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闇底の魔法少女  作者: 蜜りんご
4章 闇底不思議探訪
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魔法少女二人旅

 長細い柱が、いくつもいくつも連なっているのが遠くに見えた。

 薄ぼんやりと、黄緑色に光っている。

 んーと。全体的には、光っている。


 柱のあちらこちらで。

 あわい黄緑色がぼんやりと、光ったり消えたり。

 光ったり消えたり。


 しているのだ。


 ぼんやりと光る苔が生えた、でっかい針山が、ずどーんと荒野に置いてある感じ。

 針山マウンテン、てゆーか。

 針山の針は歯抜けで、結構まばらだ。

 空中ほうきレースのコースとかに出来そう。

 やらないけど。



 あたしは、星空(ほしぞら)

 闇底の魔法少女、星空。


 あの世でも、この世でもない、狭間の世界。

 薄暗くて仄明るい、妖魔たちが暮らす世界。

 それが、闇底。


 神隠しに会って闇底に彷徨い込んだあたしは、でっかいお魚の妖魔に襲われて食べられそうになったところを、膝下丈のセーラー服を着た月の女神様のような美少女・月華(つきはな)に助けられた。

 妖魔が蔓延る危険な闇底で生きていくために、あたしは魔法少女の元締めである月華から力を分けてもらい、魔法少女になったのだ。


 そんなあたしは、今。


 闇底産魔法少女の生みの親にして、元祖魔法少女でもある、マジカル・ウィッチの月見サンと二人で、闇底を巡る旅をしている。

 空飛ぶサドル付き竹ぼうきを乗りこなすウィッチな魔法少女の月見サンは、ピンクと水色のマジシャン風の衣装に、ほんの少しのうさぎ成分を付け足した、マジカルでお月見な魔法少女でもある。

 もっと詳しく説明すると、まあ、こんな感じだ。

 癖のある髪を、きゅっとポニーテールにまとめた頭の右側に、小さい水色のシルクハット、で、左側には薄ピンクのうさ耳がぴょこんと一本だけ生えている。

 白い半そでのシャツに、水色の蝶ネクタイ。ショートパンツとショートブーツも水色で、後ろの方だけひらひらって長くなっているベストはピンク色。たまにちらっと見える、お尻のあたりには、耳とおんなじ薄ピンクのうさしっぽが生えている。

 サドル付き竹ぼうきは便利だと思うし、いいんじゃないかと思うんだけど。

 マジシャン風の衣装に中途半端にうさぎ分を混ぜちゃったのは、なんでなんだろう?

 いつか、聞いてみよう……。

 あ、ちなみに。

 このあたし、星空の衣装は、水色と白のふわっとしたミニスカートの、プリプリの正統派魔法少女コスチュームですよ! レースとフリルもついてますよ!

…………星空というより青空だね、ってよく言われるけどね!

いいの!!


ま、まあ、それはともかくとして。

あたしは、大分住み慣れてきた魔法少女の安息のたぶん、日本昔話風のアジトを飛び出して、もともと闇底各地を放浪していたウィッチでマジカルな月見サンと一緒に旅立ったのだ。


 月華を、探すために。


 目指すは、前方に見える、まばら針山マウンテン。

 仄かに光る苔が生えた岩の柱が連なるそこは、月見サンのお知り合いの鳥型妖魔の住処なのだ。

 月華の居所の情報を探りながら、月見サンのお知り合いの妖魔を紹介してもらうというのが、当面の旅の目的なのだ。


「あそこをほうきで飛ばすのは、楽しいよー♪ タイムアタックとかぁ、ほうきレースとか出来たら、もっと楽しいと思うんだけどなー。どう? 星空ちゃん、やってみない?」

「タイムは測ってもいいですけど、レースはお断りします。てゆーか、そもそも、ほうきは一本しかないじゃないですか」

「そうだったぁ。あー、こんなことなら、ほうきを二人乗りに改良するんじゃなくて、もう一本新しいのを作ってもらえばよかったなー」


 ちぇーっという声が前から聞こえてくる。

 ほうきの後ろにいるあたしからは見えないけれど、きっと盛大に口を尖らせているんだろう。


 月見サン特製の、空飛ぶサドル付き竹ぼうき。

 それは、今。

 なんと、夜咲花(よるさくはな)と月見サンの手によって、二人乗り空飛ぶサドル付き竹ぼうきに改良されてしまったのだ!

 っていっても、夜咲花(よるさくはな)が錬金魔法で作った新しいサドルを、月見サンが竹ぼうきに合体させただけなんだけどねー。

 二人で旅をするにあたって、景色に気を取られたあたしが迷子になったりしないようにという配慮からです。

 そんなに子供じゃないもん! と反論したい気もしたけれど、うっかりやりかねない予感も盛大にしたので、ここはご厚意に甘えることにしてみました。はい。


「あ! でもでもだよ? レースをする間くらいなら、魔法でほうきを呼び出せばよくない?」

「遠慮します。レースとかしたら、絶対に柱に激突して墜落する未来が確定してますもん。間違いない! 絶対!!」

「えー? ゆっくり飛べば、大丈夫だよー」

「それじゃ、レースにならないじゃないですか! っていうか、あたしの負け確定じゃないですか! 負けるって分かっているレース、やりたくないですよ」

「一回くらい、相手をしてくれても……」

「…………紅桃(べにもも)とか、そういうの好きだと思いますよ。月華を見つけて、この旅が終わったら、誘ってみたらどうですか?」

 よっぽどレースがやりたいらしい。

 あたしに断られてしょぼんと肩を落とした月見サンが少し気の毒になって、あたしは代案を申し出てみる。

「ええ!? 紅桃ちゃん? な、なに言ってるの! あんな、人外の可憐系美少女にレースなんてさせて、もし万が一怪我でもさせたら、美少女神に申し訳が立たないよ!」

「……………………」

 月見サン、紅桃が男の子だって知らないのか。そういえば、まだ言ってないな。

 んー、ていうか、知らなかったとしてもだよ。紅桃って、見た目はともかく、中身は結構ガサツっていうか、普通に男子なんだけど。

 月見サンにはまだ、紅桃美少女フィルターがかかったままなんですね。

 …………ていうか、月見サン。あたしなら、怪我してもいいってこと?


 いや、それよりも。


 美少女神って、何?


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