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鏡柵の番人  作者: 茶内
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      ワネとの再会

「クドラ山にこんな道があったのか・・・」


 ルーロンの後ろを歩きながらジャンザザが感心した風に言った。


「ワネに教えてもらった道だよゼイゼイ」


「ルーロン、体力が厳しいなら背負っていくぞ?」


「ゼイゼイ、大丈夫、だから」


 先を歩いているルーロンが汗だく息が切れ始めているのに対してジャンザザは涼しい顔をしている。やはり現役の武闘派兵士は体力があるんだな、と感心した。


 それから二時間ほど歩き続けて、ようやく足もとが平地に変わった。記憶が正しければここから防魔鏡まで十五分ほどで到着する。


「ジャンザザ、ここから防魔鏡までもうすぐだからね」


 ああ、と兵士が頷いたのを確認してから先に進もうとした時「ルーロン」と呼びとめられた。


「なに?ゼイゼイ」


「先に断っておくけど、ワネは俺の上司や同期を六人殺してる。会ったら冷静でいられる自信はない」


「気持ちは分かるけど・・・それでも出来るだけ冷静でいて。話は私がするから」


「ああ、分かった」ジャンザザが頷いた時、横から枝葉をかき分けて何かが近づいて来た。


 ジャンザザがルーロンの前に出ながら腰にさしていた銃に手を運んだ。


 気配の犯人が姿を現した。二人の予想通りの人物だった。


「よぉ、ルーロンじゃねぇか。そちらの兄ちゃんは初めまして、だよな?」


 ワネが瞳を細めて笑顔を見せた。


 ジャンザザが警戒を強めたのは背中からも伝わった。ルーロンは慌ててジャンザザの前に出た。


「ワネ、この間はありがとう。彼はジャンザザといって私の友達なの!」


「ジャンザザか、どこかで聞いた名前だなぁ」


「ああ、あんたが本物のワネなら俺と会ってるはずだからね」


 ジャンザザは挑発するような口調で言った。しかしワネは別段気にした様子もない。


「ああ、そうなんだ。それは申し訳ねぇな、俺は忘れっぽいんだ」


「へぇ、前に会った時と喋り方もまるで違うけど、それも忘れたのか?」


 完全にケンカ腰のジャンザザの姿はルーロンにとって見たこともないものだった。


―――これは、まずい。


「ちょっとジャンザザ、やめなって。ワネ、ごめん」


 ルーロンがジャンザザの前に出てワネに手を合わせた。ワネはふるふると首を振った。


「気にすんな。ルーロン、ゆっくり話せる場所に行こう。俺と話したいことがあってきたんだろ?」


「それなら」ジャンザザがかぶせ気味に反応した。「防魔鏡の前にある広場でいい」


「あそこは広場ってほど広くもねぇけどなぁ」


 そう言いながらワネは体を反転して歩き始めた。ルーロンとジャンザザは顔を見合わせてから彼の背中を追った。


 ※ ※ ※


 防魔鏡の前に着いたワネは二人を顔を向けながら「さてさて」と言いながら地べたに腰を下ろした。


「こんな場所だからお茶も何も出せねぇけど、代わりにちゃんと話を聞くよ」


 ルーロンとジャンザザがもう一度顔を見合わせて頷き合い、ルーロンがワネの前に一歩出た。


「それじゃ、短刀直入に訊くね。ワネ、」


 ルーロンは一旦言葉を止めて唇を舐めた。


「あなたは敵対国のスパイなの?」


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