私を襲おうとしました。日頃の鬱憤を晴らすためか死んだ両親への当て付けかは皆目検討もつきませんが・・・。
襲われかけた私はばれないように隠し持っていた小刀で相手を刺し殺してしまいました。
どうやって逃げたのかは記憶がないのですが、目が覚めたときには病院のベッドの上でした。7歳だった私の身体は驚くほど弱っていたらしく家族の葬式にも出れず退院後は孤児院に入れられました。
それが10年前の事です。
今でもあいつの穢れた血が手を赤く染め上げているように見える事もあります。」