フェリスと言葉
遅れました、今日の分です!
「ねー、ふぇりす。うらにわであしょばない?」
ノーヴィンに来た次の日。私はフェリスとの距離を縮めようと頑張っていた。
頑張っていたーーのだが。
「申し訳ございません。ファララ様、今日は用事がありますので。また今度」
3歳に大事な用事って。
全く相手にしてもらえなかった。
ミーチェル叔母さまも、なんとかしようとしてくれていたが、もう無理な気がしてきた。
だって、私にだけ、様付だし。
フェリスにとって、伯母の旦那であるお父様のことでさえ、アレクスさんって呼んでるのに。なぜ、血の繋がってない伯父は、さん付けで同い年のいとこ相手に様付なんだ。おかしいでしょう。
嫌われてんのかなー。うー!
仲良くしたいのに。
「ごめんね、ファララ。あの子、人見知りするみたいで」
フェリスが叔母さまの部屋に戻ってから、ミーチェル叔母様が申し訳なさげに言った。
……ミーチェル叔母さま、フォローしてくれるの はありがたいんですが、フェリスはどう考えても人見知りではないでしょう。
「あのね、ファララ。実はあの子お菓子が大好きなの。このお菓子、届けに行ってきてくれないかしら?」
そう言って叔母さまが、お菓子を渡してくれた。
「はい、おばしゃま!」
これをもって、フェリスのいる部屋に行けばお茶くらいはできるかも!
☆★☆
フェリスの部屋のドアの前に立ち、数度ノックした。
「ふぇりす!おかちをもってきました!」
キィと音を立て、扉が開いた。
……魔術?!
フェリス、本当に3歳だよね?私に対する敬語といい、魔術といい!
ちなみに魔術と魔法は違う。
魔法陣を起動させたり、仕組みを作ったりするのが、魔術。魔法士は多いが、魔術師は結構少ない。
フェリス、本当に天才だ!
「どうぞ」
フェリスの声が、聞こえたので、中に入る。
「しちゅれいしまっ、」
「あぁ、そうそう」
失礼しますと言おうとした途端、フェリスに遮られた。
「この部屋ではそのわざとらしい赤ちゃん言葉を使わなくてもいいですよ」
読んでいただきありがとうございます。
ブックマーク、評価ありがとうございます!
書き忘れてましたが、アレクスはお父様の名前です。