4.急展開
今日は普通の休日
この前の一件から愛菜との関係は少しだけ良くなった気がする。
そう考えているとある人から一通のLINEが届いた。
スマホを開くと幼馴染の紗奈からだった。
「ねーね、今日ひま?」
そう一言だけ送られてきている。
「まぁ暇だけど、どうしたの?」
「久しぶりに湊遊びたいなーって」
「そう思っただけ!」
確かに学校で話したり、一緒に帰ってくることもしばしばあったがちゃんと遊びにいくことはあまりなかったので快く承諾した。
「いいよ、どこ集合?」
「10時に駅前で!」
今は8時なのでまだ時間があるのでゆっくり準備することにした。
母親が用意してくれた朝食を食べ、準備を進めていると愛菜が声かけてきた。
「珍しくしっかり準備してたみたいだけど、何かあるの?」と言ってきた。
「珍しくって…友達と遊ぶだけだよ」
ちょっとバカにされた気分になったが実際普段の僕の服装は適当なので言い返すことが出来ない。
「へぇ、友達いたのね」
「ちなみに男の子?女の子?」
「一応女の子だけど…」
「へ、へぇ女の子の友達いるんだ」
また失礼な事を言われた気がするが、こちら側が慣れるしかないのだろう…あと男の子が女の子かなんて関係あるのか…?まぁ別にそんな事気にしても無駄か。
おっとそろそろ家出ないと間に合わないな、紗奈を待たせるわけにはいかないから急いで家を出た。
部屋から出ると兄さんが出かける準備をしていた。
誰と出かけるのか聞いてみると女友達と出かけるらしい。心がモヤモヤする。どんな人なんだろう、本当に友達なのかな?本当は付き合っているかもしれない。そういう考えが頭の中を占領する。兄さんと出会ったのは最近のことなので交友関係もわからない。兄さんは見た目のいい方だし、積極的に声をかけたりしてくれる優しい心を持っている。モテる部類だろう。そう考えているうちに居ても立っても居られなくなった。
「少しくらい…いいかな?」
兄の様子を少し離れたところから見守ろうと思った。これはストーカーじゃない、あくまでも兄の交友関係を調べるための調査である。と自分に言い聞かせた。
約束の10分くらい前に到着すると、待ち合わせ場所にはすでに紗奈がいた。
「もう来てたんだ、待った?」
「今来たばっかりだから待ってないよ!」
「ならよかった、それで今日は何するんだ?」
遊ぶ約束はしたけど何をするかまでは決めていない。プランも何も考えていない。長年の付き合いがあるから今からプランとかそういうのは不要だろう。
「買い物に付き合って欲しいかな、あとこの写真見て!このパフェカップル限定なんだけど男女2人で行けば別に大丈夫かなって思ってさ、ちょっと付き合ってくれない?」
「カップル限定か…まぁいいか行こうか」
周りから見たらカップルに見えるかもしれないが別に僕たちの関係はそんなものではない。
そう考えながら店の方は歩き出す。
5分ほど歩くとそのお店が見えてきた。
「おぉ、結構人並んでるね〜」
「人気のお店なんだな」
5組くらいカップルらしい人たちが並んでいた。
「まだ時間はあるから並んじゃお!」
「だな」
僕たちは列の最後尾に並んだ。
兄が家を出たあと私も後を追うように家を出た。後を追うようにというか後を追っている。マスクと帽子をつけて完璧な状態だと思う。駅へ到着すると見覚えの人がいる。
(あの人って同じクラスの人かな)
名前までは覚えていないが同じクラスも女の子と兄さんが待ち合わせをしていた。
1人目 同じクラスの女の子。メモ帳に書き記す。名前は今度学校で調べよう。
メモ帳に書き込んでいる間に2人は移動を始めた。私も後を追って歩き出す。5分ほど歩くと、とあるカフェの前で立ち止まり何か話している。そして最後尾に並んだ。
私はここがどんな店かスマホを取り出して調べることにした。
(カップル限定…?)
今1番見たくない単語が目に映る。そこのお店はカップル限定のパフェが人気のお店らしい。
「やっぱり付き合ってたんだ…」
兄さんには彼女がいる。私と初めて会った頃も付き合っていたのだろう。そう考えるととても心臓がキュッとなり痛い。
「勝手に惚れて、勝手に落ち込んだる私、ほんとバカみたい」そう自分に言い聞かせる。
「そういえばあの子この前話しかけてきた子だよね…」
いい考えがひとつ思いついた。
20分ほど待ち、ようやく僕たちの番が来た。店内に入り席につく。店内は明るく、壁には色々な装飾が施されていた。流行りの曲も流れいるので気分が上がる。
目的のものは決まっているので席についてすぐに紗奈が注文をした。
「カップル限定スペシャルパフェ1つお願いします!」
そう言うと店員さんは明るい笑顔で言った。
「かしこまりました!少々お待ちください」
僕たちは学校のこと、転校生のこと、他愛のない会話をしてパフェを待った。
10分ほど時間が経ち、パフェが到着した。
「お待たせしました、カップル限定スペシャルパフェでございます」
と店員さんがパフェをテーブルに置いた。
「すごい!」と言いながら紗奈が写真を撮り始めた。
「めっちゃでかいな…」
このパフェの高さは30センチくらいはあるだろうか、とにかく大きい。
「これ食べ切れるかな?」
「私甘いものはたくさん食べれるから任せて!」と紗奈が自身ありげにそう言った。さすが女子高生、僕は少食というわけではないが普通のご飯と甘いものでは話が違う。
「せっかくだし、カップルみたいな事してみる?」
と紗奈が突然そんな事を言い出した。
「カップルみたいなことって例えば?」
「あーんしあうとか!」
正直恥ずかしい、そんな事を考えながら周りのチラチラ見てみると、どのカップルもお互いに食べさせあっている。もしかしたら普通に食べる方が浮くのかもしれない。
「ま、まぁそれくらいならいいよ」
「じゃあ、はいあーん」
「あーん」
恥ずかしい気持ちを抑えながらお互いに食べさせ合いをした。
そしてパフェを完食し、店を出て近くのショッピングモールへ向かった。
「ここのショッピングモール久しぶりに来たなぁ」
「確かに久しぶりだね!お店色々変わってるし見て回ろうよ!」
そして僕たち2人は店の端から端まで見て回った。
「今日は急な誘いだけど遊んでくれてありがとう!また遊ぼうね」
「だな、また今度な」
そう言って僕らは解散した。
「はぁ…今日は結構歩いたから結構疲れたなぁ…」
と家の前でつぶやいた、そして家のドアを開けると
そこには愛菜がいた。