マゾ神
前回、嫌な確信を得られた俺は、
「さて、何か別の方法は、と・・・・・・」
もうこの件に二度と関わるまいと、何事も無かったかのように話題を逸らす。しかし、
――――ガシィッ!!
この時、俺は何故あのような行動に出たのだろうと、酷く後悔した。切実に。
「零時さん、何故、何故止めてしまわれるのですかっ!? 遠慮など要りません! 全力で、全開で、さあっ!!」
――――こぉんのドMがぁあああああああああああああっっ!!
がっちり両腕をホールドされている為、逃げる事も儘ならない状態の我輩。
「放せっ、この変態野郎っ!」
『身体強化』を使って何とか引き剥がそうとするも、
「ハァハァ、頬ですかねぇ、それとも腹? それとも顎ぉ? あぁ、想像しただけで・・・・・・、あへ、ふへ、ふへへへへへへ・・・・・・」
ドMの底力というやつだろうか、我輩の両腕ピクリとも動きませんっ!
「イィデデデデデデッ! お、折れっ、腕折れ、折れるぅううううううっっ!!」
ダメだこいつ、早く何とかしないと・・・・・・っ。でないと、俺の腕がマジやべぇっす。
「おまっ、わかったから・・・・・・っ。とりあえず手を放」
このまま腕がへし折られるくらいならと、俺が先にシンに折れようとしたその時。
「・・・・・・主様」
ソフィアちゃんがシンの服の裾をクイクイッと引っ張り、シンにこう言った。
「あの、その、お戯れも、その辺りで・・・・・・」
ソフィアちゃんマジグッジョブ。
「おっと、じゅるり・・・・・・。そうでしたね、少し取り乱してしまいました」
あれを少しと申すかこのマゾは。ソフィアちゃんが居なければ今頃俺の腕はマサラ○ウンにさよならバイバイだったぞこん畜生が。
「非常に残念ですが、この続きはまた今度という事で」
そんな今度が存在する世界なんて、滅んでしまえばいい。
だが、何とかソフィアちゃんのおかげで窮地は脱したようだ。これでようやく・・・・・・。
「さあ、では気を取り直して張り切って、どうぞぉ!」
あぁ・・・・・・。そういや、もう一個別の、というか本命の窮地がありましたね、こいつが濃かった所為で忘れてたよくそっ。
「だから何度も言わせるなって、俺は飛ばんっ!」
「はあ、零時さんも男性なのですから、男らしくいい加減腹をくくっては如何ですか?」
え、何これ? なんかいつの間にか飛ばない俺が悪い、みたいな雰囲気になってる?
何故に? 誰か俺に説明しくよろ。
「あの・・・・っ」
すると、今度は俺の裾を引っ張りながらソフィアちゃんが話しかけてきた。
「あのあの、私のような者が空けた穴では、やはりご不満、でしょうか・・・・・・?」
ん~~、そうじゃないんだよねぇ。俺が不満を感じてるのは、誰がこの穴を空けたか、じゃなくて、何故この穴から落ちるしか選択肢が無いのか、ってところなんですよ。
「そう、ですよね。私、なんかより、ミーナさんとかの方が、ずっと、良い、ですよね。ごめ、な、さ・・・・・・」
「――っ!? ソ、ソフィアちゃん!?」
ソフィアちゃんはプルプルと目に涙を溜めながら、今にも泣き出しそうな顔で俺にそう謝ってくる。
それを見たシンは、
「やーい、泣―かしたー泣―かしたー。いっけないんだぁー」
・・・・・・ブチィッ! 明らかに俺の中で何かが切れる音がした。
「ほぅ○たぁっ!」
からの目潰し。(『身体強化』で指を強化済み)
「あべ○っっ!」
そして仕上げに、目がぁ! とか言ってのた打ち回るシンを踏んづけ、一言。
「ちょっとで良いからお前は黙ってろ、な・・・・・・?」
「あぁ・・・・・・、ありがとうございますっ!!」
これでオッケー。はあ、不本意だがマゾの扱いが何となくわかってきている自分が超嫌だ。
いや、マジで。