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闇底の魔法少女  作者: 蜜りんご
4章 闇底不思議探訪
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愛の行方

 闇空を鮮やかに染めたキノコ乱舞はすっかり消え去って。

 暗い空は、元通りの静けさを取り戻していた。


 その代わりに。


 隣であたしを見つめている心春(ここはる)の瞳がキラキラとうるさい。

 やめろ!

 そんな目で、あたしを見るな!


「さあ、星空(ほしぞら)さん! 星空さんの、月見(つきみ)さんへの思いのすべてを花火に込めて、闇空へと打ち上げるんです! お二人の愛の証を、闇空いっぱいに咲かせるんです! きっと、星空さんの思いに答えて、月見さんも戻ってきてくれるはずです! 星空さんのもとへと! 二人の愛の絆を、思い切り見せつけちゃってください!」


 やめてー!

 ハードルを上げないでー!!

 てゆーか、なんじゃー! 愛の証とか絆とか!

 いや、そりゃ、月見サンのことは好きだよ? 魔法少女しても先輩だし、頼りになるお姉さんだし。

 でも、心春が言っている愛って、そういうことじゃないよね?

 ガールズがラブしちゃってる感じのアレなんだよね?


 だから、やめて!

 そんな期待に満ち満ちた目であたしを見ないで!

 目から溢れたキラキラで天の川が出来ちゃいそうな、そんな目で見ないで!

 君のお目目から出たキラキラで、闇空が星空になりそうだよ!


 うう。どうしよう? どうしたら、いいの?

 考えろ! 考えるんだ、星空!

 月見サンの興味を引いて、かつ、それなりにラブっぽくも見えなくもないような、そんな花火。

 ううー。どんなやー。


「星空さん、恥ずかしがらなくていいんですよ? 二人の輝く愛の誓いを、闇空いっぱいに咲かせまくちゃってください! 何なら、二人の記念として、そのまま闇空に残してもいい! きっと、二人の愛のメモリアルとして、いい観光名所になりますよ!」


 なってたまるかー!?

 てゆーか、残さないよ、そんなの!

 あー、もう。早く、打ち上げちゃおう!

 でないと、段々、ハードルが上がっていく。

 う、うう。頭がショートしそう。絶対、今、テストの時より頭、使ってるよ。必死さが違うもん。


「星空さんの思いを、思い切り闇空に向かって叫ぶんです!」


 あたしの、思い。

 あたしが、今、思うことは――――。


「助けて、月見サーン!!」


 両手を空へ突き上げて、思いっきり叫んだ。


 何を打ち上げちゃったのかは、あたしにもよく分からない。

 ひゅるひゅると、白い光の筋が昇っていくのを見上げる。

 一体、何が飛び出しちゃうんだ?

 自分で打ち上げておきながら、ドキドキだよ。


 闇空の高いところまで昇ると、光の筋はパーンと音を立てて弾けた。

 そして。


 闇空に、大きな大きな満月が生まれた。


 満月の中で、ウサギが餅つきをしている。

 ウサギがペッタンするたびに、満月から、お月見団子らしき丸いものがポロポロと零れ落ちていく。


 え、えーと?


 困惑していると、ウサギはぴょーんと飛び跳ねて、満月から飛び出す。ジャンプとともに思い切り振り上げた杵を、自分が落下する勢いも加えて、盛大に打ち付ける。満月の中の臼が反動でぐらぐら揺れた。

 ぐらぐら揺れて、そのまま倒れる。

 倒れて、それで。倒れた衝撃なのか何なのか。


 月が爆発した。


 ドカーンって物凄い音がして。

 バラバラに砕け散って。

 砕け散ったカケラが、降って来る。


 カケラはなぜか。

 シルクハットと星に姿を変えていた。

 月見サンの頭にちょこんとのっているシルクハットと、クリスマスツリーの天辺に飾られているみたいな星。

 ピンクと黄色とオレンジと黄緑と水色。

 蛍光ペンみたいな色で光り輝きながら、シルクハットと星がぱらぱらと闇空から落ちてくる。


 ――――これ、何?

 あたしは一体、何がしたかったの?


 自分でやっておきながら、あたしにはさっぱり意味が分からなかったんだけど。

 なぜか、心春には分かったみたいだった。


「すごいです! 星空さん! 愛が爆発しちゃっているんですね!? そして、二人の愛の結晶であるシルクハットと星が、闇空から流れ落ちてくる。二人の未来を祝福するために…………! なんて、すばらしい!」


 愛は、爆発しちゃってもいいの……?

 あと、なんで、シルクハットと星が流れ落ちてくるのが祝福になるの?

 星空、分かんない。


 一人でテンションを上げまくっている心春にドッと疲れを感じて、どんよりと空を見上げていると、何かがこつんと頭に当たった。

 何かはそのまま足元に落ちてくる。

 なんだろうと視線を向けると、そこには。


 蛍光ピンクの星が転がっていた。

 草むらに転がる、蛍光ピンクの星。


 ――――じ、実体化してやがる。

 もう、これ、花火じゃなくない?


 草むらに落ちてきたのは、もちろんこれ一つじゃなかった。

 パラパラ、パラパラと。

 蛍光ピンクやら、黄色やらオレンジやら黄緑やら水色やらの。

 シルクハットと、クリスマスツリーの天辺に飾られているみたいな星が降って来るよ!


「二人の愛の結晶が、形になって、草原に降り積もっていく……!」


 や、やめろ!

 声を震わせて、なんかロマンチックな感じに言うな!


 大丈夫!

 これ、あたしの魔法だから。

 時間がたてば、消えるから――――!

 てゆーか、もう。

 今すぐ、消えちゃってー!!


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