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どうか、最高の結末を


唐突な前世の妹、弥生 美亜 視点です。

サブサブタイトル【愛されなかった少女が死んだあと】



誰かにとって最高の世界は他の誰かにとって最悪な世界だ。


……世界はどう足掻いたって自分中心にしか見れないんだもの。


全員にとって都合の良い世界なんてない。


この世界はいつも。誰かにとって都合が悪い。


しょうがない。だって。


金銭は有限。

時間は有限。

資源は有限。

幸せは有限。


ーーー愛情は、有限。



だから、自分が幸せに生きるためには、誰かを犠牲にするしかない。


ずっとそうやって生きてきた。


それが最善。それが幸福。


……そう信じて行動した結果がコレか。


自嘲気味に笑い、私は、父母と警察の声が聞こえないように耳を塞いだ。









弥生やよい 美亜みあ。私は今日、姉を亡くした。


……弥生 水月。私の異父姉。名前は今日、知ったばかりだ。



生まれたときから、母と父に、吹き込まれてきた姉の悪口。


ノロマ、グズ、不細工、欠陥品。


無言でその言葉を聞く私に母は言った。


『美亜は、貴女は、貴女だけは、そんな子じゃないわよね?』


だから、頑張った。


姉のようにならないように。


いつからか、出来損ない、私がそう呼んでも反応しなくなった姉は、優しい人だった……と思う。


断言できるほど一緒にいなかったけど。


『っね、ねぇっ、美亜。美亜は、学校楽しい?』

『美亜は、凄いんだね!』

『美亜のお姉ちゃんだもん。美亜のためにも頑張る!』


私のことを気にしてくれた。

誉めてくれた。

私のために、とそういってくれた。

私を見てくれた。


私は、弥生 水月なんて、見てなかったのに。











☆★☆












父母が捕まり、姉の葬儀が終わった。


……姉をはねたという自動車の運転手に頭を下げられ、私は、明後日には出ることになった、家を片付ける。


他の部屋が粗方終わり、姉の部屋に入った。


……ほとんどものがなくって、本だけが沢山ある部屋。


……ざっとみていくと、どうやら、異世界転生物や、旅のガイドなど、現実じゃないどこかのお話が多かった。


顔を上げて、棚の上を見ていると、懐かしいものを見つけた。


なんでここにあるんだろう。


……昔、私が大切にしていたヌイグルミ。


壊れちゃったからママが捨てた。


手にとって見つめると、取れていたはずの手足がくっついていた。


姉が直してくれたのか。


そのヌイグルミの持っていたバックに手紙のようなものが入っていた。


『みあへ

わたしは、あんまりみあとちがってうまくないけどなおしてみたよ。わたしは、いつもがんばってるみあをおうえんしてるから。わたしもがんばるね。 みづきより』


六個上の姉が書いた、ひらがなしか読めなかったのであろう私を気遣った手紙を握りしめて、私は、下唇を噛む。


「……お姉ちゃん……」


お姉ちゃん、そう声に出してみた。

初めて声に出したその言葉は震えている。


「……お姉ちゃん、ごめんなさい」


ねぇ、お姉ちゃん。

どうすれば良かったのかな?


なんで、貴女が死んじゃったの?


ごめんなさい。ごめんなさい。

素直になれなくて。

自分でなにも考えられなくて。

臆病でごめんなさい。


自分の幸福しか見えなくてごめんなさい。


貴女がいなくなってからしか、謝れなくて。


わからなくてごめんなさい。


知ろうとしなくてごめんなさい。

名前すら知らなくて、貴女の好きなものも、誕生日も。


知らなくて、わからなくてごめんなさい。


貴女はこんなに歩み寄ろうとしてくれたのに。


「お姉ちゃん……お姉ちゃぁんっ……わぁぁぁっ…っ……えっ、く……ごめっ、ごめんなさっ……」


何もかもが遅すぎた。


もうお姉ちゃんには、こんな懺悔も届かない。






ねぇ、神様。


私のなにを代償にしても良いから。

地獄に堕ちたって、お姉ちゃんに赦されなくたって。


私の事なら、なんでもいいから。


だから、どうかお願い。



お姉ちゃんが、こんな世界じゃない別の世界で、今度こそ。




たっくさん、沢山愛されて、幸せに過ごせますように。








私の願いは、唯一つ。


どうか、我が愛しき姉に最高の結末を。









育った環境が悪かった所為で、水月への態度が悪かった美亜ですが、幸せな家庭に生まれていれば、美亜はお姉ちゃんっ子だったと思います。


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