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鏡柵の番人  作者: 茶内
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第一部: 新米記者の野望

 編集長から出された指示は、ルーロンにとって待ちわびていたものだった。


 ポエン王国の最大手の出版社【リューサ出版】で唯一の女性記者として働き始めてから2年半、今回初めて一から記事書きを任されたのだ。題材探しから取材まで、全て一人でだ。

その瞬間、胸の中心部から全身にかけて震えが走った。 


 無難に書けそうな題材はいくつかキープしている。慣れないうちはそういったものから始めて経験値を積んでいった方がいいかもしれない。


 しかしルーロンはまだ誰も目をつけていない題材を掘り起こして、世間があっと驚くような、もっと言えば王国中がひっくり返るような記事を書くつもりでいた。


◆◇◆◇◆◇


 すでに目をつけている題材があった。


 1ヶ月前に起きたクドラ山の害獣事件だ。この事件は王国軍の軍事部最高責任者であるベッチャ大尉が、直属の部下5名を率いてクドラ山に入山して、山頂での軍事演習中に鼬熊いたちぐまに襲われたというものだった。


 背後からの急襲だったため、4名の兵士が瞬く間に殺されて、兵士1名とベッチャ大尉が残された。


 このままでは二人とも助からないと判断したベッチャ大尉は、部下に逃げるように指示を出し、自分は馬車の荷台にあった最新型の小型爆薬を起爆させて鼬熊を道連れに爆死した。


 これは唯一生き残った部下の証言をもとに、王国軍が正式に発表したものだった。


◆◇◆◇◆◇


 ルーロンがこの事件に興味を持ったのには理由があった。


 自分の故郷であるイワク村の山にも鼬熊が生息していたが、この獣は凶暴さと臆病さを合わせ持っていて、人間を襲う時は決まって1人の時で、2人以上いる場合は警戒して近づかない。

 軍の小隊なんて見かけたら一目散に逃げていたはずだ。

 もっとも故郷の鼬熊とクドラ山の鼬熊とでは生態と気性が違うと言われたらそれまでだけど。 


 そもそもルーロンは、多くの伝説が語り継がれるクドラ山に以前から興味を持っていた。


 しかしクドラ山は現在はポエン王国軍の管理下に置かれていて、一般人の入山は禁止されていている。


 つまりあの山ではいかなる事件が起きても、隠蔽いんぺいも改ざんも容易よういにされてしまうということだ。


 おそらくクドラ山では発表されたことと違う、何かが起こったのだ。

確証かくしょうはないが、自分の記者としての勘がそう言っている。


 それを解明して記事に出来れば、きっと大きな反響があるはずだ。

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