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7.すれ違い

ゴールデンウィークが終わり、学校が再開した。

帰りのホームルーム前のこと。

「ねぇ湊、今日一緒に帰ろ!」


そう話しかけてきたのは幼馴染の紗奈だった

「おう、いいよ」


「じゃあ校門前で待ち合わせね!」


とだけ言い紗奈は自分の席へ戻って行った。

「幼馴染にはしっかり説明した方がいいよな…」

紗奈には親が再婚したこと、そして愛菜と義兄妹になった事を伝えようと思う。


ぼくも自分の席へ座りホームルームが始まるのを待つ。


席につくと隣の席から何やら視線が飛んでくるのに気がついた。

「何見てるの?」

愛菜がこちらをチラチラ見ていた。

「いや別に、紗奈さんと一緒に帰るんだな〜って」


「なんだ、妬いてるのか?」


「そうだけど?悪い?」


僕が揶揄うと愛菜は機嫌を損ねたのか

プイッとそっぽを向いてしまった。


そしてホームルームが終わり下校の時間になったので紗奈との待ち合わせ場所に向かった。


「ごめん、お待たせ」


「お!きたきた!それじゃあ帰ろっか!」

校門の前では紗奈が先に待っていた。


数分ほど歩き学校から離れたタイミングで僕は口を開いた。

「あのさ、紗奈に大切なことを言わなきゃいけない」


「ん?どうしたの?」


「転校生の愛菜って人いるだろ」


「実は妹なんだよね」


「えっ…ど、どういうこと」


「親が再婚してさ、相手方の連れ子ってこと、しばらく黙っててごめん」


「じゃ、じゃあ…一緒に暮らしてるの?」


「うん」


「そうなんだ…」


「ちょっとごめん…わたし先に帰るね」


「あっ…紗奈!」

紗奈が走り去ってしまった。


「ずっと黙ってた事…そんなに嫌だったんだな…今度しっかり謝ろう」

と心に決めた。

走り去る紗奈の顔はどこか悲しそうに見えた。


そのまま僕は家に帰った。


その夜

僕は紗奈へメッセージを送った。

「今日はごめんまた今度しっかり話がしたい」

一通だけ送り僕は眠りについた。


翌朝

目が覚めて、すぐにスマホを開き紗奈からの返信を確認したが返信は来ていなかった。

「ほんとに嫌な思いさせちゃったのかな」


重い体を無理やり起こし、リビングの方へ向かうと

「兄さんおはよう!」

ドアを開けると同時に愛菜が飛び付いてきた。

「おはよう」


「なんか元気ないけどどうしたの?」


「なんでもないよ、気にしないで」


「ふーんわかった…」


愛菜はこの前の一件から人が変わったかのように冷たい態度を取らなくなった。

むしろ家にいる間はデレデレしてくるくらいだ。

そんな愛菜も何かを察したのか、それ以上深掘りはしてこなかった。



学校で何度か紗奈に話しかけようと試みたが、僕を避けるようにどこかへ行ってしまう。


そして放課後

下校途中の紗奈を見かけたのでもう一度声をかける。

「ねえ、紗奈聞いてくれ!昨日は本当に悪いと思ってる!」


そういうと紗奈が足を止めこちらを振り返った


「わたしも「大事な話」があるから。土曜日公園に来てくれない?」


「わかった」


そうして僕らは土曜日まで一言も話すことなく

そのまま時が過ぎた。


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