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鏡柵の番人  作者: 茶内
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      ジャンザザ、一世一代の

 ルーロンの借宿に到着した。入り口の前で立ち止まり、ジャンザザに顔を向けた。


「ジャンザザ、ありがとね」


 何故かジャンザザは「ああ・・・」と歯切れ悪い。


「なに?まだ何か言いたいことでもあるの?」


 ジャンザザは少し迷う素振りを見せたが、意を決した様に口を開いた。


「ルーロン、3年前の約束覚えてるか」


 胸がドクンと波打った。思わずジャンザザから目をそらした。


「・・・覚えてるけど」


「俺、次回の昇進会議で兵長に推薦されることになった。オノラト大尉から言われたから、ほぼ確定だと思う」


「ええ!?」


 ジャンザザはルーロンと同じ二十一歳だ。その若さで兵長なんて前代未聞だろう。


「ベッチャ大尉達がああなったからで、百パーセント自分の実力でもないんだけど・・・」


「それにしたって先輩の兵士さんはたくさんいるんだよね?大丈夫なの?妬みとか嫉妬とか」


「あるだろうけど、剣身術は俺が一番強いからたぶん大丈夫」


「そう、なんだ・・・」男の世界はよく分からん。ジャンザザがスウッと大きく息を吸った。


「ルーロン、俺と結婚してくれ」


 シンプルな言葉だった。頭の中は混乱しているけど、胸の内側はギュッと締め付けられた。


「・・・ありがとう。でも、返事はちょっと待ってもらえるかな」


「いつまで待てばいい?」ジャンザザが詰めてきた。


 うぅん、と少し考えて「・・・明日、とか?」


「そんなすぐでいいのか?俺は全然大丈夫だけど」拍子抜けしたようにジャンザザが頷いた。


「それじゃあ、会う場所は・・・ここでいい?」ルーロンが自室の扉を指した。


「ええ!?」若き軍人は次期兵長に似つかわしくない動揺の声を上げた。


「だって、結婚の返事をするんだよね?お店じゃ周りのお客さん達の目が気になるし」


「まぁ、お前がいいなら・・・・」


「うん、それじゃ20時ころ来てもらえる?」


「ああ、大丈夫だ」ジャンザザが頷いた。


「あ、そうだ。ねぇジャンザザ、お城の食料の搬入口てどの辺にある?」


 急に話が変わったのでジャンザザは怪訝な表情を浮かべた。


「北側にある青い門が搬入口だけど、なんでそんなことを訊くんだ?」


 ルーロンはカバンに手を入れると先ほど使った空砲を出してジャンザザに見せた。


「これを貸してくれた人に明日、お礼を言いにいきたいんだよ」


「軍の関係者になら、俺が代わりに返しておくけど?」


 ジャンザザの提案にルーロンは「ううん」と首を振った。


「ついでにもう一つ、その人にお願いしたいことがあるから」


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