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第87話 島でのひと時

『……そうですか。……良いのです。

あの子は、最後まで責任を果たしたのでしょう?』


『……ああ……。最期まで、仲間のために前線で指示を出して……。

そして……そのために、俺の攻撃から逃げきれずに……死んだ』


『……あの子が死んだことは、分かっていました』


『……えッ……?』


『キラーアントという種族は……そういうものですから』


『……』


『子供は、また産めば増やせます。アス様が気に病むことは……ないのです』


『……いや、でも。これは、俺の問題だ。

俺に出来ることがあれば、何でも言ってくれ。それで、少しでも償いたい……』


『では、子種をください』


『ちょっといきなりハードル高すぎないかなッ!?』


『アラアラ?何でも言っていいとおっしゃったのはアス様ですよ?』


『げ、限度……というのが……ありますです。ハイ……』


『フフ。冗談ですよ。……本当にしても、良いですよ?』


『丁重に、お断りしておきますね……』


『……ムゥ』


 

 神鳥フェニックスが空島の火山に居付いてから数日後。


 俺はクイーンアントに、ジェネラルアントの事を伝え、謝りに行った。

 ……そしたら、何故こうなるのか?誰か教えてくださいよ……。


 キラーアントの巣から出て、溜息を吐いて、空を飛んだ。


 なお、魔王は、神鳥来訪後に帰っていった。

 何でも、向こうに俺達を招待するにも少し準備がいるらしい。


 そして久しぶりにアダマンタイト親子に会った。元気そうで何よりだ。



『あ、馬のおじさんー』


『お、おじ……ッ』


『オイ。……すまんな。私の子供が』


『いや、大丈夫だ……そっちはどうだ、最近』


『……グレッシャースライムが

子供の相手をしてくれるのもあって、子供達は元気だ』


『そうじゃない。……いや、それだけじゃない、か。

……アダマンタイト、お前だよ』


『……ふふ。……心配には及ばん……。私は、平気だ』


『……やせ我慢は止めとけ』


『……そう、だな』



 それから少しの沈黙を挟んで、アダマンタイトは呟いた。



『……アスだったか』


『うん?どうした?』


『……次人間と戦うことがあったら、私も連れて行ってほしい』


『……本気で、言っているのか?』


『……このままみすみす引き下がっていては、アイツに顔向けできん』 


『……子供達は』


『……ここが、一番安全だ。しばらく暮らしていて分かった。

……今まで、見なかった類の笑顔を子供が見せるのが何よりの証拠だ』


『……そう、か……』


『……無論、死ぬ気はない。……アイツの分まで、子供達を見届けるまでは』


『……分かった。そこまでの覚悟があるなら、これ以上は何も言わない』



 そうして、アダマンタイト達の所を後にした。


 それからしばらく移動をしていると、神鳥に呼びかけられた。

 そちらの方へ出向いてみると、神鳥の周りにもいつの間にか魔物がいた。



『コイツらは?』


『火山にいた時の、仲間です。彼らも住まわせて構いませんよね?』


『ああ。問題ないが、空島を荒らしたりはしないでくれよ?』


『ええ、それはもちろん』



 まあ、ぱっと見た感じでは俺より強そうなのも、ほぼいなかったし、

 その程度ならウィズダムが島を荒らさせることはないだろう。


 空島をぐるりと一周することが出来たので家へと戻る。

 こうして動いてみると、随分と飛行速度も速くなったもんだな……。


 そう思いに耽けながら飛行していると、

 遠巻きに昆虫族達が大勢集まっているのが見えた。


 カブト虫、クワガタ、蛾、蜘蛛、蜂に蝶。

 本日も忙しなく蟻や蜂は動き回っているようだが……。


 一角だけ何か虫達が固まっているな。何が……。


 ……ああ、ヤマヒメがいるのか。

 山から離れたとはいえ、かつて棲んだ山の主に対して

 思うことは色々あるだろう。まぁ、そっとしておくか。


 そう思い、動こうとしたらヤマヒメに手を振られた。

 どうやら気付かれたらしい。虫達もジッと見つめている。


 俺は軽く頷いて返答とし、飛び去った。

 ……少し気まずかったのもあるかもしれない。


 そうして、家の近くまで来ると、やたら光を反射する龍が何匹かいた。


 あれは、ミスリルに……ヒヒイロカネ……後一匹は、誰だ?


 見知らぬ龍がいるので、ミスリル達の近くに降りてみる。

 どうやら、俺が来るのを待っていたらしいミスリルが、俺に声をかけた。



『アスさん!この方、この方ですよ!魔鉱龍オリハルコンさんです!』


『……ど、どうも……』


『あ、どうも……』



 お互いに頭を下げ合う。……どうも、礼儀正しい龍なのかな?

 オリハルコンは、身体が半透明の蒼い金属で出来ているようだ。


 ミスリルが出かけると言っていたが、オリハルコンを呼びに行っていたのか。


 しかし、オリハルコンか……光沢や、感じる魔力などの質は

 他の魔鉱龍よりも一線を画している。これ、恐らく限りなく

 SSランクに近い、Sランクの龍種ってことじゃないのか?



『……とりあえず、火山の麓にオリハルコンが棲んでいたという

鍾乳洞?を再現してみたんだ。ミスリル、案内を任せる』


『はーい!』


『何日か棲んでみて、気にいったら居付いてくれていいぞ。

……ああ、別に報酬とかは求めてはいないからな。慈善活動に近いからな』


『はぁ。……どうも』



 オリハルコンはやや困惑した表情で答え、ミスリルについて行った。

 あれはまだ完全に信用しているわけではないな。無理もないだろうが……。



『……』



 俺はミスリル達の後ろ姿を見送っていると、背後から二匹の龍が来た。



『レッカとアビスか。準備ができたのか?』


『ああ。クライの奴が運んで来ている。もう着くだろう』


『フラードは?』


『神龍様は儂の住処の畔におるよ』


『そうか。……じゃ、行くか』



 彼らは空島の上空を駆ける。ものの数分で目的地……潮の湖に辿り着いた。

 ここは海龍アビスの住処として創られた海水の湖だ。因みに水は勝手に湧く。


 龍が丸ごとは入れるので広さも深さもかなりある。

 そのうち魚の養殖をしても良いかもしれないなとアスはふと思った。


 そんな湖の畔に一匹の龍がいた。


 それは四つの頭を持ち、湖を見つめている。フラードだ。



『来たか』



 フラードの頭のうちの一つがこちらを向いて答えた。


 そしてそこにアス達龍が降りたつ。アビスだけは湖に着水した。

 およそ一分ほどして背中に何かを乗せた闇龍クライがやって来た。



『遅いぞ』



 レッカがクライに言った。



『あぁ?だったらテメェが行けば良かっただろうが。飛行速度はお前のが上だろ』


『お前の闇属性の結界はお前じゃないと解くのに時間が掛かるだろうが?』



 龍達は封じられていたフラードの分体に結界を掛けていた。

 闇龍クライが闇魔法"吸魔"の要素を持った結界を張っていたのだ。


 それゆえに他の龍ではフラードの分体を運ぶのに時間が掛かる。

 なので闇龍クライが、龍達が守護していた分体を運ぶ役になったのである。


 クライがフラードの分体を地面に置いた。

 やはり封龍陣によって身体が固まっている。



『……ふと思ったが、この陣の剣を引き抜くのは俺である必要はあるのか?』


『……むぅ。龍が触れると封龍陣の影響を受けるのだ。

剣を引き抜くのも難しくなる可能性がある……となると、今のアスも……?』



 フラードが唸って封龍陣を見つめた。なら実際に試せばいいだろう。

 と思って剣に触れた。



『グォッ……ッ!?』



 な、何だこれ!?体内の魔力が乱れる!?……不味い、これは……!

 俺は慌てて脚を放した。魔力の流れも正常になっていく。



『……ダメになっているようだ。他の奴に抜いてもらおう……それにしても……』



 俺はフラードを見つめて呟いた。



『お前……よくあの時念話を飛ばせたな……』



 俺は改めて神龍の……フラードの規格外ぶりを感じたのだった。


 因みにクロがアッサリ剣を引き抜いてくれました。


 剣の影が自分で剣を引き抜いたのだ。クロさんさすがです。

 

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