表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/45

初恋の記憶

本日、2話目です。

今回は、フェリス視点です。




……何か忘れている気がする。



時々見る夢があった。私そっくりな女の人が檻のような場所で泣いている夢。


「……なんで。こんなことになっちゃったんだろう。

なんで私はこんなことをしちゃったんだろう」







 処刑される前の罪人が入れられる檻の中で私は考え続ける。なんで大切な人の価値すらわからなくなっていたんだろう。なんであの子たちを殺してしまったんだろう。



『フェリスのせいじゃないよ』


 私が盛った毒に侵され、もう起き上がることの出来ない状態の優しい従姉妹が最後に言ってくれた言葉が浮かんだ。

もうあの子はこの世にいない。私が殺してしまったから。彼に大切に思われているあの子が妬ましくて。



『フェリスは凄いね。いつも私のことを助けてくれる』


私が魔術を使って操った魔獣の群れに殺された、密かに姉のように思っていた親友の顔が浮かんだ。

今、無性に会いたい彼女にはもう会えない。私が殺してしまったから。彼の婚約者だったから、と。




 ……違う、違うの。アリシア、ファララ。私のせいなの。ごめんなさい。最後までこんな私のことを案じてくれていた2人を殺したのは私なの。


「……ごめ、なさいっ…アリシア、ファララっ…ぅぁ…ごめんなさい、アオバ兄様っ」


堪え切れなくなった嗚咽と謝罪ともに誰よりも愛しい人の名前が勝手に漏れる。


もしも。もしも、もう一度やり直せるなら。

今度はできるだろうか。愚かで恩知らずな私にも。

誰も傷つけないような生き方が。



私は処刑された。





☆★☆





「アオ、姉さん、紹介するわ。私の娘のフェリスよ」


懐かしい初恋の人の名前が聞こえて、思い出した。


 前の人生の私のこと。時々見る夢の女の人は私で間違いなかった。

何で、私なんかに贖罪の機会が与えられたのか。何で……考えれば考えるほどわからない。


でも。この人生ではせめて誰かの助けになりたい。



 それに何より。


 アオバ兄様が滞在した5日間の間に、思い知った。

アオバ兄様は、私のことを恋愛対象としてみてなかった。


 ……私、バカだなぁ。

そんなことを考えていると、ふと思いついた。もし私がいなかったら。


どうなっただろう。あの子たちは幸せに暮らせた?


 ……だったら、思い切り、バカでいよう。学園にも行けないくらい。 


そうすれば、前よりはきっと、みんな幸せになれる。





その日から、私は勉強から逃げ続けた。


それから、2年。


ファララと会った。私は、ファララに会わせる顔がなかった。そのため心は痛んだが誘いを断り、すぐに部屋に逃げた。


しかし、ファララは近づこうとしてくる。

前のファララはこんなことするようなタイプじゃなかった。


ファララは変わっていた。何が?と聞かれると答えにくいが。

もしかして、ファララも前の記憶があるのか? どうにかして聞き出したいと思った。だって。


まず喋り方。わざとらしすぎる。あれは普通に喋れる人の喋り方だ。何で普通に喋らないのか。


聞いてみると、答えてくれなかった。


 だから話したら、あの子が最近嗅ぎ回っている私のことについて教える、と言った。


そうするとあの子はあっさり喋った。

全くもって、理解できないお願い事を。



「私と姉妹になってくださいっ!」




読んでいただきありがとうございます。


ーー*フェリスの前世のファララの人格*ー

フェリスの前世のファララも水月が転生した姿です。

ただし、フェリスの前世のファララは、水月の方の記憶を思い出さないまま亡くなりました。


4.19 大幅に改稿しました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ