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しゅーてぃんぐ☆すたー  作者: 鶴岡
01-Prologue
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らんち いん ざ でざーと

「知らない、天井だ」


いや、ね?マジで知らない天井だよ。

というかさ、昨日の夕食の記憶が途中から無いんだ。

そして、目覚めたらこのテントで横になっていた状態。


「どこだ、ここ?…とりあえず外に出てみるか」


寝ぼけ眼を擦りながら外へ出てみた俺を、いきなり黄色い嵐が襲い掛かって来た。


「うげッ!?ゲホッ!なぁ゛んだ!?」


黄色い粒々の何かが俺の全身に、猛然と当り散らして来る。

これは、砂だ。砂漠の砂だ。

慌ててテントに戻ると、今まで俺が寝ていたテントに他にもう一人、人がいることに気付いた。アジア系の男だ。

何か本を読んでいるようだ。


「えーっと、ぐっど もーにんぐ?」

「チィゴウ」

「え…?」


ちぃごうって何語?

なんてボケッとしていると、男が本を閉じて俺の方に体を向けた。


「コンニィチィワ。ワタシィ 楊 玉祥(ヤン ユーシャン)。チュウゴクジン ドヨ」

「に、日本語?!」


まさか、こんな砂漠の果ての地で日本語が聞けるとは思わなかった。すごいたどたどしいけど。


「イィマ ジュウイィチィジィ。ドカラ オハヨウ チィゴウ」

「すげぇ、外人が日本語喋ってるよ…なんで?」

「ワタシィ ニィホン デ アルボイィト シィテタ。ドカラ ニィホンゴ スコシィ ワカル」

「え~と、俺の名前は岡田 武(おかだ たける)。おっけー?」

「オーケー オカド タケル。ヨロシィク」

「よ、よろしく。…ところで、さっき何時って言った?」

「ナンジィ? クロック ノ コト?」

「そう、クロック。今の時間」


何か、凄く嫌な予感がする。


「ジュウイィチィジィ ドヨ。 English ドト eleven o'clock ドヨ」

「やば…、飛行機もう行っちまったかも…」

「ドイィジョーブ。コノ アタリィ ノ スナ ノ アラシィ ハ air port ノ アル マトワール モ オソウ。ドカラ ヒィコウキィ トベナイィ」

「そっか、砂嵐か。それじゃあ飛行機も飛べないよな」

「ドモ ヨル アラシィ ナクナル。 ドカラ オカド タケル ヨル air port イィク」

「わかった。夜に出発だな」

「Yes. ワタシィ ノ シィゴト コレ ツタエル コト」

「マジか。ありがとう、サンキュー」

「ドウ イィタシィマシィテ」


とりあえず、とりあえず飛行機には間に合いそうだ。よかった。


「ソレト モウ ヒィトツ。オヒィルゴハン」

「お、っと。ありがとう」


投げ渡されたそのお昼ご飯を見てみると、濃緑色の紙箱で中に何か硬いモノが入っているようだった、

箱の表には『09压缩(圧縮)干粮』とプリントされている。

食べ方が分からずヤンの顔を見ると、


「ソレ ィヤースオガンリャン。オイィシィヨ。チュウゴク ノ …」


ヤンの口が止まった。


「中国の、何?」

「チュウゴク ノ …アブナイィ ゴハン」

「…え?」


ボトリ


その、ィヤースオガンリャンが俺の手から滑り落ちた。


「チィ チィゴウヨ! ィヤースオガンリャン オイィシィ! ナゴモチィ! アブナイィ! ドカラ ジシィン ノ トキ モ タベル!」

「えっと、えっと、つまり非常食?ビスケットみたいな」

「ソウデス! ビスケット! ヒィジョーショク! アブナイィ ゴハン!」




ヤンの説明の通り压缩干粮(ィヤースオガンリャン)という危ないご飯は、非常食そのものだった。

硬くてボソボソして、食べると腹が膨れた。

そして、ヤンは嘘をついていなかった。コレは地味に美味しい。


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