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鏡柵の番人  作者: 茶内
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      怒れるジャンザザと謝るルーロン

「まったく、何やってるんだ!」


 同郷の幼なじみはルーロンを頭ごなしに怒鳴った。


 ジャンザザが助けに来れたのは、ワンパが職場で出版社の女記者と会う予定だから色んな意味で楽しむ、と同僚に吹聴していたのを偶然耳にしたからだった。


 ワンパの良くない噂を以前から聞いていたジャンザザは、彼が前に女性と会うのに使った店と連れ込み宿の場所を同僚達に聞き回ったらしい。しかしワンパは詳しい場所は誰にも教えておらず、大まかな場所しか分からなかった。軍務を終えたジャンザザはその周辺にある何十件もの店をしらみつぶしに見て回ったらしい。しかし見つからないまま、夜は更けてしまった。


 飲み屋なら中を覗くことが出来るが宿の場合はそうはいかない。どうするべきか途方にくれた時、近くから発砲音が聞こえた。それがルーロンに関係してるのかも分からないまま、その宿に踏み込んだそうだ。


 ワンパはジャンザザが呼んだ軍の同僚達によって連行されていった。


 ルーロンが黙っているとジャンザザが苛立ったように声を荒げた。


「聞いてるのか!何とか言ったらどうなんだ!」


「・・・だって、ジャンザザは何も教えてくれないし」


「当たり前だ!王国の重要機密を民間人に話していいわけないだろ!」


「・・・ジャンザザは一ヶ月前のあの日、護衛をしていたの?」


「あの日っていつのことだよ?」


「国王が暗殺されかけた時」


 ジャンザザがぐっと息を呑んだ。


「ワンパ上兵はそんなことまで喋ったのか・・?」


「ねぇ、ジャンザザ、どうなの?」


「うるさい、その話はもうやめろ。誰にもしゃべるな」


 ジャンザザの全てを拒絶するような物言いに、ルーロンはため息をついた。


「私もう帰るね。助けてくれてありがと」そう言うとルーロンはゆっくりと立ち上がり、部屋を出ようとした。


「ルーロン、ちょっと待てったら」

 ジャンザザが彼女の手首を掴んだ。ワンパと同じ行為だが、比べものにならないほど優しい触り方だった。


「家まで送っていく。いや、送らせてほしい」

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