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鏡柵の番人  作者: 茶内
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      招集命令

 それは査定大会から六日後のことだった。


「馬の足音が近づいてくる」ヴォンが耳をピクピク動かしながらいった。


「ロンドルじゃないの?」キトの言葉に首を横に振った。


「違う。山道の方から聞こえるしモココはあんな精悍な足音は出せない。姫、一旦ここを離れよう」


 言い終わると同時にヴォンは鼬熊に化けて背中にキトを乗せると、茂みの中に入っていった。


 それと入れ違いで巨大な馬が姿を現した。背中に軍服姿の男が乗っている。向こうもワネを認識したようだ。

 目の前まで来て馬がいななきながら止まった。ワネは片膝を着いて上官への敬意を示した。


「ワネか!」馬に乗った男が尊大な口調で訊いてきた。


「はい、ワネであります」


「お前にベッチャ大尉直々の招集命令が来ておる!しかと受け取れ!」


 そう言って兵士は一枚の封筒を差し出した。かしこまった態度のままワネは受け取り、その場で封を開けた。


 男が言った通りの内容だったが、驚いたのはこの招集状を読み終わり次第すぐに城に来るように、と記されていたことだった。


「読んだか?ならば私の後ろに乗れ!」兵士も招集状の内容を知っているようだ。


「え、いや、まだ準備が・・・」


「早くしろ!」兵士が有無を言わさぬ口調で言った。


 ワネは兵士の後ろに乗り、クドラ山を下りていった。


◆◇◆◇◆◇


「ロンドル、今日は来るかな?」


 キトが不安気にヴォンに話しかけたが、何も言えない。


 ワネが姿を消してからもう五日経過していた。クドラ山の中はくまなく捜した見つからない。


 ロンドルも「何か情報がないか、城に行ってくる」と山を下りてから二日経っている。


「ヴォン、我たちも山を下りてみるか?」


「ワタシ達が町に行ったところでどうすることも出来ないだろう」


 その時、ヴォンの耳がピクピクと動いた。


「馬がこっちに向かってくる!これは、モココの足音だ!」


「ロンドルが帰ってきたんだ」キトが弾んだ声を出した。


 ヴォンの言ったとおり、ロンドルが戻ってきた。しかしその顔は青ざめているのが遠目からも分かる。


「ロンドル、どうした、何があった?ワネは?」


 モココから下りるロンドルにキトが矢継ぎ早に質問をした。


 ロンドルは二人を交互に見てから口を開いた。


「ワネが捕まった。罪状は国王の暗殺未遂らしい」


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