第1話「翔」
東京都のある土地に「はづき荘」という名前のちいさな養護施設があった。
どこにでもある、ごくごく普通の施設だった。
これは、ある夏の日の物語である………。
「ねぇねぇ、翔兄~」
「翔兄、プロレスごっこやろうぜ!」
「だめだよ、翔兄は俺とバスケやるんだよ!!」
机に向かって学校の宿題と授業の予習をやっていた12歳の少年、星村翔。
黒髪のショートヘア髪には多少くせっけな印象もある。
瞳は、銀に近い灰色である。
翔は、この「はづき荘」の園長、星村翔子の長男である。
「翔兄~プ・ロ・レ・ス!」
「バスケやろうよ、バスケ!」
「……あのなぁ…、俺はこれでも超いそがしいんだよ…毎度毎度人の勉強の邪魔して楽しいかぁ?」
「「楽しい~!」」
「……っ(…こいつらっ…)」
翔はいつも、こうして施設の子供たちの遊び相手になっている。
学業優先の翔としては少し迷惑な話ではあるが、実際子供たちの相手をするのも嫌いでもないので、
なんだかんだでいつも相手してしまい、いつも勉強が後回しになってしまう。
翔は今日も「しょうがないな。」と、ため息混じりに席を立つが、
今度は、赤ちゃんの泣く声がした。
「……はぁ、またか…」
「翔兄~、バスケは?」
「プロレスは~?」
「はいはい、あとでね。」
翔の足は外ではなく、自室の隣にある部屋に動いた。
「……ったく、翼~、早く帰ってきてくれよぉ…。」
翔はいまにも泣き出しそうな気分であった。
はじめまして、おはようございます。こんにちは。はたまた、こんばんわ!
あさくまめぐみで御座います。
「はづき荘」第1話、如何でしたでしょうか?
…といっても、まだ何がなんだかって感じしますよね(笑)
児童養護施設を舞台としたほんわかした物語にしていく………予定です。
登場人物がまだ主人公の一人・翔と施設の子供たちしか出てきてませんが、がんばります!!
次回は、もう一人の主人公が登場します!!
以上、あさくまでした。