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ナーセル曹長の希望
ナーセル曹長の個室病室の扉を開けた時、またも私は同じ感想を抱いてしまった。
病室の中央で姿勢を正し、その表情には希望に溢れさせている。その身に右腕は繋がっていないというのに。
「デイグナー大尉!自分は我が祖国ネジマの栄光のため、特務を志願します!」
「そうか。わかった、ナーセル曹長に特務を命じる。今晩に決行だ。キャンプに戻り次第、特務に備えろ」
「了解しました!ありがとうございます!」
目の前の部下が、特務を言い渡されて感激している様がまったくもって理解できない。
私が、生粋のネジマ人では無いからか?
私が、イスラム教徒では無いからか?
私と、ナーセル曹長との違いは何だ?
私と、今まで特務に送り出していった部下との違いは何だ?
私には、この内戦で失われる命の意義が解らない。