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鏡柵の番人  作者: 茶内
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      ミッカリとワネ

気づくと全身が汗でジットリ濡れていた。


 かなり広範囲を見て回ったけど何も見つからない。


 もう少し範囲を広げてみようかと思った時、遠くからガラガラと乾いた音が近づいてきた。


 目を凝らすとミッカリさんだった。彼に乗せてもらわないと帰る手段がないのでここまでだな、と思った。


 ミッカリさんはルーロンを確認すると軽く手を挙げた。


「遅くなって悪いな、待ったかい?」


 いえ、とルーロンは首を振った。


「全然ですよ。それじゃ帰りもお願いします」


 そう言って頭を下げようとしたした時に荷台に誰か乗っているのに気づいた。


「ワネさん・・・?」


 ルーロンが呼びかけたが彼は答えようとせず、代わりにミッカリさんが口を開いた。


「お嬢ちゃん、ワネとはもう会ってるんだってな。彼が君に教えたいことがあるからって言うから、ここまで乗せて来たんだ」


「教えたいこと?」何か事件に関することを思い出したのだろうか。少しワクワクした。


「教えてぇのは、帰り道だ」


 ワネは相変わらず偉そうな口調で言った。


 へ?帰り道って何?疑問に思っていると、またしてもミッカリさんが説明してくれた。


「ワネに、お嬢ちゃんを乗せて山を下りることを話したら、やめた方がいいと言うんだ」


「なんでですか?」ミッカリさん、私を乗せたこと喋っちゃったのか・・・。せっかく上手くはぐらかしたのに。


「帰りも麻袋に入るつもりなんだろ?やめとけ、帰りの荷台に荷物があったら不自然に思われてきっと中身を調べられる」


「あ・・・・」そうだ。どうして気づかなかったのだろう。


「だから教えてやるっつってんだよ。守衛にも知られてない秘密の通路をよ」


 マジか!さっき言ってたのって本当だったのか!


「・・・ありがとうございます、お願いします!」


 ルーロンは目の前の青年に頭を下げた。


「ああ、まかしとけよ」


 荷台から降りた彼の手には巨大な鉄製の鍋が持たれていた。


「歩いて下山するから、飯を食っといた方がいい。手伝えや」

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