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9.幼馴染の思い

今日は土曜日、紗奈との約束の日なので僕は公園に向かっている。

紗奈と最後に話したのは数日前だろうか、その時の表情が今でも忘れられない。


「大切な話ってなんだろうな…」


天使のように明るい紗奈がこのような真剣な話を僕にするのはこれまで無かったので脳内はこの事でいっぱいだった。


そして僕は公園に到着した。

ここの公園は見晴らし公園といい、文字通り街を一望できる場所。

その見晴らし公園から獣道のように細いを少し歩くとさらに景色がきれいな場所に辿り着く。

僕たちはよくここで遊んでいた。


おそらく紗奈もそこにいるだろうと思い僕はそこへ向かう。


「よぉ、紗奈。」


そこには小さいベンチが置いてあり、そこには紗奈が座っていた。

僕が声をかけると


「湊くん…来てくれてありがとう」


紗奈は立ち上がり、そして振り返った。

その表情はとても真剣、というか緊張しているようにも見えた。


「なんだよ急に、来ないとでも思ったのか??」

場の空気を和ませるために冗談を言う。


「そういうわけじゃないけど…」

普段ならもっと明るいはずなのに…、やはり紗奈は緊張しているようだ。


「冗談だ、それで大切な話って?」

正直今の空気は耐え難いのでそろそろ本題に入りたい。


「ここ数日間、湊を避けた理由はね愛菜ちゃんの事を隠していた事に怒ったからってわけではないの、もちろん隠し事してたのはいい気はしないけどね…?」


「それは、すまん…」


僕の予想は大きく外れた。てっきり隠し事をしていたことに不満で僕を避けていたのかと思っていた。

じゃあなんで紗奈は僕を避けたんだろうか…


「単刀直入に言うと、私は湊のことが好きなの。」


「えっ?」


紗奈が僕の事を好き…?

紗奈はこれまでそんな素振り見せたことがなかったので全然気づかなかった。

それとも僕が鈍感すぎるのかな?



「それでね、この前愛菜ちゃんとお互いの好きな人について話したの、その時に愛菜ちゃんも湊の事が好きって言っててさ。」


とうとう愛菜のやつは外でもそんなこと言い始めたのか…


「その時は湊と愛菜ちゃんの関係を知らなかったから、ただの一目惚れとかかなって思ったの。湊はかっこいいし」


急に褒められて僕は嬉しい気分になった。


「でも湊から2人の関係を聞いて、初めて理解した。このままじゃまずいって」


「湊はさ、これまで私以外の女の子と関わりなかったじゃん?」


グサッと、急に言葉のナイフが刺さる。


「正直誰にも取られないと思ってた。」


「でも愛菜ちゃんが現れたから、焦りがすごいの…それで自分自身でもよくわからなくて……」

「湊のこと避けちゃったの…ごめんね…」


「そっか…そんな理由が…」

なんと言葉をかけていいのか分からない。

そんな僕の気持ちを察したのか紗奈は早口で喋り始めた。


「これは告白じゃないから返事とかいらないから!ただ私の気持ちを知って欲しかっただけなの!」


そして僕も頭をフル回転させ言葉を捻り出す。


「紗奈の気持ちはよく分かったよ。ありがとう」

自分の気持ちを伝えるのは簡単なことではない、でも紗奈は勇気を振り絞り僕に気持ちを伝えてくれた。まずはその事に感謝しなければならない。


「ってわけだから、私もこれからは愛菜ちゃんに負けないように積極的にいくから覚悟してね!」

前にも愛菜に似たような事を言われたが…


「こ、この話はもうおしまいにしよ!」

紗奈も流石に恥ずかしくなってきたのか顔が赤くなり、動揺が隠しきれていない様子だ。


「そ、そうだ!今度定期テストあるじゃん?だからさ今度湊の家で勉強会したい!」


「まぁ、それはいいけど愛菜もいるけどいいのか?」


「えぇ、ライバルがどんな生活しているのか知るのも悪くないと思って。」


今の状態の2人を合わせるのもいかがなものかと思うが…本人が望んでいるならいいのかな…?

もしかしたら案外気があって仲良くなる展開もあるかもしれないし…


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