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しゅーてぃんぐ☆すたー  作者: 鶴岡
01-Prologue
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マトワール空港小話

とんでもない厄介事が起きてしまった。

ここはネジマ共和国、マトワール空港の到着ロビーだ。…ああッ、クソッ!

この国は内戦中だから外務省が退避勧告を出しているというのに、そんな危険な国に旅客機の緊急着陸によって126名もの邦人が一挙に乗り込むことになっちまった。


「まったく、何もなければ良かったのだが…」

「岡田 武様~、岡田 武様~!どちらにいらっしゃいますか?!夕食をお受け取りにいらして下さい!」


先ほどから客室乗務員が呼び掛けているが、乗客の1人が見当たらないのだ。

しかも、その乗客の座席は私の隣だったという。つまり、離陸前に携帯ゲーム機で遊んでいた少年が行方不明なのだ。


「新藤さん、空港の建物内をかなり捜索しましたが、行方不明の乗客の少年の行方はまだ見つかっていないようです」

「そうか、…まだ見つからないか」

「それと、もう一つ…」

「なんだ?」


副機長の顔色がとんでもなく悪い。とても嫌な予感がする。


「CAの1人が捜索中に見つけたのですが、発着ロビーと外を隔てているはずの通関ゲートが一カ所、無人のまま開放されていたとのことです」

「それは、まさか…」

「少年が空港の外へと繰り出してしまった恐れがあります…」

「な、そんな…。内戦中の、何時何処で戦闘が起きてもおかしくないこの国で?この空港でさえ安全とは言い切れないのに、その外に出て行ったって?!」

「その可能性があります」

「なんということだ…」


空港の大きく取られた窓の外へと視線を向ければ、空港から漏れる光で照らされた地面が僅かに見える程度。その向こうは何も見えない暗闇だ。

今頃、何も無ければフランスで防衛駐在官として着任する予定だったが、そんな展望は脆くも崩れ去っていた。

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