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鏡柵の番人  作者: 茶内
20/50

      プロポーズの返事の前に

 約束した時間の五分前にドアをノックされた。


「はい、どちら様でしょうか」誰かは分かっていたけど外に向かって訊ねた。


「ジャンザザだけど・・・」かしこまった声が返ってきた。 


 扉を開けると幼なじみがかしこまった服装をして立っていた。


「どうぞ、入って」ルーロンが促すとジャンザザは「おじゃまします」と硬い口調で言って靴を脱ぎ始めた。


「何か飲む?一応お酒もあるけど」


 言いながらルーロンはテーブルの席を勧めた。


「いや、大丈夫、何もいらない」


 ジャンザザは玄関側の椅子に腰を下ろしたのでルーロンは向かいの席に座った。


「ええと、昨日の返事だよね」


「いや、ちょっと待ってくれ」ジャンザザは手の平をルーロンに向けた。


「昨日は勢いで言っちゃったけど、その前にハッキリさせたいことがあるんだ」


「え、なに?」


「お前が今何を調べているのか、ちゃんと教えてくれないか?俺の分かることは全部答えるから」


「どうしたの、急に?」


「いや、しっかり終わらせてからの方がいいかな、と思って」


「それはありがたいけど、軍事機密に触れちゃうよ?」


「それは・・・今、この瞬間だけは目をつぶる。だから聞かせてくれ」


「マジで?よっしゃあ!」


 これは真相を知る大チャンスだ。一気にたたみかけよう。

 

「それじゃ、さっそく見てもらいたいものがあるんだけど」


 言いながらルーロンは鞄を引き寄せて中に手を入れた。


「なに?」とジャンザザが両腕をたたんだ。


 これなんだけど、とルーロンはミッカリさんに描いてもらった絵を差し出した。


「軍の兵士さんだと思うんだけど、誰だか知ってる?」


 ジャンザザは絵に視線を向けたまま頷いた。「ああ、知っている」


―――やった!これで真相に近づく。ワネの名前を(かた)っているのは誰なのか・・・


「これはワネだよ。たしか、クドラ山の監視員をしている男だ」


 ジャンザザは断言した。


 ※ ※ ※


「え、は?これってワネ!?間違いない?」


 予想と違う結果に動揺しながら確認したが、ジャンザザは平然とした様子で頷いた。


「ああ、間違いない。査定試合のあとちょっと喋ったし」


「マジで・・・?」


 そうなると、ワンパの言っていた【暗殺未遂犯はワネ】説の方が嘘ということになる。


「あの、嘘つきエロ親父め・・・」ルーロンが怨嗟の呟きを漏らした。


「ルーロン、話を聞かせてくれないか?」


 今さら隠すこともない。ルーロンは昨夜のワンパから得た情報を全て話した。


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