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闇底の魔法少女  作者: 蜜りんご
4章 闇底不思議探訪
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科学なの? オカルトなの?

 とりどり蛍光色に仄光る、シルクハットと星が散らばる野原。

 そこにはもう、誰もいなかった。


 白いセーラー服の妖魔も。

 その妖魔に鎖で繋がれた女の子も。

 誰も、いなかった。



 あの後。

 フラワーシートの上での対華月(かげつ)対策会議の後。

 まあ、とりあえず現場に行ってみようか、ということになったのだ。

 魔法少女を喰らう、とか言っている妖魔を野放しにしておくわけにはいかないし。

 これ以上、被害魔法少女を生み出さないためにも。

 そして、これ以上、華月に力をつけさせないためにも。


 場所は。

 あたしはもう、さっぱり全然覚えていなかったんだけど。滅茶苦茶に、飛んで逃げて来たし。

 でも、月見サンが覚えていてくれたのだ。自分を笑い死にさせた花火が上がった場所を。

 てなわけで、月見サンの案内で、あたしたちはフラワーシートを降りて、それぞれの飛行方法で(竹ぼうきはフラワーが持っていてくれたので、あたしと月見サンはまた二人乗りだ)、例の場所に来てみたのだ。

 関係ないけど、心春(ここはる)のペンギンバルーンを不思議そうに見つめていた月華(つきはな)が、なんだか可愛かった。


 で。例の場所に来てみると。

 シルクハットと星の残骸はまだ残っていたけれど、華月とあの子はもういなくなっていた。

 華月たちは、たぶん空を飛んだりは出来ないはずだから、そんなに遠くへは行けないはずなのに。空から、ぐるっと周囲を一回りしたけれど、それらしき人影(妖魔影?)は見つからなかった。


「もしかしたら、“道”が使える妖魔なのかもね。だとしたら、厄介ね」

「ああ、それにしても。お二人の愛のカケラが、あんなにも散らばって……」


 捜索失敗を確認し合っていたら、雪白(ゆきしろ)の苦々しい声と心春のうっとりとした声が同時に聞こえてきた。

 心春のことは当然のように無視して、かろうじて聞き取れた、“道”っていう単語が気になったので雪白に聞いてみる。


「“道”って、なあに?」

「“道”が使えるのかー。確かに、厄介ねー」


 今度は、あたしと月見サンが被った。

 え、でも、あれ?

 月見サンも、知ってるの?


「はーい! あたしが説明しまーす!」


 これ以上の発言被りを避けるためか、月見サンが片手を上げて宣言した。

 フラワー以外のみんなの視線が月見サンに集まる。

 心春も、“道”には興味があるみたいで、自分の発言を流されたことは気にしていないみたいだ。


「“道”っていうのはねー、流派によっては“扉の術”とか言ったりもするみたいでね? なんか、扉を通じて自分で歩くワープみたいなー、オカルト的な技術のことです! んーと、つまりー。扉の向こうには、空間を捻じ曲げて作った“道”があってー。その“道”を使えば、三日かかる場所に10分で着いちゃったりとか、そんな感じのやつ!」


 え? よく分からなかった。

 えーと、つまり? 科学なの? オカルトなの?


「つまり、扉と扉の間に道があるタイプの“どこでも〇ア”ってことですか?」

「あ、それ! まさにそれかも!」


 小首を傾げる心春に、月見サンがピッと両手の人差し指を向けた。親指と人差し指を立てた、銃をまねた指ポーズで。

 心春、あの説明で分かったんだ。

 すごいな。あたしは、心春の説明でようやく、なんとなく理解したよ。


「ま、扉って言っても、ただの黒い楕円だけどね。中は見えないから、道っていうのがどうなっているのかは、あたしも知らないんだよねー」

「あ! それ! サトーさんが使っていたヤツ!」


 黒い楕円と聞いて、あたしは思わず叫んでいた。

 あたしは、それを見たことがある。

 アジトの近くの荒野で、自称魔法使いのサトーさんと出会った時だ。何にもないところに、いきなり黒い楕円が現れて、サトーさんはそこから、にょこっと出てきたのだ。あたしに気が付いて、しばらく荒野でお話をして、お別れをした後。サトーさんの少し前側に、また黒い楕円が現れて、サトーさんは楕円の中に入っていった。サトーさんと、サトーさんが引いていたリヤカーが楕円の向こうに消えると、楕円もまた姿を消した。

 あれが、そうなんだ。

 あの黒い楕円の向こうに、“道”が続いていたってこと、なんだよね? その“道”を通って、その“道”の先にある楕円から、違う場所へ行く…………ってこと、なんだよね?

 あの時、サトーさんは、どこから来てどこへ向かったんだろう?


 そして、すっかり忘れていたけれど、あの時確かサトーさんは。


「あと、確か、サトーさん! ま、魔法少女くずれが、魔法少女狩りしているから気をつけろってその時言ってたーーー!!!」


 思い出して、続けて叫ぶ。

 今度は、闇空いっぱいに響き渡るくらいの音量で。


 話の半分は嘘だって、自分でも言っていたサトーさん。

 だから、もしかしたらデマかも? っていうのもあったし。

 魔法少女は全員抹殺! とか言ってる魔法少女(本人の実力により、放っておいても実現はしなさそうなので、一応問題なし)もいたりしたので、てっきりその子のことを大げさに言っているのかな、と思ったりもして。

 すっかり、忘れていたよ。

 忘れていたけど。


 あれって、もしかして。

 華月のことだったの?


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