師匠
本日2話目です!
最近長いですがよろしくお願いします!
「……やっぱり、ファラもそう思う?」
なんとなく思っていたが、姉様はやはり気づいてたみたいだ。
「ミミリス様ってね、見た目は18歳くらいなの。外には全く知られてないんだけどね、ミミリス様が最強になったきっかけのとある王国で起こった戦争は2000年前で、その時ミミリス様は18歳だったそうだよ。つまり、ミミリス様は2000年前から変わっていない」
きっかけの戦争。2000年前。18歳くらい。
ミミリス様の時は、止まっている。
「ミミリス様の時が止まっているのなら、この森にミミリス様がいるのは間違いないんですね」
姉様はこの情報をどこで得たのか。少し気になったが、今はミミリス様の事だ。
「それにね、ファラ。時間が狂ってる。この場所での1年で、外での3分くらいかな。しかも、この場所は時間が止まっているから。世界の時間も止まっているようなものだよ。ミミリス様を探すのに時間を気にしなくていいのはいいけど……」
そんなこと全く気がつかなかった。
なんとなく怖くなった。
世界の時間も操れるミミリス様は、何故この森に閉じこもっているんだろう。
最強というのは、本当にいいことばかりなのか。
ミミリス様は何故、人のためにしか魔法を使わないのか。
「……ファラ! あれ……!」
突然、姉様が声を上げた。驚いた顔で氷の奥を指差している。言われるがまま見てみると。
家? 思わず姉様の手を振り払い、扉に駆け寄ると、扉が一人でに開き、中から鈴が鳴るような綺麗な声が聞こえた。
「こんにちは、ファララ・メノウラーネさん、フェリス・アイレーヴェさん」
姉様が横に並んだ。顔を見合わせて、頷きあうと、
「「ミミリス様?」」
声を合わせて呼びかけた。
「正解です。私がミミリス・スウェン。中にどうぞお入りくださいな。お嬢様方、何かご用ですか?」
中に入っていいらしい。何をしに来たかは、決まっている。
大きな扉から、顔を出すと思いっきり声を出そうとすると姉様に耳打ちされた。こくこく頷くと、2人で扉を大きく開く。
「 「はじめまして! ミミリス様! 」」
「私はファララ・メノウラーネ! 最強になりたいので」
「 フェリス・アイレーヴェです。妹の役に立ちたいので」
「「弟子にしてくださいっ!」」
子供の全力の大声×2で思いっきり言うと。
顔を上げた。中に入ってすぐに椅子があり、そこに綺麗な女の人が座っていた。
「いいですよ」
☆★☆
「それで、ほんとーのほんとーに弟子にしてくれるんですか?」
「えぇ、ほんとです」
まさかのあっさりOKが出た。
ここはミミリス様のお家の居間らしい。私達はソファの上で出されたミルクティーを飲んでいた。
フェリ姉様はすでに落ち着いており、私はさっきので18回目のOK確認をしていた。
「あの、ミミリス様?何故弟子にして下さるんですか」
フェリス姉様が尋ねた。
「貴方達が試練を突破したからですよ」
「 「試練?」」
そんなものなかった気がする。姉様と顔を見合わせて、首を傾げていると、ミミリス様が、翠色の目を細めてふわりと笑った。
「奥に進むにつれて出てくる霧は、毒なんです。しかも、霧があるエリアに行くには、魔力量によって制限がある壁があるり ここは、氷によって守られており、精霊術師でもない限り入った途端に凍死します。この家を見つけるのも、適性が、4属性以上ないと不可能なんです」
「あの、ミミリス様。私は、2属性なのですが……」
ミミリス様が言った、試練の内容にフェリ姉様が驚いたように言った。確かに、4属性以上という条件は姉様は満たしてない。
「そうですね、でもフェリちゃんは、精霊術師でもあるし魔術師でしょう?2つの術をこの3歳で使える人間は貴重ですもの。それにしても貴方たち2人で来てよかったですねぇ。どちらか1人が欠けていたら辿り着けなかったでしょうから」
フェリちゃん……。
なるほど、それはそうか。私達、運が良かったんだなぁ。
「それで貴方達の関係は?」
「従姉妹で姉妹です」
私が答えると姉様が頷いた。
「そうですかぁ、素敵ですね」
「あの、ミミリス様は何故私達について知ってるんですか?」
フェリス姉様がふと尋ねた。
確かに。自然に名前とか言われすぎて気にしてなかったな。ミミリス様はいたずらっぽく笑うと言った。
「最強の魔女の秘密ですよぉ〜」
ミミリス様ののんびりした話し方に少しだけ落ち着いてきた。
「ファラちゃん。フェリちゃん。2人は伯爵家の令嬢さんなんですよねぇ。確か、メノウラーネ家にアイレーヴェ家でしたっけ。3歳なら、家庭教師とか居ます?」
「私はいません」
「私は、いました。12人目が昨日の夜にやめましたが」
マジか。姉様。学園に行きたくないのはわかるけど、それはないだろう。3歳で12人目って。
「わかりましたぁ。貴方達まだ3歳ですが、普通ではなさそうなので、3歳だとは思いませんね!」
返事をした後ミミリス様は思い出したかのようにそういった。
鋭いな……。私、赤ちゃん言葉少しも使わなかったしな。
「あと、私のことは師匠って呼んでくださいっ!弟子が出来るの初めてなんです」
「はい!師匠!よろしくお願いします!」
「はい、わかりました、師匠」
早速挨拶すると、師匠は嬉しそうに笑った。
ファララ・メノウラーネ、最強の魔女ミミリス・スウェン様の弟子になりました!
読んでいただきありがとうございます!
ミミリスが、ファララ達を弟子にしたのには、ファララが最強になるためと言ったこともあります。