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家を建てる、その前に

 

 土下座。

 両足の爪先、脛、踵を地面と接地させ、体を前傾させた後、両手、ともすれば額迄をも地面に接地させた体勢。

 貴人が通行する場合にする礼でもあったが、現代では謝罪の意を姿で伝える方法として一般的。



「で、知り合いを呼ぶって事なんだな」

「ああ。でもタダじゃなくてちゃんとお金貰って誘おうかと」

「じゃあいいんじゃない? 変な人とかじゃないんでしょ」

「私たちだけで住むには土地が広すぎるしね。私も誘いたい人がいるけどいい?」

「俺も。前言ってた泥啜りを団体購入してたおっちゃんチームが田舎暮らししたいってさ」

「お店のNPCが結婚して新居探してるって言ってたから誘っちゃった」


 ジャンピング土下座から説明を始めたのだが、拍子抜けする程簡単に終わってしまった。なんだよ頭の下げ損じゃねえか。いや問題が解決したなら良い事なのかな? 


「んじゃとりあえず資材置き場を作ろう」

「その前にあいつら駆除しないと……」

 腑に落ちんが、わざわざ藪をつつく事もないので話題を変えよう。

 昨日も話に出てたが、土地を購入したは良いものの買ったからといって魔物の湧きが無くなる訳ではないのだ。

 苦労して建てた家を湧いた魔物が取り囲む姿を想像してみて欲しい。誰がそんな家に住みたい物か!

 湧き自体は建物を建てていき村として認定されれば無くなるらしいのでいい。

「ん。魔法で焼き尽くす」

 問題はこちらに向かってくる巨大な毛虫の大群を処理しながら建築をしていかなければいけないのだ。





「3匹湧いたよ」

 木蓮の指さす方角にはたった今出現したであろう毛虫がこちらに気付いたようで迎撃の為、俺も走り出す。

「準備いいぞ」

「いっきまーす」

 藤やんのかけ声と共に、ルーが馬車の屋根の上からジャンプ一閃ハンマーで丸太の頭を叩く。

 甲高い打撃音を響かせながら先を尖らせた柱が地面に突き刺さる。


 こいつらは体当たりぐらいしかしてこない物の、バカ正直に受けるとその毛で毒状態にされてしまうやっかいな敵だ。

 長鞭で青白い皮膚に一撃当ててやるが、極彩色の毛が邪魔して大してダメージを喰らわせられない。

 しかし今の攻撃で2匹は俺を敵と見なしたのかこちらに向かってくるが、1匹が脇をすり抜けていってしまう。


「こっちこないでっファイヤー……」

「あぁ燃やしちゃダメだって」

「そんな事言ってる場合か! やっぱり俺一人じゃ無理だって」

「状態異常を持った素材を『そんな』ですって? 幾らで売れると思ってるのよ」


 ヒメアは虫嫌いなのか軽くパニクっていると木蓮がそれを止める。そう、こいつらは火で燃やすとドロップアイテムとして毒毛束を出さない。

 接近せずに戦えるのが俺とヒメアしかいないのに、ヒメアが魔法を使うと素材が穫れない悪循環。

 目的は資材置き場を建てる事なのだが、市場に一切出てきていない素材に木蓮の頭の中では金勘定で一杯になってしまっている。



 っと突進してきた1匹を大きくかわし、頭部の毛が生えてない部分に鞭を当てる。ぴしっと心地よい音がなるがそのまま手首を返すと俺の指示を理解した鞭が2匹目の体に当たり、皮膚を抉る。


 2匹が同時に襲ってこない様に直線に並ぶ位置どりをしながらダメージを蓄積させ、倒しきる頃には木蓮を説得したヒメアが毛虫の丸焼きを1匹作り終えていた。


 木蓮? 喜々として素材回収に勤しんでるよ。


「収まったみたい。今のうちに建てちゃおう」

「支柱は藤やんとルーに任せて、平行して俺たちでロープと布張っていこう」


 パーティの役割としては鞭で相手の行動を阻害したり痛みでステータス異常にさせるのが役割の俺がタンカーやダメージディーラーを兼任する戦いは正直もう勘弁して欲しい。

 ロープの端を柱の上部に括り付ける。ロープにはすでに布が取り付けてあるので、括り付ける作業だけで簡易の屋根ができる。


「こっち縛ったぞ」

「そこはもっと下にしないと雨降ったら水溜まっちゃうでしょ」


 そんなこんなで単純な作業でも出来上がったのは日が大きく登り、頂点に差し掛かろうかという所まで時間がかかってしまった。


「非破壊設定出来てるな。これでこの中では敵が湧かないし、入ってこれない」

「商品出せる様になりました。家が完成したらここをマーケットにしてもいいかもしれませんね」

「さて資材置き場は完成したが、皆宿題は終わらせてきたか?」


「ログハウス」

「海上の家」

「赤レンガ」

「石造りの家」

「木の上の秘密基地」

 上から俺、ヒメア、木蓮、ルーリィ、藤やんの発言。


 ばらばらじゃねえか。


「ほらコレ見てよ。赤レンガの町並み。可愛いでしょ?」

「それなら石造りで統一した町並みがいいかと」

「秘密基地だぞ。大木からの絶景は男のロマン」

「上り下りが大変。家の窓から釣りするのが正解」

「ログハウスだって」

「「「「ありきたり」」」」


 うっ。木の温もりの素晴らしさがわからんとはけしからん!


「もういい解散だっ! 俺は一人でもログハウス建てるからな」

「それいいな」

「は?」


 何肯定してくれちゃってるの? ここは「いやいや落ち着いて」とか言って止める所だろうが。


「いや好きにそれぞれ自分の家つくればいいじゃねえか」

「一人で家建てるって流石に無理だろ」

「お前の魔物でもルーのゴーレムでもいいだろ? てかそれぞれが1軒造るって話だと思ってたんだが」


 俺はてっきりシェアハウスみたいに全員で1軒の家に住むのかと思っていたが、違ったのか。けどそれはそれでいいかもしれないな。


「じゃあ完成したらお披露目会するって事ですね」

「材料はお店に入ったの原価で回すから、必要ならいつでもいってね」


 テイムモンスターとゴーレムを藤やん以外で分けてそれぞれ思い思いの方角に分かれていった。また毛虫が湧いたらここまで戻ってこればいいだろう。

 藤やんは「巨木の苗植える所から始めるから、当分必要ない」らしい。

 そこから始めるのかと思ったが、自分の理想の家だし納得出きるまで凝れる方がいいよな。


 じゃ俺も始めるか。




累計ユニーク19万人越え!!

めでたい!

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