昔々あるところに・・・・・・
少しでも多くの方に見て頂けると幸いです。
『アルスト』――
そこはまるで、誰もが一度は夢見たことがあるであろう世界だった。
どこまでも広がる広大な大地、空に浮かぶ空中都市。
そして、地球では存在しない未知の生物たち。
そう、世間一般で言う、いわゆるファンタジーの世界。
ここ、『アルスト』には様々な種族が多数存在する。
『人種』、『獣人』、『エルフ』、『妖精』、『ドワーフ』、『天使』、『魔族』、『竜種』など。
遥か昔には、全ての種族が対立し、何百年もの長い長い年月を争っていた。
海を裂き、森は焼かれ、大地は草の一本も生えない。
いわば、『アルスト』自体が死滅寸前まで陥ったのだ。
このままではいけないと、各種族は話し合いの場を設け、各代表者同士で決議した。
『平和条約』というものがその議会で議決された。
だが、満場一致だったという訳ではなく、一部の種族のみがそれを結んだ。
そして、その『平和条約』が世界を大きく色分けする事となった。
『共存派』と『戦争派』。
『共存派』には、『人種』、『獣人』、『エルフ』、『妖精』、『天使』。
『戦争派』には、『ドワーフ』、『魔族』、『竜種』。
そして、また争いが始まった。
だが今回は各種族の共闘戦という事もあり、種族数で勝っている『共存派』が有利に事を進めていた。
一方、『戦争派』は劣勢を強いられるばかり。
そこで、このままでは互いの一族全てが全滅させられると悟り、『ドワーフ』、『魔族』、『竜種』の三種族は話し合った。
長い議論の末、『戦争派』は、『共存派』に二度目の話し合いの場を申し出た。
その議会では『平和条約』ではなく、『停戦協定』という話になった。
何故『停戦協定』に『共存派』がしたのか、と言うと、戦闘種族であった彼等を信用仕切れていなかった為だそうだ。
そして、『互いの領土を互いが侵さなければ手出しはしない。条約に違反した場合は、違反した者をどのように扱おうが構わない』という条件の下、『停戦協定』は議決された。
そうして、長かった争いはようやく幕を閉じ、『アルスト』に平和が訪れた。
それ以来、『共存派』はそれぞれの国に戻り、緑豊かであった時の国に戻す為に復興を進め、今現在では、各国ごとに協力し合い、穏やかな生活を取り戻していた。
また同じく、『戦争派』も『停戦協定』を結んでからは、各国に対して一切の武力行使をしなくなった。
時には、『戦争派』であった『魔族』、『ドワーフ』、『竜種』も各国の復興に手を貸す等、各国と共存の道を歩もうとしていた。
その甲斐あってか、今では国の許可が下りれば、互いの入国も出来るようにまでなっていた。
こうして、全ての種族が手を取り合う、本当の意味での平和が戻ったはずだった。
だが、その平和に戻った『アルスト』に、またも悲劇が訪れようとしていた。