表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

過ぎ去る雨

作者: きら☆麿
掲載日:2026/04/25

 下校時のバス停は混雑する。


「こっち入れよ」


 彼はぶっきらぼうに傘を寄せた。


 昔なら、何も意識せずにその隣へ入れた。


 それだけのことなのに……できない。


「ほら。肩が濡れてるじゃないか」


 肩が触れ合う距離まで近づく。


 触れた瞬間、呼吸が浅くなる。


 周囲の声が遠のき、傘の内側だけが隔離された世界みたいだった。


 ――気づかなければよかった。


 そう思うのに、もう少しこのままでいたいとも思ってしまう。


 俯く。


 雨は優しく傘を叩き、ふたりの沈黙を隠してくれていた。


「寒くないか?」


「べ……別に……」


 そう答えるのが精いっぱいで、顔を背けた。


 その仕草に、彼が何か言いかけて飲み込む気配がする。


 空が少しずつ明るくなっていく。


 やがて、雨は止んだ。


 さっきまで隣にあったはずの温度が、少しずつ遠ざかっていく。


 ——やまなければよかったのに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ