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鏡柵の番人  作者: 茶内
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      軍報部、ロカ

 職場に戻ったルーロンは自分の席に戻って必要な書類を持つと、その足で別の部署に向かった。


【軍報部】ルーロン一人で入るのは初めてだった。


 当然そこにいるのは男性ばかりで、みんなルーロンのことをもの珍しげに見ている。出版社唯一の女性記者ということが、果たして良いのか悪いのか、こういう時分からなくなる。一番奥に座っていた男性が立ち上がった。名前は知らないけど、この部署の編集長だ。


「君は・・・企画計画部の子だよね?どうしたの?」


「あ、はい、ロカさんに会いに来たんですけど。以前お借りした資料を返しに」


 以前借りた、ベッチャ大尉とクダチ兵長に関する資料だ。


「ああ、そう。ロカは今、飯を食いに行ってるから、あと15分くらいで戻ってくるよ」


「そうですか。どこのご飯屋さんに行ってるか分かりますか?」


 ◆◇◆◇◆◇


 目当ての相手はすぐに見つかった。一番奥のテーブル席でパスタをもくもくと口に運んでいる。ルーロンは彼に近づいて、少し離れた位置から声をかけた。


「ロカさん」


 ロカが振り向いてルーロンを確認すると、分かり易く動揺した。


「え!?あ、ええと、君は企画計画部の・・・」


「はい、ルーロンです。この前お借りした資料を返しに来ました」


「はえぇ?そんなことのために来たんすか!?」


 いえ、とルーロンは首を振った。


「要件はそれだけじゃなくて、ちょっと教えてほしいことがありまして。向かいの席に座ってもいいですか?」


 ロカは顔を赤くしながら頷いて、フォークを置いた。


「あ、食べ終わってからでいいです。私に気にせず食べちゃってください」


「・・・自分だけ食べてるの、恥ずかしいんす」


「分かりました、私も何か食べますから」


 ルーロンはサンドイッチを注文した。


「それで何を知りたいんすか」


 食事を終えたロカがテーブルを見つめながら訊いてきた。さっきからルーロンの目を見ようとしない。彼は仕事は出来るが、極端に女性が苦手で、それで取材相手が男しかいない軍事部の記者になった、と以前アサシガに教えてもらった。


「ロカさん、前にお金を払えば何でも教えてくれる兵士がいるって言ってましたよね?」


「え?あ、はい、自分そんなこと言いましたかね?」


「はい、年末の忘年会の時に言ってました。べろべろに酔っ払っていましたけど」


 この人はお酒を飲めばルーロンとも普通に話せるのだ。さりげなく店のメニューを確認して、必要あらばこっそりお酒を注文してやろうかと考えた。


「まぁ、いるにはいるけど・・・」


「その人を紹介してもらえませんか?お礼に・・・この前のポエン王国選抜部隊の査定試合で優勝した兵士を紹介しますので!」 


 ルーロンはテーブルにぶつける勢いで頭を下げた。優勝した兵士とは、ジャンザザのことだ。

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