表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩になりたかった何か。

僕が僕で在るために

作者: Noisy

 僕は僕であるために、この世界の中の僕という個を特定するための境界を維持し続ければならない。そうしなければ、困るのだ。

 なにが困るかって、よく判らないけれど。とりあえず、僕が困るのだ。


 僕の要素が拡散して判別不能に陥ることのないように一所(ひとところ)に留める堰が必要だった。或いは世界から僕を隔絶する、彼方(あちら)此方(こちら)を分断するための殻が。

 僕は殻に保護され或いはその内に閉じこめられた。そうしたのは確かに僕自身だったはずだ。


 殻の中に内包されてあるものが僕であり殻の外に排斥された或いは中に入りきれなかったものたちは僕でないものたちだ。或いはそうと名付けたのか。

 その差は曖昧で無数の皹が走った脆い殻の隙間から洩れ(いで)た僕は容易にそれ以外へと変じてしまった。


 すべての僕が拡散しきってしまう前に殻の隙間を埋めるために。

 或いは既に洩れ(いで)て僕でなくなってしまったものたちを再び僕へと還すために。

 僕は世界(僕でないもの)をさまよい、僕であったものたちを殻の隙間から漏洩させ続けながら僕となるものを集めるのだ。


 そうあるべきなのだ。

 そう生きてきたはずなのだ。

 それすらも見失ってしまったのなら、僕はもう、僕を認識することができない。

皹の入った卵の中に、きっと今の僕はいて。

皹のない玉子の中には、きっと昔の、まだじぶんが世界の一部だと信じていたころの僕がいる、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ